コラム｜初級編（需給業務編）最終話　在庫過剰なのに欠品するというパラドックス
～その製品、本当に作る必要ある？～［2022.07.07］

「工場長は今月末で定年退職なので、生販会議はこれで最後になりますねー。お疲れさまでしたー！」

「・・・まだ終わってへんけどなー。ところでこの商品、先月多めに生産したばっかりやけど今月もいるんか？」

「あ、それなんですけど、東京支店から欠品してるから至急生産してほしいって連絡がありまして、工場の在庫もほとんどないですし、追加で計画に入れさせてもらった商品なんです・・・無理そうですか？」

「いや、資材もあるし作れるっちゃ作れるんやけど・・・まぁええか、今月はこの計画でいくわー」

「はい！よろしくお願いします！」

「工場長！あ、あの、先日の生販会議で東京支店から連絡のあった商品、もう作っちゃいました！？」

「おー、いろはさん、どうしてん？そんな慌てて・・・ちょうどこれから作るところやけど・・・」

「はー、よかった・・・これ以上在庫増えるとまずいところでした・・・」

「ん？この前は欠品してるっていうてたやん？それが今度は在庫が多すぎるって？どういうこっちゃ？」

「えっと、この前は生販会議のぎりぎりに東京支店から連絡があって、なにも気にせず計画に追加したんですけど、実はさっき名古屋支店に同じ商品の在庫がたくさんあることが分かって・・・それなら新しく作るよりそこから転送したほうが良いかなーと・・・」

「そういえば、先月作った分は名古屋支店から要望があったヤツやったなー。思ったほど売れへんくて、在庫過剰になってたんやろなー・・・」

「そっか・・・いつもは工場にある在庫を見て生産計画を考えていますけど、実際は支店ごとにも在庫を持っていて、しかもその在庫バランスが違うので、在庫が足りない支店もあれば多い支店もあるんですね・・・でも、こんなのどうやって気づけばいいんでしょうか？」

「そうやなー・・・工場だけじゃなくて、会社全体の在庫を見たらええんちゃうか？会社全体で足りてるってことは、どこかに在庫があるってことやし・・・」

「確かにそうですね・・・でも、そのどこかって、どうやって調べればいいんでしょう？」

「うーん・・・それは工場や支店ごとの在庫日数があればいいんちゃうか？」

「なるほど！そうすればどの支店の在庫が多いか、少ないか、一発でわかりますね！あ、でも支店ごとに在庫日数を計算するには、支店ごとの販売計画も重要になってきますね！？」

「お、おう、まーそういうこっちゃ。まぁ、オレはもうおらんくなるけど、これからもがんばりやー」

「はい、早速来月の生産計画から見直してみます！今までありがとうございました！」

「・・・いや、だから、まだ今月末までおるって・・・」

「工場長、今日で勤務最後ですねー・・・寂しくなりますねー・・・今まで本当にお世話になりました！」

「おー、いろはさん、こっちこそいろいろ勉強させてもらったわ。ウチの会社、若いうちにいろんな部署を経験させる風習があるから、いろはさんも部署異動あるかもしれんけど、これからも・・・」

「はい！あんじょうやらせてもらいます！」

「はっはっは！そうやな、あんじょうやりやー！」