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企業の成長を牽引!経理DXの進め方とポイント
キヤノンITソリューションズ 共想共創フォーラム2025イベントレポート

経済社会のデジタル化により、企業経営の在り方や業務プロセスは大きく変化しました。さまざまな分野でデジタル化・DXの必要性が叫ばれており、今後の企業の成長や持続可能性はデジタル化・DXの成否に依存するといっても過言ではありません。
しかし、根強い紙・ハンコ文化や業務の属人化が障壁となり、デジタル化・DXが思うように進んでいない企業も少なくありません。本セッションでは、経理業務のDX推進のポイントとDXによって企業の成長を牽引し生産性や価値を高める術を、経理DXに成功した企業の事例も踏まえて解説します。

辻・本郷 ITコンサルティング株式会社 取締役
菊池 典明 様

セミナー動画(視聴時間:50分42秒)

こんな方におすすめ

  • 中堅~大企業の経理・財務部門の責任者

    DX推進の必要性を感じているが、具体的な進め方に悩んでいる方

  • バックオフス業務の改善を担当する企画・IT部門の担当者

    業務効率化やシステム導入の検討をしている方

  • 経営企画・管理部門のマネージャー層

    経営判断に必要なデータの整備や管理会計の導入を検討している方

  • 中小企業の経営者・役員

    インボイス制度や電子帳簿保存法への対応をきっかけに、経理DXを進めたい方

  • 会計ソフト・ERPの導入を検討している企業の情報システム部門

    クラウド型会計ソリューションやAPI連携に関心がある方

  • 税理士・会計事務所のDX支援担当者

    クライアント企業の業務改善やデジタル化支援を行っている方

企業の成長を牽引!経理DXの進め方とポイント

バックオフィスから始めるデジタル変革

図:バックオフィスのあるべき姿

企業の成長を支える経理部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)について、実践的な進め方と成功のポイントを解説しました。講演では、辻・本郷 ITコンサルティング株式会社の菊池典明氏が、経理DXの本質とその効果、導入における課題と解決策を具体的に紹介。さらに、Canon IT Solutionsによる「SuperStream-NX」の活用事例を通じて、実際の業務改善の流れや成果も共有されました。

経理DXは、単なる業務効率化ではなく、企業の意思決定を支える情報基盤の構築を目指すものです。特にバックオフィス業務は多くの従業員に共通するため、ここからDXを進めることで、全社的な変革の土壌が形成されます。インボイス制度や電子帳簿保存法などの法制度の変化も、経理DXを後押しする重要な要素です。

DX推進の3ステップ(デジタイゼーション→デジタライゼーション→デジタルトランスフォーメーション)を軸に、業務の棚卸し、システム選定、プロセス再設計の重要性が強調されました。また、AI-OCRやデジタルインボイスの活用により、入力作業の削減や業務の自動化が進み、経理部門が経営のナビゲーターとして機能する未来像が描かれました。

経理DXに取り組む企業にとって、実践的なヒントと導入の指針を提供する内容となります。

経理DXとは?

図:経理業務のDX化

経理DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務のデジタル化にとどまらず、企業の競争力を高めるための戦略的な取り組みです。従来の経理業務は紙やハンコに依存し、属人的なノウハウに頼る非効率なプロセスが多く存在していました。DXの本質は、こうしたアナログな業務をデジタル技術によって再設計し、業務の効率化・高度化を図ることで、経営判断を支える情報基盤を構築することにあります。

特にバックオフィス業務は多くの従業員に共通するため、ここからDXを進めることで、全社的な変革の土壌が形成されます。業務の棚卸しを行い、「コア業務(経営判断に直結する業務)」と「ノンコア業務(日常的な定型業務)」を明確に区分し、それぞれに適したデジタル化を進めることが重要です。

また、インボイス制度の導入により、請求書の標準化・構造化が進み、システム間の自動処理が可能となるなど、法制度の変化も経理DXを後押ししています。これらの取り組みにより、経理部門は単なる集計係から、企業の意思決定を支えるナビゲーターへと進化し、企業の成長を直接的に牽引する存在となります。

  • 業務の棚卸しと分類:コア業務とノンコア業務を明確にし、それぞれに適したデジタル化を推進。
  • バックオフィスからの全社DX推進:共通業務の改善が、全社的な変革の起点となる。
  • インボイス制度による標準化・構造化:請求書のデジタル化が業務効率化と自動化を加速。
  • 属人的な業務からの脱却:ノウハウ依存から、データに基づく業務運営へ転換。
  • 経営判断を支える情報基盤の構築:リアルタイムで正確なデータ提供により、意思決定の質を向上。

DX推進を阻む3つの壁

図:DX推進を阻む3つの壁

多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいるものの、実際には思うように進まないケースが少なくありません。その背景には、現場やバックオフィスに根強く残るアナログ文化や、業務の忙しさによる時間的制約、そしてDXの進め方が分からないという課題があります。

特に経理部門では、紙やハンコに依存した業務プロセスが残っており、デジタル化への抵抗感が強い傾向があります。また、日々のルーティン業務に追われる中で、新しい取り組みに時間を割く余裕がないという現実もあります。さらに、DXを進めたいという意志はあっても、「どこから手を付ければよいか分からない」という声も多く、初動の段階でつまずいてしまう企業が多いのです。

こうした壁を乗り越えるためには、まず業務の棚卸しを行い、改善すべき領域を明確にすることが重要です。そして、属人的な業務から脱却し、デジタル技術を活用した効率化・自動化を進めることで、DXの土台を築くことができます。バックオフィス業務から着手することで、全社的なDX推進の流れをつくることが可能になります。

  • 初動の迷い:「何から始めればよいか分からない」という課題が多く、計画段階で停滞しがち。
  • 業務の忙しさ:日常業務に追われ、新しい取り組みに時間を割けない。
  • アナログ文化の根強さ:紙・ハンコに依存した業務体質が、デジタル化への抵抗要因に。
  • 属人的な業務運営:個人のノウハウに依存した業務が多く、標準化・自動化が進みにくい。
  • バックオフィスからの着手が効果的:共通業務の改善が、全社的なDX推進の起点となる。

DXの重要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務のデジタル化ではなく、企業が競争優位性を確立するための本質的な変革です。特に経理部門におけるDXは、業務効率化だけでなく、経営判断を支える情報基盤の構築に直結します。これにより、企業は迅速かつ的確な意思決定を可能にし、変化の激しい市場環境に柔軟に対応できるようになります。

DXの本質は、データとデジタル技術を活用して、製品・サービス・ビジネスモデルだけでなく、業務プロセスや組織文化そのものを変革することにあります。従来の属人的な業務運営やアナログな処理では、限界があり、企業の成長を阻害する要因となっていました。DXを推進することで、業務の標準化・自動化が進み、人的ミスの削減や生産性の向上が実現します。

また、バックオフィス業務からDXを始めることで、全社的な変革の土台が築かれます。共通業務の改善は、社員一人ひとりがDXのメリットを実感するきっかけとなり、組織全体の意識改革にもつながります。経理DXは、企業の成長を牽引する戦略的な取り組みとして、今後ますます重要性を増していくでしょう。

  • 競争優位性の確立:単なるIT導入ではなく、企業の本質的な変革を目指す。
  • 意思決定の質向上:データに基づく迅速かつ的確な経営判断が可能に。
  • 業務の標準化・自動化:属人的な業務から脱却し、生産性を向上。
  • バックオフィスからの全社展開:共通業務の改善が、全社的なDX推進の起点に。
  • 組織文化の変革:社員がDXのメリットを実感することで、意識改革が進む。

コア業務とノンコア業務の見極め

経理DXを推進するうえで最初に取り組むべきは、業務の棚卸しと分類です。すべての業務を一律にデジタル化するのではなく、組織にとっての「コア業務」と「ノンコア業務」を明確に区分し、それぞれに適したアプローチを取ることが重要です。

コア業務とは、経営判断に直結する情報を提供する業務であり、企業の付加価値を高める役割を担います。具体的には、予実管理、管理会計、資金繰り、経営分析などが該当します。一方、ノンコア業務は、日常的な定型業務であり、記帳、請求書発行、入金消込、経費精算などが含まれます。これらは直接的な付加価値は低いものの、業務運営には欠かせない重要なプロセスです。

DXの進め方としては、まずノンコア業務の効率化・自動化を図り、人的リソースを削減することで、コア業務に集中できる体制を整えることが理想です。デジタル技術やシステムを活用することで、業務の見える化やプロセスの最適化が可能となり、経理部門が経営の意思決定を支援する戦略的な役割へと進化します。

このように、業務の性質に応じたデジタル化の優先順位を明確にすることが、経理DX成功の鍵となります。

  • 業務の棚卸しが出発点:すべての業務を洗い出し、コア/ノンコアに分類する。
  • コア業務は高度化・適時化を目指す:経営判断に資する情報提供が目的。
  • ノンコア業務は効率化・自動化が鍵:定型業務の負担を軽減し、リソースを最適化。
  • デジタル技術の活用で業務プロセスを最適化:見える化と標準化が進み、属人性を排除。
  • 経理部門の役割が戦略的に変化:集計係から経営のナビゲーターへと進化。

インボイス制度とデジタルインボイス

図:紙の請求書からデジタルインボイスへ

インボイス制度は、消費税の適正な課税を目的として導入された制度であり、取引における税率や税額を正確に伝達することを求めています。しかし、それだけではなく、請求書の「標準化」と「構造化」を促進することで、企業間の取引データの自動処理を可能にするという、業務効率化の側面も持ち合わせています。

従来の紙やPDF、CSV形式の請求書は、発行者側の業務効率化には寄与するものの、受領者側では手入力や確認作業が必要で、業務負担が残っていました。これに対し、Peppol準拠のデジタルインボイスは、標準化・構造化されたデータ形式により、発行から受領、支払、会計処理までを一気通貫で自動化することが可能です。

この仕組みにより、企業は入力ミスの削減、確認作業の省力化、業務のスピードアップを実現できます。また、システム間の違いを問わずデータ連携が可能となるため、企業規模や業種を問わず導入効果が期待できます。経理業務のDX化を進めるうえで、デジタルインボイスは非常に重要な要素であり、今後の業務設計において中心的な役割を果たすでしょう。

  • 請求書の標準化・構造化が進む:データ形式の統一により、システム間の自動処理が可能に。
  • 発行者・受領者双方の業務効率化:デジタルインボイスにより、手入力や確認作業を削減。
  • Peppol準拠で一気通貫の処理が可能:発行・受領・支払・会計処理までを自動化。
  • 法制度がDXを後押し:インボイス制度の導入が、経理業務のデジタル化を加速。
  • 業務の透明性と正確性が向上:データ連携により、ミスの防止と業務スピードの向上が実現。

DXを推進するための3ステップ

図:DXを推進するための3つのステップ

DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるためには、段階的なアプローチが不可欠です。特に経理部門においては、業務の性質や現場の状況に応じて、3つのステップを踏むことで、着実な変革を実現できます。

第1ステップは「デジタイゼーション(Digitization)」です。これは紙やハンコなどのアナログな業務をデジタルデータに変換する段階であり、ペーパーレス化や電子帳簿保存法対応などが含まれます。ここでは、AI-OCRや証憑管理システムの導入が効果的です。

第2ステップは「デジタライゼーション(Digitalization)」で、業務プロセスの自動化・再設計を行うフェーズです。例えば、デジタルインボイスを活用することで、請求書の発行・受領・支払までを一気通貫で処理できるようになります。これにより、業務のスピードと正確性が大幅に向上します。

最終ステップは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」です。ここでは、経理部門が経営判断を支える役割へと進化し、リアルタイムなデータ分析や管理会計の導入によって、企業の意思決定をリードする存在となります。

この3ステップを意識することで、単なるツール導入に終わらず、業務の本質的な変革と企業価値の向上を実現することが可能になります。

  • デジタイゼーション:紙の業務をデジタル化し、ペーパーレス・電子保存を実現。
  • デジタライゼーション:業務プロセスを自動化・再設計し、効率化と精度向上を図る。
  • デジタルトランスフォーメーション:経理部門が経営判断を支える戦略部門へ進化。
  • 段階的な導入が成功の鍵:一足飛びではなく、現場に合わせたステップで進める。
  • システム選定と業務見直しの両立が重要:ツールに業務を合わせる視点も必要。

導入事例と成果

経理DXの導入により、企業のバックオフィス業務は大きく変革され、業務効率化と経営支援の両面で成果が生まれています。ある導入事例では、従来のオンプレミス型会計ソフトの更新に多額の費用がかかることや、紙ベースの請求書処理に時間がかかるといった課題がありました。さらに、業務と経理の間で二重入力が発生し、入力ミスや工数の増加が問題となっていました。

これらの課題に対し、クラウド型会計ソリューションの導入と、AI-OCRによる証憑読み取り、API連携によるシステム間の統合を進めたことで、業務プロセスが一気通貫で処理可能となり、入力ミスの削減と作業時間の短縮が実現しました。また、インボイス制度への対応もスムーズに行えるようになり、制度改正時の追加費用も不要となりました。

さらに、経理業務の「見える化」が進んだことで、経営陣からの要請に応じた管理会計の導入やレポート精度の向上が可能となり、コア業務への注力が強化されました。これにより、経理部門は単なる事務処理から、経営判断を支える戦略的な役割へと進化しています。

  • AI-OCRによる証憑処理の自動化:インボイス確認作業の工数を大幅に削減。
  • API連携で二重入力を解消:業務と経理の統合処理により、入力ミスを防止。
  • クラウド型会計ソフトでコスト最適化:制度改正時の追加費用が不要に。
  • 業務の「見える化」で経営支援強化:管理会計やレポート精度の向上を実現。
  • ノンコア業務の効率化によりコア業務へ集中:経理部門が経営の意思決定を支える存在に。

SuperStream-NXによる支援

SuperStream-NXは、Canon IT Solutionsが提供する会計・人事業務に特化した統合型クラウドソリューションであり、経理DXを実現するための強力な支援ツールです。経理業務のデジタル化を段階的に進める「DX推進の3ステップ」に沿って、SuperStream-NXがどのように貢献するかが紹介されました。

まず、AI-OCRと証憑管理機能により、紙やPDFの請求書を自動で読み取り、仕訳データを生成。これにより、タイピングやファイリングの手間を削減し、ペーパーレス化と電子帳簿保存法への対応が可能になります。次に、Peppol準拠のデジタルインボイス機能を活用することで、請求書の発行・受領・支払・照合までを一気通貫で処理でき、業務の自動化と精度向上を実現します。

さらに、グループ経営管理機能では、各社の会計データをリアルタイムで集計・分析し、月次・週次・日次でのモニタリングが可能。これにより、経営判断のスピードと質が向上し、経理部門が企業の意思決定を支える戦略的な役割を果たすようになります。

SuperStream-NXは、操作性・法制度対応・システム連携の面でも高い評価を受けており、11,000社以上の導入実績を誇る信頼性の高いソリューションです。

SuperStream-NXの支援ポイント

  • AI-OCRと証憑管理で入力作業を自動化:ペーパーレス化と電帳法対応を同時に実現。
  • デジタルインボイスで業務を一気通貫処理:請求書発行から支払までを自動化。
  • グループ経営管理で意思決定を支援:リアルタイムなデータ分析で経営のスピードと精度を向上。
  • 高い操作性と制度対応力:30年の開発実績と90製品以上の連携で柔軟な導入が可能。
  • 11,000社以上の導入実績:中小企業から大企業まで幅広く対応する信頼のソリューション。

おわりに

経理DXの推進にあたり、業務の棚卸しやシステム選定、プロセスの再設計など、企業ごとに異なる課題やニーズが存在します。本セッションでは、SuperStream-NXをはじめとするソリューションの活用方法や導入事例を通じて、経理業務の効率化と経営支援の両立を実現するためのヒントが多数紹介されました。

本セッションの内容に関心を持たれた方や、自社の経理DXに関する課題を相談したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。キヤノンITソリューションズでは、企業規模や業種に応じた最適な提案を行っており、クラウド型からオンプレミス型まで幅広いモデルを提供しています。

また、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、AI-OCRやデジタルインボイスの導入など、具体的な技術面でのご相談も可能です。経理部門の業務改善やDX推進に向けて、専門スタッフが丁寧にサポートいたします。

  • 経理DXに関する課題や疑問を相談可能:業務改善やシステム導入の方向性を一緒に検討。
  • 企業規模・業種に応じた柔軟な提案:中小企業から大企業まで対応可能なモデルを提供。
  • 法制度対応の支援も充実:インボイス制度や電帳法への対応もサポート。
  • 専門スタッフによる丁寧な対応:導入前の不安や導入後の運用までしっかり支援。
  • 製品デモや資料請求:実際の操作感や機能を確認できる機会を提供。

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