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【2025年版】サイバー攻撃とは?種類・手法から企業が実施すべき情報セキュリティリスク対策

  • セキュリティリスク

デジタル化が進む現代において、企業や個人を狙ったサイバー攻撃は年々巧妙化し、深刻な脅威となっています。ランサムウェア、標的型攻撃、ゼロデイ攻撃など多様な手法による情報漏洩やシステム停止などの被害があとを絶ちません。

そのようなサイバー攻撃に対して、企業にはどのような対策が求められるのでしょうか。

この記事では、サイバー攻撃の基本から主要な攻撃の種類・手法と併せて、情報セキュリティリスクを減らすために企業が実施すべき対策について詳しく解説します。

1. サイバー攻撃とは?

サイバー攻撃とは、コンピュータやネットワークシステムに対して、不正なアクセスやデータの窃盗、改ざん、破壊などを試みる行為全般を指します。

攻撃者の目的は金銭の窃取、企業秘密や個人情報といった機密情報の取得、社会インフラの機能停止など多岐にわたります。

ここでは、サイバー攻撃を理解するうえで基本となる「サイバー脅威・リスク」との違いや、これまでの歴史と変遷について説明します。

1-1. サイバー攻撃とサイバー脅威・リスクの違い

サイバー攻撃を理解するうえで、まずは「脅威」と「リスク」という類似用語との違いを理解することが重要です。

「サイバー脅威」は、情報システムのセキュリティを脅かす潜在的な原因そのものを指します。

一方、「サイバーリスク」は、脅威がシステムの脆弱性を利用して攻撃を行ない、それによって損害が発生する可能性や影響の大きさを示すものです。

つまり、サイバー脅威の具体的な行動がサイバー攻撃であり、その結果として発生する損害の可能性がサイバーリスクとなります。

1-2. サイバー攻撃の歴史と変遷

世界で初めて大規模な被害をもたらしたサイバー攻撃は、1988年に発生した「モリスワーム」事件といわれています。

1990年代になると、インターネットの普及とともに、さらにサイバー攻撃の件数が増加しました。当時はまだ単純なウイルスやワームが主流でしたが、手法も少しずつ進化していきました。

2000年代に入るとフィッシングやDDoS攻撃など、より巧妙な手口が本格化します。近年では、ゼロデイ攻撃や公的機関などになりすましたメール攻撃が増加しており、IT技術の進化とともに攻撃手法も日々複雑化・高度化し続けています。

2. サイバー攻撃の主要な種類・手法

サイバー攻撃者は単一の手法だけでなく、さまざまな種類の手口を組み合わせて標的を狙います。そのため、代表的な攻撃の種類と手法について理解しておくことが重要です。

ここでは、現代のビジネス環境で特に注意すべき主要なサイバー攻撃について解説します。

2-1. マルウェア攻撃(ランサムウェア・スパイウェア)

マルウェア攻撃とは、不正な動作を目的に作成されたソフトウェアを悪用する攻撃の総称です。

代表的なものに、データを暗号化して身代金を要求する「ランサムウェア」や、ユーザーが気付かないうちにコンピュータに侵入し、個人情報や機密情報を盗み出す「スパイウェア」などがあります。

これらのマルウェアは、メールの添付ファイルや不正なWebサイトを経由して感染を拡大させます。

ランサムウェアについてはこちらの記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。

ランサムウェアとは?最新動向から企業が実施すべき対策を簡単に解説

2-2. フィッシングメール攻撃

フィッシングメール攻撃は、実在する金融機関や有名企業などを装った偽のメールを送りつけ、受信者を騙して機密情報を盗み出す詐欺手法です。

メール本文のリンクから偽のログインページやWebサイトに誘導し、入力されたIDやパスワード、クレジットカード情報などを不正に取得します。攻撃者は緊急性を煽るような文面で受信者の心理を巧みに操り、冷静な判断をさせないように仕向けます。

2-3. DDoS攻撃

DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)は、複数のコンピュータから標的のサーバーやネットワークに対し、処理能力を超える大量のアクセスやデータを同時に送りつける攻撃です。

攻撃を受けたサーバーは過負荷状態に陥り、Webサイトの閲覧ができなくなるなど、正常なサービス提供が困難になります。攻撃は多くの場合、マルウェアに感染させて乗っ取った多数のコンピュータが利用されます。

2-4. SQLインジェクション

SQLインジェクションは、Webアプリケーションにおけるセキュリティ上の不備(脆弱性)を悪用する攻撃手法です。攻撃者は、Webサイトの入力フォームなどにデータベースへの命令文(SQL文)を注入し、データベースを不正に操作します。

この攻撃により、データベース上にある顧客情報や個人情報などの機密データが漏洩したり、Webページの内容が改ざんされたりする被害が発生します。

2-5. ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃とは、OSやソフトウェアに存在する未知の脆弱性が発見されてから、開発元が修正プログラムを提供するまでの期間(ゼロデイ)を狙って行なわれるサイバー攻撃です。

修正プログラムが存在しない無防備な状態を狙うため、防御することは困難とされています。この攻撃は、発見から対策までの時間差を利用するため、企業には迅速な対応が求められます。

2-6. 中間者攻撃(MITM・MITB)

中間者攻撃は、二者間の通信に攻撃者が不正に侵入し、送受信されるデータを盗聴・改ざんする攻撃の総称です。

代表的なものに、通信経路上に割り込む「MITM(Man in the Middle)攻撃」があり、その一種として、Webブラウザを直接標的とする「MITB(Man in the Browser)攻撃」も存在します。

利用者は通信が乗っ取られていることに気付きにくいため、知らないうちに重要な情報が盗まれる危険性があります。

2-7. ソーシャルエンジニアリング攻撃

ソーシャルエンジニアリングは、技術的な手法ではなく、人間の心理的な隙や行動のミスを利用して機密情報を盗み出す攻撃手法です。

具体的には、パソコンなどの画面を覗き見してパスワードなどを盗むショルダーハッキングや、ゴミ箱に捨てられた書類から重要情報を探すトラッシングなどが挙げられます。そのほかにも、電話でシステム管理者になりすましてパスワードを聞き出す手口もあります。

この攻撃では、従業員のセキュリティ意識の欠如が、直接的な情報漏洩の原因となり得るため、対策としては従業員へのセキュリティ教育が重要です。

2-8. サプライチェーン攻撃

サプライチェーン攻撃は、製品の調達から製造、販売に至る一連の商流(サプライチェーン)にかかわる、セキュリティ対策が手薄な組織やソフトウェアの脆弱性を悪用する攻撃手法です。

攻撃者は、ターゲットの大企業を直接狙うのではなく、取引先や業務委託先、利用しているソフトウェア開発会社などを経由して侵入を試みます。企業間の信頼関係や、正規のソフトウェア更新などを悪用するため、検知が困難で巧妙な攻撃といえます。

2-9. APT攻撃(高度持続的脅威)

APT攻撃(Advanced Persistent Threat)は、特定の組織を標的として長期間潜伏しながら行なわれる、極めて高度で執拗なサイバー攻撃です。

攻撃者は目的達成のために、複数の手法を組み合わせて水面下で活動を続け、機密情報の窃取やシステムの破壊を狙います。国家や特定の組織が背後にあるケースが多く、経済的・政治的な目的を持って実行される傾向があります。

2-10. IoT機器を狙った攻撃

IoT機器を狙った攻撃は、インターネットに接続された監視カメラ、スマート家電、工場の制御システムなどに潜む脆弱性を悪用するものです。

多くのIoT機器は、出荷時の簡単なパスワードがそのまま使われていたり、セキュリティ更新が十分ではなかったりするため、攻撃の標的になりやすい傾向があります。乗っ取られた機器はDDoS攻撃の踏み台のほか、盗撮や盗聴に悪用される危険性があります。

2-11. クラウドサービスを標的とした攻撃

クラウドサービスを標的とした攻撃は、企業が利用するクラウド環境の設定ミスや認証情報の不備、APIの脆弱性などを突いて行なわれます。

クラウド上には企業の重要なデータが大量に保管されているため、一度不正アクセスを許すと甚大な情報漏洩につながりかねません。テレワークの普及などによりクラウド利用が拡大するなか、クラウドサービスのセキュリティ確保は重要な課題です。

3. サイバー攻撃による情報セキュリティリスク

サイバー攻撃によって引き起こされる情報セキュリティリスクは、企業の事業継続を根底から揺るがしかねない深刻な問題です。

これらのリスクに適切に対処するために、情報セキュリティの3つの要素と、攻撃によってそれらが侵害された場合に生じる具体的なリスクについて解説します。

3-1. 情報セキュリティの3要素と3種類の脅威

情報セキュリティを維持するためには、「機密性」「完全性」「可用性」という3つの要素をバランス良く保つことが不可欠です。サイバー攻撃によってこれらの要素が侵害されると、企業の存続にかかわる重大な問題へと発展しかねません。

これらを脅かす脅威は、マルウェア感染や不正アクセスといった「意図的脅威」、人的ミスによる情報漏洩などの「偶発的脅威」、自然災害を発端としてサービスが利用できなくなる「環境的脅威」に大別されます。

3つの要素は、いずれの脅威によっても侵害される可能性があり、このうち、「意図的脅威」にさらされると次のような問題に発展します。

3-2. 機密性の侵害:個人情報・機密情報の漏洩

機密性とは、認可された者だけが情報にアクセスできる状態を指し、これが破られると情報漏洩リスクが発生します。

不正アクセスや内部犯行によって顧客情報や技術情報が外部に流出した場合、企業の競争力低下に直結することはもちろん、損害賠償請求や社会的信用の失墜は避けられません。一度失った信頼を回復するには、多大な時間とコストを要します。

3-3. 完全性の喪失:データ改ざん・破壊リスク

完全性とは、データが正確かつ最新の状態に保たれていることを意味します。サイバー攻撃によってデータが改ざんされたり破壊されたりすると、その結果として情報の信頼性が失われ、業務プロセスや経営判断に誤りが生じる危険性があります。

改ざんに気付かないまま事業を継続した場合、生産品質の低下や不正な取引の発生など、深刻な被害につながる可能性が考えられるでしょう。

3-4. 可用性の低下:システム停止・業務中断

可用性とは、必要なときにいつでも情報システムやデータを安全に利用できる状態を確保することです。DDoS攻撃や災害などによってサーバーやネットワークが停止すると、Webサイトの閲覧やオンラインサービスが利用できなくなり、事業活動そのものが中断してしまいます。

サービスの停止は直接的な売上機会の損失に加え、顧客離れやブランドイメージの低下といった長期的な損害をもたらします。

4. 情報セキュリティリスクを減らす!企業が実施すべきサイバー攻撃対策

巧妙化し続けるサイバー攻撃に対し、単一のセキュリティ対策だけで企業の情報資産を守り抜くことは困難です。そのため、侵入を前提とし、複数の防御壁を設ける「多層防御」という考え方が重要になります。

ここでは、企業のセキュリティレベルを向上させるために実践すべき具体的な対策について解説します。

4-1. 入口対策(侵入防止)

入口対策は、外部からの脅威が社内ネットワークに侵入することを水際で防ぐ、最も基本的な防御策です。ファイアウォールによる不正な通信の遮断や、ウイルス対策ソフトによるマルウェアの検知・駆除が代表的な例です。

これらに加え、IDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)や、不審なメールをブロックするスパムフィルタなどを組み合わせ、多重の防御壁を構築します。

4-2. 内部対策(権限管理・監視)

万が一、攻撃者の侵入を許してしまった場合に被害の拡大を防ぐ施策が内部対策です。具体的には、従業員やシステムに必要最小限の権限のみを与えることにより、内部での不正な活動範囲を限定します。

また、サーバーのアクセスログを常時監視し、不審な挙動を早期に検知する仕組みの導入や、特権IDの厳格な管理と利用状況の追跡が不可欠です。

4-3. 出口対策(情報持出防止)

出口対策は、マルウェア感染や内部不正によって、企業の重要な情報が外部へ送信されることを防ぐ最後の砦です。社内から外部への通信を監視し、不審な宛先へのデータ送信を検知・遮断する仕組みを導入します。

具体的には、プロキシサーバーを設置して通信内容を検査したり、次世代ファイアウォールによって許可されていないアプリケーションの通信をブロックしたりする方法が有効です。

4-4. 従業員のセキュリティ教育と訓練

どれほど高度な技術的対策を導入しても、それを利用する従業員のセキュリティ意識が低ければ、その効果は半減してしまいます。

フィッシング詐欺などの人間の心理を突く攻撃はあとを絶たないため、定期的なセキュリティ教育や実際の攻撃を想定した訓練は欠かせません。最新の攻撃手法やその対策について全社的に共有し、組織全体のセキュリティリテラシーを向上させることが重要です。

4-5. セキュリティツールの統合運用

ファイアウォールやウイルス対策ソフトなど、複数のセキュリティツールを個別に運用していると管理が煩雑になり、インシデント発生時の迅速な対応が困難になります。

これらのツールを1つのプラットフォームで統合管理することによって、セキュリティ状況の全体像が把握しやすくなります。統合運用を行なうことで、インシデント発生時は相関分析によって原因を素早く特定し、被害を最小限に抑えることも可能です。

4-5. ゼロトラスト・セキュリティモデルの導入

ゼロトラストとは、「信頼せず常に検証する」を前提に、すべてのアクセスを検証するセキュリティの考え方です。ゼロトラスト・セキュリティモデルでは、次の3つの基本原則に基づいて構築されます。

  • すべてのエンティティを信頼しない
  • 最小限の権限アクセスを適用する
  • 継続的なセキュリティモニタリングを行なう

従来の「社内は安全、社外は危険」という境界型防御モデルとは異なり、社内ネットワークからのアクセスであっても安全とは見なしません。

クラウドサービスの利用やテレワークが普及した現代において、社内外の区別なく、すべての通信を監視・認証するゼロトラスト・セキュリティモデルの導入は不可欠です。

ゼロトラストについてはこちらでも詳しく解説しているため、併せてご覧ください。

「ゼロトラスト(zero trust)とは?いまこそ知るべきセキュリティの概念」

まとめ

サイバー攻撃は情報漏洩やシステム停止といった直接的な被害だけではなく、企業の社会的信用も大きく損なう経営リスクです。この記事では、具体的な対策についても解説しましたが、自社にとって最適なセキュリティ対策を立案し、実行に移すことは容易ではありません。

サイバー攻撃の脅威は絶えず変化し、企業ごとに抱えるリスクや必要な対策も異なるため、専門的な知識と経験が不可欠です。

キヤノンITソリューションズでは、マルウェア解析やセキュリティ技術の研究を専門に行なう「サイバーセキュリティラボ」を有しています。

そこで培った高度な知見やノウハウをもとに、専任のエンジニアがお客さまの状況をヒアリング。現状のセキュリティ対策を可視化し、課題を明確にします。その診断結果に基づき、各企業の実情に合わせた最適なサイバー攻撃対策をご提案いたします。

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