初級編(番外編) 続・需給 × 家族 ~身近に存在する“発注方式”~コラム
公開日:2023年4月18日
在庫削減や適正化など、多くの企業にとって重要な経営課題である需要予測・需給計画。
需給計画においては、コツやポイントを知らないままでいると、余計な作業負担や在庫過多といった問題に直面してしまいます。
そこで本コラムでは、はじめて需給担当者になった方やこれから需給について学びたい方向けに、需要予測・需給計画の基本を分かりやすく解説します。
番外編では、より身近な日常を舞台に、発注や需給に関するポイントを考えます。
続・需給 × 家族
皆さんこんにちは。キヤノンITソリューションズの大下です。
前回はいろはさんの家族に登場いただき、身近な例で需給を考えてみましたね。
今回の番外編はその続編になります。それでは早速、見ていきましょう。
ミッション3:キャッシュレス貧乏になるな!
―とある休日、近くのコンビニエンスストアに買い物に来ているいろはさん一家。
今日は自宅で映画鑑賞しながら食べるお菓子やジュースなどを買いに来ているみたいですね。
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いろは「・・・よし!やっぱりポテチはうすしお味にしよっと!みんなもう決まった?じゃーレジいこうかー!ママ、支払いお願いねー」
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いろはママ「はいはい・・・あれ?お財布忘れてきたみたい・・・パパ、お願いできる?」
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いろはパパ「え?オレも持ってきてへんよ?こまったな・・・どうしよう?」
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いろは「えー、もう仕方ないないなー・・・じゃーここは私に任せてもらおうかー!」
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いろはママ「え?いろはちゃんもお財布持ってきてないでしょ?・・・はっ!・・・あなた・・・まさか・・・」
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いろは「はっ!・・・じゃないよ!ちゃんと払うよ、これで!」
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いろはパパ「・・・スマホ?あぁ、電子マネーだっけ?周りもみんなやってるよなー・・・やっぱり便利なん?」
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いろは「うん、スマホさえ持ってれば手ぶらで出かけられるしねー」
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いろはママ「いざ支払おうとしてもチャージ?だっけ?されてなくて結局現金で払ったってお隣の奥さんが言ってたわよ?結局、チャージしたりとか管理が面倒なんじゃない?」
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いろは「そんなことないよー。私は残金が5,000円を下回ったら、自動的にクレジットカードから10,000円チャージされるようにしてるから全然面倒じゃないよー」
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いろはパパ「でも、現金みたいに実物がないと、使いすぎたりせーへん?」
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いろは「そういう場合は、毎月自分が決めた金額だけチャージ、みたいな方法もできるらしいから、使いすぎるヒトはそっちの方法にしてるみたい」
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いろはママ「へー、チャージにもいろいろ方法があるのね・・・そういえば、いろはちゃん、いつの間にクレジットカード作ったの?」
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いろは「・・・ううん、作ってないよ・・・ほら、この前お使いに行ったとき、ママのクレジットカード借りたじゃない?それで申し込んだの・・・」
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いろはママ「え?それっておかしくない?だってママの口座から引き落としされるんでしょ?」
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いろは「・・・お、おかしくないよ?だって今日のお菓子やジュースは、もともとママが支払うつもりだったでしょ?」
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いろはママ「あれ?そうかー・・・じゃーおかしくないのかー・・・」
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いろは「そうだよ、ママ、考えすぎー」
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いろはパパ「・・・いろは、帰ったら自分のクレジットカード作ってカード登録を変更しなさい。あと、チャージ方法も月額の方にしときや」
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いろは「・・・へい」
みなさんは、電子マネー利用されていますか?今では利用できるところが増えてきて、とても便利ですよね。いろはさんが言っていたように、チャージの方法はいろいろあるみたいですが、実はコレ、発注方式そのものだと気づかれたでしょうか?
いろはさんが使っていたチャージ方法は、“チャージ額が一定の基準まで下がったとき、定められた金額をチャージする方式”ですので、『定量発注方式』ですね。それに対していろはパパが変更するように言っていたチャージ方式は、“一定期間(月に1回)でチャージする間隔を定めておき、決定した金額をチャージする方式”なので、『定期発注方式』と言えます(今回の例ではチャージ金額は固定ですが、その都度金額を変更するのが定期発注方式としては一般的です)。
このように、“発注方式”と聞くと難しそうな印象を受けますが、実は私たちの身近なところでも使用されていることが分かりますね。
発注方式については、“発注業務編”の第1話でお話していますので、まだの方はぜひ読んでみてくださいね。
ミッション4:定期便を使いこなせ!
―夕食後、いろはママはこれから洗濯するようですね。
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いろはママ「もう洗濯物はないわね?洗濯かけるわよー・・・あらやだ、洗剤がもうなくなりそうだわ・・・明日スーパーに買いに行かなくちゃ・・・」
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いろは「え?ママ、洗濯用の洗剤、いつもスーパーで買ってるの?重いし、ずっといるからネットショッピングで買って配送してもらえばいいのに・・・ほら!定期便にするともっと安くなるよ!?」
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いろはママ「へーそうなの?安くなるの?まぁ!いつも買うスーパーより安いじゃない!?これはお得だわー!でも、なぜ定期便だと安いの?」
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いろはパパ「・・・そういわれてみれば、なんでやろ?いろは、仕事で需要予測がどうとか言ってるやん?なんでかわかる」
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いろは「え?うーん、そういえば資材課の人がなんか言ってたなー・・・先々の受注確度が高いと、材料をまとめて発注できるから・・・」
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いろはママ「安く仕入れることができて、その分安く販売できるってことね!この前話してたディスカウントショップの例と同じね!」
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いろはパパ「なるほどー・・・そういわれると納得やなー・・・それにしてもママ、良く覚えてたな!正直びっくりやわ・・・」
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いろはママ「ふっ、やっと世界がママのすごさに気付き始めてきたかな?」
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いろは「はいはい、じゃー定期便申し込んでおくねー」
皆さんは定期便、利用されていますか?便利ですよね。発注方式で言うと、発注数は事前に決定されていますが、一定間隔で発注するという意味では『定期発注方式』に該当するかと思います。
販売する側のメリットについては、いろはさんとママが説明してくれた通りですね。では、利用する側のメリットはどうでしょうか?
- 都度買うより、安く買えるケースが多い
- 都度注文する必要がない
- うっかりなくなったり買い忘れたりしない
などがありますが、一方デメリットとして
- どれくらいの頻度でどの程度の量が必要か事前に検討が必要
- 旅行などで長期不在になる場合、使いきれないことがある
などがありますので、何でもかんでも定期便の方が良い、という訳ではなく、購入する商品によって使い分けることが重要ですね。
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筆者紹介
- 大下 吾朗(おおした ごろう)
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R&D本部 数理技術部 シニアコンサルティングスペシャリスト
米国PMI認定プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル。
需要予測・需給計画ソリューション FOREMAST(フォーマスト)の開発およびシステム導入プロジェクトに従事。
主に在庫補充量計算に関する機能設計・開発を担当。
関連書籍など
在庫管理のための需要予測入門
FOREMAST担当コンサルタントが執筆した需要予測入門書です。
どのような需要予測システムを導入すればよいかお悩みの方のために、実務に精通したコンサルタントが基本知識からシステム導入時に考慮すべきポイントまでをやさしく解説しています。
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