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~"生産能力"を考慮して対応力を上げよう~[2022.06.02]
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コラム|初級編(需給業務編)第5話 鬼は笑わない
~"生産能力"を考慮して対応力を上げよう~[2022.06.02]

需要予測・需給計画ソリューション「FOREMAST」連載コラム それゆけ!いろは(受給業務編)

在庫削減や適正化など、多くの企業にとって重要な経営課題である需要予測・需給計画。
需給計画においては、コツやポイントを知らないままでいると、余計な作業負担や在庫過多といった問題に直面してしまいます。

そこで本コラムでは、はじめて需給担当者になった方やこれから需給について学びたい方向けに、需要予測・需給計画の基本を分かりやすく解説します。
今回は需給業務をテーマに、直面しやすい課題と抑えておきたいポイントを見ていきましょう。

鬼は笑わない

前回は、生産計画の計画期間は、生産のことだけでなく資材の調達リードタイムも考えて計画しないといけない、というお話をさせていただきました。
今回は、また少し別の視点で先々の計画を考えないといけないケースについてお話させていただきたいと思います。
ではいつも通り、いろはさんと工場長にお話の進行をお願いしましょう。

生産負荷

いつもの生販会議。いろはさんの会社は今ちょうど閑散期のようで、工場の生産能力にはちょっと余裕があるようです。

工場長といろは

いろは

「・・・以上のように、わが社の商品はちょうど需要が下がる時期ですので、在庫も十分ありますし、今月の生産計画はこれでいきたいと思います。工場長、よろしいですね?」

工場長

「・・・確かにウチの商品はこの時期なかなか売れへんから販売計画はこれでええと思うんやけど、生産計画は・・・ホンマにこんだけしか作らんくてええんか?この計画やと、生産ライン止めんとアカンねんけど・・・この先の繁忙期に需要が伸びるかもしれないし、もうちょっと前倒しで作ってもええんちゃう?」

いろは

「え、前倒しですか?でも、必要な時に必要な分だけ作らないと在庫過剰になってしまいますし、会社からも在庫減らせって言われてます・・・生産ラインを止めないために作るっていうのもちょっと違う気がしますけど・・・それに、そんなに先のこと気にしても仕方ないんじゃないですか?ほら、『来年の話をすると鬼が笑う』って言いますし・・・」

工場長

「そう言われるとそうなんやけどな・・・まぁ仕方ないか・・・生産止めるラインはオーバーホールするかなんかして、なんとかするわー・・・」

いろは

「はい!よろしくお願いします!」

工場長は釈然としない様子ですが、うまく説明できないようですね。そして繁忙期に差し掛かった数ヶ月後のある日。

いろは

「・・・工場長、あのぅー・・・ちょっと再来月の生産計画についてご相談が・・・」

工場長

「おぅ、なんか元気ないなー・・・再来月の生産計画って、まただいぶ先の話やなー、どうしたん?」

いろは

「えっと、ちょっと言いにくいお話なんですが・・・次の生販会議に向けて資料を作ってたんですけど、このままだとちょっと残業して作ってもらわないと在庫が足りなくなりそうで・・・」

工場長

「えぇー!なんやってー・・・先月までライン止めてたのに・・・今度は足りないんか?」

いろは

「はい・・・販売計画もそんなに大きく外していないし、ちゃんと計画通り生産もできてるし、在庫も適正だったのに・・・」

工場長

「再来月というとちょうど繁忙期のど真ん中かー・・・確かに、生産能力は無限にあるわけちゃうから、1ヶ月で生産できる量は決まってるし、繁忙期の出荷分を1ヶ月では作られへんよなー・・・『鬼が笑う』って言ってたけど、ちゃんと生産能力のことも考えんと、逆に笑われへんなー・・・」

いろは

「う・・・その通りですね・・・どうしましょうか・・・」

工場長

「まぁー、今月はまだ生産能力に余裕があるし、なるべく今月と来月に作るようにして少しでも再来月の生産負荷を下げるしかないなー・・・まー、あんじょうやっとくわー」

いろは

「はい・・・よろしくおねがいします・・・」

解説

いかがでしたか?いろはさんが言う通り、『必要な時に必要な分だけ作る』ということは大事ですが、今回の生産能力のように、実際には考慮しないといけない制約条件があることがほとんどですよね。工場長はこれまで生産ラインが止まらないように生産していたので、たまたまうまくいっていたようですが、生販会議の場で生産能力のことを説明できていれば、今回のようなことは防げたかもしれません。
今回のような、閑散期から繁忙期にかけてデコボコした月ごとの生産負荷を平準化することを『負荷調整』と呼びます。通称、山崩(やまくずし)とも言われています。
需給における負荷調整にはいろいろな考え方があります。せっかくなので、よくある負荷調整のケースについて考えてみましょう。

① 超過分/不足分を調整するケース

一番基本的なケースがこのケースです。計画単位ごとの負荷が能力の上限と下限の範囲内に収まるように、超過分または不足分を前倒しまたは後ろ倒しして調整するケースです。

② 可能な限り能力を満たすケース

①の応用で、能力をなるべく満たすように調整するケースです。工場長が今までやっていたケースに近いですね。外部へ委託生産するような場合、計画単位ごとの生産量が契約条件になっているときはこのパターンで調整することになります。

③ バラつきを平準化するケース

これも①の応用になりますが、計画単位ごとのバラつきを平準化するケースです。今回のお話で、本当にやりたかった調整方法はこのケースになりますね。

④ リソースが複数存在するケース

①~③は生産ラインのような1つのリソースに対する能力の上下限を考えていましたが、補給のトラックのように複数台のリソースを考慮しないといけないケースもあります。1台当たりの能力の上下限を考慮しながら、足りなければ次のリソースを使う調整方法ですね。

このように、負荷調整の方法にも様々なやり方があります。目的に応じた負荷調整の方法を検討することが大事ですね。
次回の最終話では、『在庫偏在』についてお話したいと思います。

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初級編(需給業務編)
初級編(発注業務編)

筆者紹介

大下 吾朗(おおした ごろう)

R&D本部 数理技術部 シニアコンサルティングスペシャリスト

米国PMI認定プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル。
需要予測・需給計画ソリューション FOREMAST(フォーマスト)の開発およびシステム導入プロジェクトに従事。
主に在庫補充量計算に関する機能設計・開発を担当。

関連書籍など

在庫管理のための需要予測入門

FOREMAST担当コンサルタントが執筆した需要予測入門書です。
どのような需要予測システムを導入すればよいかお悩みの方のために、実務に精通したコンサルタントが基本知識からシステム導入時に考慮すべきポイントまでをやさしく解説しています。

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キヤノンシステムソリューションズ株式会社数理技術部[編]
淺田 克暢+岩崎 哲也+青山 行宏[著]
■出版社:東洋経済新報社
■発売日:2004年12月22日
■ISBN:4492531874
■価格(税込):1,980円

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