マイグレーションとは?マイグレーションサービス・PREMIDIX(プレミディックス)
現代のビジネス環境では、技術者の人的リソースが年々不足してきており、過去の技術で構築されたシステム(レガシーシステム)の刷新に時間的な猶予はなくなってきています。また、企業のDX推進において、古い資産を現代の資産として活用していくことは不可欠であり、マイグレーションの重要性は一層高まっています。特にレガシーシステムからオープンシステムへの移行を検討する「レガシーマイグレーション」の需要が、企業の間で拡大しています。
人手不足やコストの高止まり、将来の保守運用への不安など、メインフレームを利用するお客さまの課題は共通しています。こうした課題を解決する有効なアプローチとして、大きな注目を集めているのがマイグレーションです。ここからは、メインフレームのマイグレーションが必要とされている背景を深掘りし、モダナイゼーションをはじめとするIT基盤刷新から見える将来像について解説します。
メインフレームのマイグレーションとは
メインフレームのマイグレーション(migration)とは、富士通・NEC・IBMをはじめとするメインフレームから、オープンシステムやクラウド、IaaSといった現代的なシステム環境へ移行することです。老朽化や属人化、拡張性の制約、災害や障害発生時の事業継続計画(BCP)などの課題を解決する「レガシーマイグレーション」において、メインフレームのマイグレーションは大部分を占めています。さらに、基幹システムや業務アプリケーション、ソースコード、データ資産が、高いコスト効率と拡張性を備えたIT基盤へ刷新されるため、特定のベンダーに深く依存せざるを得ない状況(ベンダーロックイン)からの解放や運用コストの削減、付加価値の高い業務へのコスト転化など、ビジネス課題の解決にも大きく貢献します。
既存環境の老朽化や属人化、運用コストの高止まりなどは明らかなリスクです。このリスクを最小化し、お客さまが本来のビジネス課題に注力できるよう、当社ではさまざまなソリューションをご用意しています。
マイグレーションを支援する
キヤノンITソリューションズの取り組み
当社は、マイグレーションに伴うリスクや必要な作業を事前に評価・分析し、移行計画の立案から資産変換の実行、移行後の運用・保守まで、お客さまの大切な資産をワンストップでサポートします。
メインフレームのマイグレーションが必要とされている背景
老朽化と保守コストの増大
老朽化と保守コストの増大
企業の基幹業務システムや膨大なデータ処理を担ってきたメインフレームの多くは、1990年代以前に導入され、ハードウェア・ソフトウェアともに老朽化が進んでいます。
結果として部品調達や技術者確保が困難になり、年々増大する保守コストやDX推進の阻害といった課題に直面しているのが現状です。
特にクラウドやAPI(異なるシステムやアプリケーションの連携に必要な仕組み)との親和性の低さ、データ活用や自動化、拡張性、セキュリティ面での制約が顕在化しており、多くの企業にとってメインフレームのマイグレーションは喫緊の課題といえます。
こうしたレガシーシステムの課題解決には、オンプレミスからのデータ移行を含むリホスト・リプレイス・リビルド・コンバージョンなど、段階的なマイグレーションやモダナイゼーションが有効です。
さらに移行先を、プライベートクラウドや仮想マシンといった現代的なIT基盤へ移行することで、メインフレームが抱える拡張性やシステム運用の最適化といった課題にも対応できます。
技術者の高齢化とスキル継承の困難
技術者の高齢化とスキル継承の困難 COBOLやPL/Iなどのレガシー言語に精通した技術者の高齢化と若手へのスキル継承が進まないことが大きな課題です。結果として属人化・ブラックボックス化が進み、障害対応や機能追加の柔軟性低下に頭を抱える企業は少なくありません。
さらにオンプレミスのレガシーシステムでは、API連携やクラウド・オープンシステム適合も難しく、拡張性・セキュリティ面のリスクが顕在化しています。
こうした背景から、コードのコンバージョンやリライト、機能のリプレイス、段階的なリホストといったモダナイゼーション手法や、データ移行を含むメインフレームのマイグレーションが求められています。
マイグレーションとモダナイゼーションの違い
| マイグレーション | モダナイゼーション | |
|---|---|---|
| 目的 | ハードウェア・ソフトウェアの老朽化対策、インフラの更新や運用改善 | ニーズに合わせたシステムの再構築 |
| 範囲 | 既存のシステムをそのまま、または最小限の変更で移行する。 | システム全体の設計やアーキテクチャを見直しての改善・再構築 |
| 意味 | 既存のデータやシステムをある環境から別の環境へ移動する | 既存のシステムや技術を最新のものに更新・改善する |
| 投資規模 | 小~中規模 | 中~大規模 |
| 実施期間 | 短期~中期 | 中期~長期 |
マイグレーションは、既存のメインフレームやオンプレミスで稼働するCOBOLなどで書かれたアプリケーション資産を、コードを極力変更せずに別のプラットフォームへ移行・移転すること全般を指す用語です。例えば、メインフレーム内にあるアプリケーションやソースコード、データ資産をAWSやAzure、当社が提供しているIaaS型の国産クラウドサービス「SOLTAGEマネージドクラウドサービス」などへ移行し、運用を継続します。
モダナイゼーションは、ビジネスロジックの変更を含む、システム全体の刷新です。例えば、業務プロセスの再設計やデータ活用の高度化が挙げられます。
現在では、DX推進を阻害するメインフレームやレガシーシステムからの脱却に向けて、マイグレーションから着手する企業が増えています。
まとめ:どちらを選ぶべきか?
マイグレーションは、メインフレームなどの既存システムにあるビジネスロジックを生かしながらプラットフォームを刷新するため、早期に新しいインフラやオープンシステム環境へ移行させることができます。
コストを抑えながら、保守性を向上させるために有効な方法です。
一方モダナイゼーションは、既存のビジネスロジックを再定義して構築するため、DX推進やデータ活用といった観点も視野に入れて長期的に取り組む必要があります。
- コストを抑え、早期に保守性を向上したい場合 → マイグレーション
-
将来のDXやデータ活用を見据える場合 → モダナイゼーション
スピード感と業務改善を踏まえると、マイグレーションとモダナイゼーションは段階的に進めていくのがよいと考えられます。
例えば、短期的にはマイグレーションによって本番稼働を維持しつつオープンシステム環境へ移行し、次のステップとしてDX推進やデータ活用に向けてモダナイゼーションを進めるイメージです。
状況により最適解は異なりますが、DXを推進するためには、いずれも不可欠な取り組みといえます。
システム刷新3つの選択肢リホスト・リライト・リビルドとは?
レガシー化した基幹システムの刷新には、「現代的なIT基盤へどのように移行するか」についてさまざまアプローチが存在します。
ここでは代表的な手法である「リホスト」「リライト」「リビルド」について、それぞれの違いや特長を比較表にまとめました。
| リホスト | リライト | リビルド | |
|---|---|---|---|
| 概要 | 既存のシステムを、ビジネスロジックや開発言語を変更せずに、新しいインフラやクラウド環境に移行する手法。 | 既存のシステムを、ビジネスロジックを活かしつつ、開発言語や技術を変更して再構築する手法。 | システム全体を、ゼロから設計し直し、ビジネスロジックを再定義して構築する手法。 |
| 費用 | ◎ | ◯ | △ |
| 難易度 | ◎ | ◯ | △ |
| 開発期間 | ◎ | ◯ | △ |
| 業務拡張/改善/変革 | △ | ◯ | ◎ |
リホスト
リホストは、プラットフォームやハードウェアを置き換える手法であり、本番稼働の停止時間を短くできるため、短期移行やコストを抑えたマイグレーションに適しています。
しかし、リホストはビジネスロジックや開発言語はそのままのため、移行前にあった課題もそのまま引き継がれてしまうことには注意が必要です。
リホストによるマイグレーションの取り組み事例
短期間、低コストでのオープン化に成功
マイグレーションでDX推進の道を拓く
長年にわたり基幹システムとしてメインフレームを使用していたものの、維持コストの高止まりやベンダー依存、拡張性、セキュリティ面での制約が顕著となり、オープンシステムへ移行した事例です。検討当初はコストや工数の課題が残っていたため、当社からは高精度なコンバージョン(コード・データ移行)ツールや移行手法を活用したマイグレーションをご提案しました。その結果、短期間かつ低コストでメインフレームからの脱却を実現し、オープンシステム化に成功。現在では、オープン化のメリットを生かし、システム改善やオンライン機能のWeb化など、モダナイゼーションにも取り組まれています。
リライト
リライトは、既存システムの開発言語を変更する手法です。 Javaなど最近主流となっている言語に書き換えるため、移行先の環境では新しい技術にも対応しやすくなります。ただし、言語だけを書き換えると冗長なプログラムとなってしまい、保守性の低下リスクがあります。
リビルド
リビルドは、システム全体をゼロから設計しなおし、ビジネスロジックを再定義して構築する手法です。
ブラックボックス化したロジックが解消されることで、属人化リスクを回避できるなど、現場の業務改善にもつながります。一方でビジネスロジック自体を変更するため、コストが膨大になりやすい、業務への影響が大きい、新規開発に伴うバグや不具合のリスクが高く、安定稼働まで時間がかかるなどのデメリットがあります。
このように各手法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どの手法を選ぶべきかについてはコスト・期間・将来像・既存資産の状況などによって異なります。
当社では、お客さまの業務要件に合わせたマイグレーションをご提案します。
「マイグレーションのコストは?期間は?導入したらうちはどうなる?」
無料オンライン相談会のご案内
お客さまの声・マイグレーション成功事例をご紹介
マイグレーションに関するよくあるご質問
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Q1自社にマイグレーションが必要かどうか、どのように判断すればよいでしょうか?
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A1
現行システムの保守期限、技術者不足、コスト面などの観点から総合的に判断する必要があります。当社では、現状分析を含めたアセスメントからご支援します。お気軽にご相談ください。
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Q2相談だけでもできますか?費用はかかりますか?
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A2
初回のご相談・ヒアリングは無料で承っております。具体的なお困りごとが未整理でも問題ございません。お気軽にオンライン相談をご利用ください。
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Q3どのメインフレームや言語の移行に対応していますか?
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A3
富士通・IBM・NEC製メインフレーム、レガシーシステムからの移行、Easytrieve、IDLⅡ、COBOL/Sなど第四世代言語のコンバージョンに対応しています。
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Q4資産凍結期間を最小化できますか?
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A4
当社独自のツールや自動化により品質を担保しつつ、資産凍結期間を最小化しながら短期間での移行を目指します。変更を抑えるリホストを軸に並行稼働やリハーサルを計画し、段階的に移行することが可能です。
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Q5データ移行・コード変換の品質はどう担保しますか?
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A5
独自ツールのストレートコンバージョンをベースに、お客さまの状況に合わせてカスタマイズした専用ツールを用いて、機械化により信頼性を確保します。変更されたデータ資産は再変換が可能なものです。資産凍結期間を最小限にしながらも、最低限の手修正にとどめることで、高い品質を担保します。
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Q6期間や費用の目安はどのくらいですか?
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A6
移行元システムの規模や要件によって大きく変動します。まずはリスクや必要な作業を事前に評価・分析し、作業範囲を見定めた上で、スケジュールと概算をご提示します。
「うちは移行できるの?どうしたらいいの?」
無償の「移行性診断サービス」をぜひご活用ください。
経験豊富な担当者がお答えします。
無料移行性診断サービスのご案内
メインフレームのお悩みを抱えるお客さまに「移行性診断サービス」を無償でご提供します。既存システムの状況とマイグレーションの適合性を診断し、分かりやすくご説明します。移行の進め方のご提案、技術的リスクの診断など、初期検討をスムーズに進めていただけるサポートも実施しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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