第174回 令和6年度 税制改正について税務会計業務のポイント
公開日:2024年1月5日
12月14日に「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。今回の改正では、デフレ脱却を最優先課題と位置付け、物価上昇を上回る賃金の上昇を実現するために、所得税・住民税の定額減税や賃上げ減税の拡充等が行われることになります。また戦略分野への投資促進やイノベーション活性化による生産性向上を後押しするなどの経済成長の牽引に資する税制も整備されます。
目次
法人課税
法人課税では、賃上げ減税の拡充や、戦略分野への投資減税創設などを通じて、企業の内部留保活用と賃金引上げを促す施策が強化されます。
項目 | 内容 | 適用期日等 |
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賃上げ促進税制 【見直し】 減税
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賃上げの促進に係る税制の改組の概要
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令和6年4月1日~令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度 (3年間) |
戦略分野国内生産促進税制 【創設】 減税 |
産業競争力強化法の「事業適応計画」に基づく設備等を取得して、事業の用に供した場合の税額控除【適用法人】次の全ての要件を満たす法人
【対象資産】産業競争力基盤強化商品生産用資産 【税額控除】税額控除:いずれか小さい金額
控除限度:DX投資促進税制、カーボンニュートラル促進税制の税額控除額と合計で法人税額×40%(半導体生産用資産は20%)を限度)
【産業競争力基盤強化商品(仮称)とは】半導体、電気自動車等、鉄鋼、基礎科学品、航空機燃料など総事業費が大きく、特に生産段階のコストが高いものなどが対象 |
産業競争力強化法の事業適応計画の認定の日以後10年以内の日を含む各事業年度 |
イノベーションボックス税制 【創設】 減税 |
イノベーションを創出する民間による無形資産投資を後押しするため、税制上の支援策としてイノベーションボックス税制が創設【損金算入】特許権譲渡等を行った場合に、その事業から発生する一定の所得金額の30%相当額を損金算入 |
令和7年4月1日~令和14年3月31日までの間に開始する各事業年度 (7年間) |
外形標準課税における対象法人 【見直し】 増税 |
会計上の資本金から資本剰余金への項目振替の減資で外形標準課税の対象から外れる問題への対応策としての見直し【対象法人の拡大】現行基準に加え、追加基準が加わる
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減資対応: 令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用
100%子法人等への対応: 令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用
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主要規定の延長措置 |
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令和8年3月31日まで2年延長
令和9年3月31日まで3年延長
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個人所得課税
所得課税では所得税・住民税の定額減税、住宅減税関係を含む子育て世帯への支持拡充になります。
項目 |
内容 |
適用期日等 |
所得税・個人住民税の定額減税 減税 |
賃金上昇が物価高に追い付いていない負担を緩和する一時措置
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令和6年 |
ストックオプション税制 【要件緩和】 減税 |
権利行使時に経済的利益が非課税となる税制適格ストックオプションの要件緩和
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大綱では適用期日等の具体的な明記なし |
住宅ローン控除等(子育て支援策として1年限定) 減税 |
子育て世帯に支援策とし令和6年度のみの暫定措置
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令和6年 |
主要規定の延長措置等
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令和7年12月31日まで2年延長 |
資産税
項目 |
内容 |
適用期日等 |
主要規定の延長措置等 |
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令和8年12月31日まで3年延長
令和8年3月31日まで延長 |
消費課税
項目 |
内容 |
適用期日等 |
国外事業者に係る消費税の課税の適正化 |
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令和7年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供より
令和5年10月まで遡り不要
令和6年10月1日以後開始課税期間 |
納税環境整備その他
項目 |
内容 |
適用期日等 |
その他 |
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参考:賃上げ促進税制まとめ

著者プロフィール
アクタス税理士法人
東京と大阪を中心に計4拠点をもつアクタスグループの一員。 アクタス社会保険労務士法人、アクタスHRコンサルティング、アクタスITソリューションズと連携し、 中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、税務会計、人事労務、システム導入支援の各サービスを提供しています。