コラム｜初級編（番外編）　続・お財布マネジメント
～それでも予測が外れたら・・・？～［2024.03.07］

「いろはさん、おつかれー。例の商品、この前言ってたとおり受注できそうやから、来月多めに計画しといてなー」

「はーい、おつかれさまです！受注できそうで良かったですね！了解しましたー！」

「（先輩、いろんな人と仲いいよな・・・）あのー、先輩・・・」

「んー？どうしたの仁保君、そんな泣きそうな顔しちゃって・・・」

「・・・いえ、さっきの会議でちょっと疑問に思ったことがあって・・・聞いてもいいですか？」

「お、さすが仁保君は真面目だなー。もちろん！なんでも聞いていいよー」

「ありがとうございます・・・実はさっきの会議で議題にあった欠品した商品、ウチの部の担当は私なんですよ・・・需要予測の結果も、もちろん工場からもらった生産計画の内容もちゃんと確認したつもりなのに欠品したから、さっきの会議で怒られるかなって覚悟していたんですけど、みんな何も言わないから拍子抜けしちゃって・・・まだ新人扱いされているんでしょうか？」

「なんだ、そんなこと気にしていたのかー。それは、やっぱりみんな分かっているからじゃないかな？」

「え？わかってる？？・・・何を、ですか？？」

「お？もしかして仁保君はまだわかってなかったのかな？前に言ったつもりだったんだけど、うまく伝わってなかったのか、ゴメンゴメン・・・そんな難しいことじゃないんだけど、簡単に言うと『予測は当たらない』ってことをみんな知ってるってことだよ」

「・・・え？予測って当たらなくていいんですか？当てるために予測しているんじゃ・・・？」

「うんうん、そう思う人多いよね・・・でもさ『予測』は『予知』じゃないんだよ？当たらなくて当然！だから大事なのは『どれだけ外れるか』を把握しておくってことだねー」

「・・・はい、なので、外れたときのことも考えて多めに生産する計画にしたつもりなんですが・・・」

「外れにも“想定内の外れ”と“想定外の外れ”があるってこと。仁保君が考えていたのは“想定内の外れ”で今回欠品した原因は“想定外の外れ”だから。今回の件は私が担当だったとしても欠品していたかもねー」

「えっ！先輩でも、ですか？それじゃーどうしようもないんじゃ・・・」

「そう！だから、あらかじめ外れたときにどうするか考えておくことが大事ってこと！今回の欠品もすぐ解消できたでしょ？あれは事前にみんなでちゃんと考えておいて、その通りに対応できたからなんだよ。・・・そうだ、今回どんな対応したか、それをするために事前にできることはないか、まとめておくといいかもね！」

「そうですね・・・ちゃんと整理しておきます。ありがとうございました！」

「あれ？先輩また財布のぞいて・・・まだ給料全部引き出しているんですか？」

「いやーそうじゃなくて、ほら、この時期は配属異動とかあって歓送会が多いでしょ？わかっていたから多めに引き出したんだけど足りなそうで、どうしようかなって思って・・・」

「ああ、今朝の話と一緒ですね」

「え？どういうこと？？」

「え？だって、先輩が今朝言っていたじゃないですか？ほら、外れたときにどうするかちゃんと考えておくことが大事だって・・・」

「（！）・・・も、もちろんわかっていたよ？あれでしょ？あの商品みたいに緊急生産すればいいんでしょ？」

「（・・・これは、わかってないな・・・）いまから残業しても振り込まれるのは来月だから間に合いませんよ・・・他の方法もあったじゃないですか、考えてみたらどうです？まー、いつもお世話になっているし、いざとなったら私がお貸ししますよ」

「仁保くーん、ありがとうー、何ができるか考えてみるー・・・」