インボイス番号が取り消される!? ~一度取り消されたら2年は再登録できない~公認会計士 中田清穂のインボイス制度と電子帳簿保存法の解説講座
公開日:2023年11月30日
目次
だれでも知っているインボイス番号
10月1日からインボイス制度がスタートしました。
納入業者から入手する請求書、領収書あるいは納品書や契約書など、適格請求書等(インボイス)に、インボイス番号(正確には、適格請求書発行事業者番号)が記載されていないと、消費税の仕入税額控除が認められません。
インボイス番号は取り消されることがある
取引先にとって大変重要なインボイス番号ですが、納税地を所轄する税務署長に登録を取り消されることがあります。
それは、「消費税法に違反して罰金以上の刑に処せられた」場合です。
消費税法に違反して罰金刑を受ける可能性があるのは、以下のようなケースです。
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消費税の脱税
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申告書の提出漏れ(正当な理由がなく)
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申告書の提出遅れ(正当な理由がなく)
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適格請求書発行事業者以外の者による、適格請求書も含め適格請求書に間違われる可能性がある書類を発行
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適格事業者が適格請求書ではなく、適格請求書と間違われる可能性がある請求書を発行
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適格請求書を発行した場合でも、記載されている内容に虚偽があるとき
などです。根拠条文としては、消費税法第六十四条以降をご参照ください。
特に問題なのは、(5)と(6)にあるように、インボイス対応をきちんとしなければ、インボイス番号を失ってしまう恐れがあるということです。
そして、消費税の申告手続きも、以前より増して、きちんと行い、期限に間に合うように申告書を提出しなければなりませんね。
インボイス番号は一度取り消されると2年は再登録できない
所轄税務の税務署長に登録を取り消されてしまうと、2年は再登録できません。
みなさんは適格請求書発行事業者として登録する際に作成した申請書に、〔登録要件の確認〕欄 に「消費税法に違反して罰金以上の刑に処せられたことはありません。」欄 があったことを覚えていらっしゃいますか?
この欄が、登録を受理するかどうかを判断する上で、重要となってくるのです。
2年間、インボイス番号が記載できない請求書しか発行できないとなると、取引先からの税抜きでの請求を求められたり、取引が断られたりするなど、ビジネス上致命的になりかねません。
著者プロフィール
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。