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親子間リース取引第4回:連結グループ会社間のリース取引の会計処理公認会計士 中田清穂のIFRS徹底解説

前回の本コラムでは、連結グループ会社の間で行われているリース取引を整理して、それぞれに関する連結手続きの概要を説明しました。

今回は、具体的な例を示しながら、個別会計の仕訳と連結手続きの仕訳について説明します。

ここでは、説明をわかりやすくするために、親会社が貸手で子会社が借手である取引で説明します。
また、前回の本コラムで整理した下図の「ケース1」と「ケース2」について説明します。​

【ケース1】親会社(貸手)がオフバランスで、子会社(借手)がオンバランスのケース/【ケース2】親会社(貸手)がオンバランスで、子会社(借手)もオンバランスのケース

【ケース1】親会社(貸手)がオフバランスで、子会社(借手)がオンバランスのケース

前提

  • 親子間で親会社所有オフィスビルの賃貸借契約を締結している。
  • 契約期間は4年
  • 月額支払家賃は100千円
  • 親会社(貸手)は、オペレーティングリース
  • 子会社(借手)は、リースを含むと識別

親会社と子会社の会計仕訳は以下です。

図:親会社と子会社の会計仕訳

このケースでは、ひとつのリース取引なのに、親会社は所有している固定資産をリース債権に振り替える会計処理を行わず、リース料を受け取った際に収益を計上しますが、かたや、子会社は、リース負債と使用権資産を計上します。

つまり、親会社はリース債権を計上していないのに、子会社はリース負債を計上していることになります。

これでは連結手続きで「相殺」できませんね。
したがって、連結手続きとしては「相殺消去仕訳」ではなく、子会社で計上されたリース取引の仕訳を「取消す修正」を行う会計処理をするのが単純でわかりやすいと思います。

連結手続きとして「相殺消去仕訳」ではなく、子会社で計上されたリース取引の仕訳を「取消す修正」を行う会計処理は以下のようになります。

図:会計処理

すなわち、連結グループ会社同士で行われたリース取引は、連結グループにおいては、親会社の資産が子会社に「移動」しているだけで、グループ外の会社とのリース取引ではないことから、子会社の会計仕訳を取り消すことで、連結貸借対照表には、使用権資産やリース負債が計上されないようにするのです。
くどいようですが、親会社でも貸手のリース会計処理を行わせてから「相殺」するのではありません。「相殺」する手続きをすると、貸手と借手の会計処理や金額が合わなかった(アンマッチが発生する)ときに、その原因追及をした上で、適切な仕訳に訂正する手続きも発生したりして、いたずらに煩雑になるので、お勧めしないのです。

【ケース2】親会社(貸手)がオンバランスで、子会社(借手)もオンバランスのケース

前提

  • 親子間で親会社所有機械の貸借契約を締結
  • 契約期間は、5年
  • リース料は、1000千円(月額)
  • 原資産の経済的耐用年数は、6年
  • 原資産の購入価額は、48,000千円
  • 支払リース料総額は、60,000千円
  • 借手の追加借入利子率は、年8%
  • 親会社(貸手)は、ファイナンスリース
  • 子会社(借手)は、リースを含むと識別

親会社と子会社の会計仕訳は以下です。

図:親会社と子会社の会計仕訳

このケースでは、親会社は、貸手として子会社に貸している物件をファイナンスリースとして取り扱い、所有している固定資産をリース債権に振り替える会計処理を行い、かたや、子会社もリース負債と使用権資産を計上します。

したがって、親会社はリース債権を計上し、子会社はリース負債を計上していることになります。

これでは連結手続きで「相殺」できそうです。
​しかし、親会社が計上したリース債権と子会社が計上したリース負債は、同じ金額になるとは限りません。
親会社のリース債権と子会社のリース負債の金額が一致しない原因として、以下のようなことが考えられます。​

  • 親会社と子会社では「リース期間」が異なる
  • 親会社と子会社で採用した割引率が異なる
  • 親会社と子会社で利息計算方法が異なる
  • 親会社と子会社で重要性の数値基準が異なるため、厳格な処理の取り扱いが異なる
  • 親会社と子会社で減損処理の取り扱いが異なる

したがって、連結手続きとして「相殺消去仕訳」行うと、不一致差額の原因追及に工数を奪われる可能性が発生します。
​そこでこのケースでも「相殺消去仕訳」ではなく、親会社及び子会社で計上されたリース取引の仕訳を「取消す修正」を行う会計処理をするのが単純でわかりやすいと思います。
​連結手続きとして「相殺消去仕訳」ではなく、子会社で計上されたリース取引の仕訳を「取消す修正」を行う会計処理は以下のようになります。

図:会計処理

すなわち、連結グループ会社同士で行われたリース取引は、連結グループにおいては、親会社の資産が子会社に「移動」しているだけで、グループ外の会社とのリース取引ではないことから、それぞれの会計仕訳を取り消すことで、連結貸借対照表には、使用権資産やリース負債が計上されないようにするのです。

親子間リース取引に関するコラムは今回が最終回です。
ぜひ実務にお役立てください。​

著者プロフィール

中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。