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経理DXで予算管理や将来予測を高度化し、
持続的成長を支えるデータドリブン経営を実現

Our Challenges 私たちの取り組み

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公開日:2025年12月26日

企業の持続的成長には、迅速かつ的確な経営判断が不可欠です。この経営判断において重要な意味を持つ多くのデータ資産が蓄積されているのが経理・会計部門です。しかし、ミスが許されないという業務の性質から、経理・会計部門はこれまで「守り」に徹してきた面が否めません。本記事では、経理DXによってバックオフィスの経営データを統合・可視化することで、勘・経験・度胸(KKD)に頼った予算管理や将来予測から脱却し、多角的な分析を駆使したデータドリブン経営を実現する道筋について解説します。

今求められる経理DX―データドリブン経営の最初の一歩

VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)時代とも言われる現在、企業を取り巻く環境は従来の経営手法では追いつかないほど急速に変化しています。経営データの把握は、年次決算から四半期、月次、さらには週次・日次へとリアルタイム性が求められるようになり、これらのデータを活用していち早く変化に対応できなければ、ビジネスの成長を維持することはできません。

従来のKKDによる予算策定、事業計画にも限界があります。前年度の実績に係数をかけただけの予算策定では、実際の実績との間で差異が生じても、なぜそうなったのかについての納得できる分析を行えず、即座に適切な対策を講じることが難しくなります。こうした状況を踏まえても、データに基づいて客観的かつ迅速な意思決定を行うデータドリブン経営の実現、その最初の一歩としての経理DXが今まさに求められているのです。

経理・会計部門は、全社の売上、原価、販管費、そして利益を総合的に把握できる唯一の部門です。現場単位の売上総利益から共通経費を加味した営業利益、さらには当期の純利益まで、企業の損益全体を一気通貫で管理しています。ただ、これまでは「正しくやって当たり前」という前提の中で、月次決算、四半期決算、年次決算という定型業務や、受け身の管理業務に時間をとられがちでした。

しかし、最新のデータ分析に基づいた新たな戦略提案といったデータドリブン経営の中心的役割を担えるのは、価値の高い経営データが蓄積された経理・会計部門をおいて他にはなく、持続的な成長を支える経営の戦略的なパートナーとしての大きな役割が期待されています。

データドリブン経営を阻む壁をいかにして解消するか

経理DXを通じて経理・会計部門がデータドリブン経営の中心的役割を担うようになるためには、いくつかの大きな壁があります。まず、多くの企業では依然としてExcelを使った手作業での経営データの管理が主流となっています。販売システムや生産管理システムからCSV形式で膨大な明細データを取得し、Excelに貼り付けて集計する。こうした作業に多くの時間が費やされています。

さらに、バラバラのExcelファイルで保存された過去データは、分析用途に適しているとは言えません。分析軸を変えたい、新しい切り口でデータを見たいと思っても、Excel上のデータを一元的に変換することは容易ではなく、プログラム化したとしても、都度の要件変更には改修が必要となり、IT部門への依頼と待ち時間が発生します。こうして「やりたいけれどできない」という状況が常態化してしまっているのです。

こうした課題に対して、多くの企業はBIツールの導入を検討します。しかし、ここでも会計データ特有の複雑さが新たな壁となります。会計では勘定科目ごとに貸借の属性を持ち、利益計算を行うためには一定のルールに則った加減算が必要となりますが、部門別・製品別の損益を正しく算出するためには、これらのルールを正確に組み込む必要があります。一般的なBIツールでは、こうした会計ルールを最初から設定しなければならず、集計結果の検算や最終的なExcelでの加工作業が残ってしまいます。

この課題を解決する鍵となるのが「データの統合・可視化」です。データドリブン経営では、データの収集→蓄積→分析→配布というサイクルの確立が不可欠です。バラバラのExcelファイルを集計するのではなく、複雑な会計ルールが標準機能として組み込まれたデータベース上に過去データも含めたすべてのデータを集約することで、分析の応用性・拡張性が飛躍的に向上し、新しい分析軸での集計も容易になります。

図1.  経理DXを通じて解消すべき、経理・会計部門のデータドリブン経営を阻む壁

データの統合・可視化による経理DXがもたらす成果

では、データの統合・可視化による経理DXは、実際にどのような成果を生み出すのでしょうか。ある企業グループでは、販売管理システム、生産管理システムなど複数のシステムとデータが自動連携する新たな統合会計システムを導入し、グループ経営管理の機能を活用することで、月次決算帳票の作成作業を大幅に効率化しています。具体的には、従来はExcelでの手作業による帳票作成にグループ主要2社で7時間、その他6社で3時間を要していましたが、すべてのデータが統合された会計システムに切り替えたことで、主要2社は15分、その他の6社は10分へと、それぞれ約28分の1、約18分の1に短縮されました。

図2.経理DXがもたらす成果、会計データの統合・可視化による月次帳票の効率化

データの統合・可視化がもたらす成果は、時間の削減というコスト面でのメリットだけではありません。業務の質も飛躍的に向上します。手入力による転記作業がシステム間のデータ連携で自動化されたことで、人的ミスは完全に排除されたほか、過去に放置されていたミスを改善するなど、経営に報告するデータの信頼性は大きく高まっています。​

また、経理・会計部門の役割も大きく変化しました。時間的余裕が生まれたことで新たなデータ分析にチャレンジできるようになり、「こういった帳票が出せないか」「こういう見方でデータを分析したい」といった要望が経営層や事業部門から寄せられるようになり、経理・会計部門は"頼られる存在"へと生まれ変わり、業務に対するモチベーションも向上しています。

新たな未来の創造に向けた仮説検証型経営の実現

データの統合・可視化に続く次のステージは、「過去の集計・分析」から「将来の予測・設計」への進化です。持続的成長の実現と新たな未来の創造―。データドリブン経営が企業にもたらす最大の価値は、まさにここにあります。

この仮説検証型経営の実現には、明確な根拠に基づく予算策定が不可欠です。売上高が増減するのであれば、それは数量・単価の変動とどう関連しているのか。その変動要素は、景気動向や他社競合の動きによっても影響を受けます。また、どの商品について増減する見込みなのかを、より詳細な裏付けを持って予算を立てる必要があります。こうした複数の仮説とシナリオを用意し、前提条件が変わったときの影響を事前に把握することで、柔軟な経営判断が可能になります。

図3.仮説検証型経営の実現のために考慮すべき内部要因と外部要因

こうした予測型経営を実現するために、キヤノンITSが提供するのが「SuperStream-NX」と「DeRISK」です。「SuperStream-NX」は、日本企業の会計ルールと業務にマッチした国産の会計・人事給与業務パッケージ製品として、すでに11,000社以上の導入実績を誇ります。「DeRISK」は仮説検証型経営に向けた予測作成と継続管理を行うためのシステムであり、予実対比の管理は「SuperStream-NX」で、予算自体の適正判断と見直しなどは「DeRISK」を利用いただくことで、予測型経営を全方位で支援します。

SuperStream-NX」を導入することで、データベース上での自動集約、経営ダッシュボードによる可視化、会計情報と非会計数字の同時分析などにより、経営に必要な情報をリアルタイムで把握することができます。グループ全社の合計から個社別、事業部別、部門別、商品別へのドリルダウン分析も可能で、根拠のある予算策定や予算実績対比、複数シナリオでの管理が容易になります。

データドリブン経営は、単なるシステム導入ではありません。経理DXによって経理・会計部門が「守り」から「攻め」に転じ、持続的成長を支える戦略的なパートナーへと生まれ変わるための取り組みでもあります。キヤノンITSは、お客さまの業務課題・経営課題を丁寧にヒアリングしながら、「SuperStream-NX」を基盤として手作業で行われていた業務をシステム化し、データドリブン経営の実現を支援します。まずは自社内で活用できていないデータの棚卸しなど、経理DXの最初の一歩を踏み出してみませんか?

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会計・人事給与システム・SuperStream-NX

企業の経営資源を適切に把握し、その計画と管理の中核を担うシステムが、会計システムと人事給与システムです。SuperStream(スーパーストリーム)は、会計システム、固定資産管理システム、人事給与システム、グループ経営管理システムで企業のバックオフィスの最適化を実現します。