このページの本文へ

第1回 AIの普及と人事業務の効率化AIを使った人事業務の効率化事例

公開日:2026年3月9日


AI(人工知能)が、急速に普及しています。
とくに誰でも簡単に使える無料または安価なAIツールが開発された2020年頃からは、パソコンやスマホのアプリを通じたAI活用が広がり、もはやAIは、私たちの日常生活に深く浸透したといえます。
人事業務においても、採用選考、人材配置、給与計算など、あらゆる場面でAIの活用が進んでいます。そして、AI活用により、人事業務の効率化に成功したり、高度な戦略人事を実践したりする企業が現れています。
本コラムでは、これから12回にわたり、AIを活用して人事業務の効率化や高度化を図っている事例を紹介し、人事部門におけるAI活用のポイントと注意点について解説していきます。

目次

業務に活用されるAIの種類

AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは、人間のように学習したり、考えたり、判断したりできるコンピュータープログラムを指します。AIを使えば、インターネット上の情報を自動的に収集してポイントを整理したり、過去のデータを学習して将来起こりうることを予測したりすることなどができます。
業務において活用されるAIは、【図表1】のように3つに分けることができます。

【図表1】業務に活用されるAIの種類

区分/内容/料金|①様々な場面で広く使われるもの/ユーザーからの質問に会話形式で回答する「生成AI」。ChatGPT(OpenAI社)など。/無料(グレードアップすると有料)|②特定の用途に活用されるもの/文章や画像の生成、翻訳など、特定の機能を強化したAI。専用アプリとして販売されることが多い。/有料(試用版は無料のこともある)|③特定の業務に活用されるもの/販売予測、契約書のチェックなど、特定の業務で活用されるAI。業務システムにあらかじめ装備されていることもある。/有料

人事部門におけるAI活用は、多くの場合、【図表1】の①(例えば、「Microsoft Copilot」や「Google Gemini」などのAIツールを使って、社内通達文書を作成したり、就業規則の問題点をチェックしたりすること)から始まります。そして、人事関係者の間に「AIは業務に活用できる」という認識が広がったところで、高度なAI活用(【図表1】の②③)を進める段階に入り、更なる業務の効率化・高度化が図られます。

AIの主な機能と人事業務の効率化・高度化

なぜ、AIを活用すれば業務の効率化・高度化が図れるのでしょうか?
それは、AIには、次のような機能があるからです。

  • 多くのデータから法則性を読み取り、事務処理などを自動化・効率化することができる
    例えば、AIは、これまでの手当支給の申請に関するデータから法則性を読み取り、それに基づいて従業員が新たに提出した申請の可否を判定することができます。この機能を活用すれば、給与計算や社会保険届出に関する事務処理を自動化・効率化することができます。
  • 文字・音声情報を認識し、またインターネットから情報を収集し、それらを要約・整理することができる
    AIは、各従業員の人事考課表を読み取ってスキル情報を収集したり、会議における出席者の発言を要約して議事録を作成したりすることができます。また、インターネットから法改正に関する情報を収集して就業規則の改定案を作成したり、統計データを収集して賃金水準に関する資料を作成したりすることもできます。
  • 情報やデータを分析し、その結果から将来予測やリスク予知などを行うことができる
    AIは、財務情報や人的資本に関するデータを分析して、そこから人件費や人員構成に関する将来予測を行うことができます。また、労働時間に関するデータをモニタリングして、メンタル不調に陥るリスクがある従業員を抽出することもできます。

このように、AIの機能を活かせば、給与計算業務の自動化から、人材配置の最適化や健康経営の実現に至るまで、あらゆる人事業務の効率化・高度化を図ることが可能です。皆さんの会社でも、このコラムを参考にしてAIの活用を積極的に進めていただきたいと思います。

次回のコラムからは、採用選考、人材配置、給与計算、人材育成、健康管理などの人事業務ごとにAI活用の事例を紹介し、そのポイントと注意点について解説していきます。

バナー画像:経営コンサルタント深瀬勝範氏が解説 オンボーディングの効果的な進め方(無料ダウンロードはこちら)

著者プロフィール

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社
代表取締役 人事コンサルタント 社会保険労務士
一橋大学卒業後、大手電機メーカーに入社、その後、金融機関系シンクタンク、上場企業人事部長等を経て独立。
現在、経営コンサルタントとして人事制度設計、事業計画の策定などのコンサルティングを行うとともに執筆・講演活動などで幅広く活躍中。
主な著書に『はじめて人事担当者になったとき知っておくべき、7の基本。8つの主な役割』『Excelでできる戦略人事のデータ分析入門』(いずれも労務行政)ほか多数。​