第2回 AIによる書類選考、選考から入社までの進捗管理AIを使った人事業務の効率化事例
公開日:2026年4月27日
人事業務の中で、AI活用が最も進んでいるのは、採用分野です。この分野は、「入社希望者から提出される書類(エントリーシート、職務経歴書など)の読み取りや分析をAIが行うことができる」「書類送付などの作業が一定のステップを踏んで行われるため、AIを使った進捗管理に適している」等の理由により、AI活用が2015年頃から始まっていましたが、2020~2023年のコロナ禍の影響で一気に広がりました。
今回は、AIを使った採用業務の効率化の事例および注意すべき点について説明します。
目次
AIによる書類選考
採用業務では、多くの入社希望者からエントリーシートや職務経歴書などの書類を提出してもらいます。近年、これらの書類のほとんどは、Excelファイルなどで提出されることが多く、AIは、そこに記入されている文字をデータとして読み取ることができます。この機能を活用し、AIで過去に採用された者のエントリーシートで頻繁に使われていた単語を集計し、その傾向を分析すれば、エントリーシートを提出した入社希望者の中から採用するべき人材を判定することができます。AIによる書類選考により「採用業務の大幅な効率化」や「客観的で公平な判定」が実現するため、近年、新卒を大量採用する企業のほとんどが、それを導入しています。

AIの主な機能と人事業務の効率化・高度化
ただし、AIの選考結果だけで採用を決定するケースは、ほとんどありません。それは、AIを使った採用には、次のような問題点があるからです。
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AIで合否判定ができるということは、「入社希望者は、AIを使えば採用されやすいエントリーシート等を作成できる」ということも意味します。近年は、多くの入社希望者が、AIを使って採用されやすい(同じ内容の)エントリーシート等を提出してくるため、AIでは本当に優秀な人材を見分けることが困難になっています。
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AIは、過去の傾向から合否判定を行うため、この選考結果だけを使うと、採用される者の同質化が進んだり、採用傾向の改善が進まなくなったりする弊害が生じます。例えば、これまで男性を中心に採用していた会社においてAIによる書類選考を行うと、男性ばかりを合格させてしまい、女性活躍推進が遅れてしまいます。
このような問題点があるため、一般的に、会社は、AIを自社の採用ニーズに合わない者を不合格とする一次選考に使われ、人事部による面接等を行ったうえで、採用する者を最終的に決定しています。
AIによる選考から入社までの進捗管理
採用業務では、進捗管理が難しいと言われます。
広報、選考から内定を出すまでのそれぞれの段階で、会社は、入社希望者に様々な案内や通知を送ることが必要になります。これらの案内・通知は、合格者・不合格者および辞退者により文面が異なりますので間違ったものが送られないように注意しなければなりません。また、合格者からの返信が無い期間が続いた場合、人事部は、その者に連絡を取って、入社意思の有無について確認しなければなりません。
さらに、内定を出した後も、会社は、入社希望者に状況確認をしたり、様々な書類の準備をさせたり、定期的に連絡を取ることが必要です。そして、内定辞退者が出た場合には、速やかに追加募集を行う等の対応をとらなければなりません。

著者プロフィール
深瀬勝範(ふかせ かつのり)
Fフロンティア株式会社
代表取締役 人事コンサルタント 社会保険労務士
一橋大学卒業後、大手電機メーカーに入社、その後、金融機関系シンクタンク、上場企業人事部長等を経て独立。
現在、経営コンサルタントとして人事制度設計、事業計画の策定などのコンサルティングを行うとともに執筆・講演活動などで幅広く活躍中。
主な著書に『はじめて人事担当者になったとき知っておくべき、7の基本。8つの主な役割』『Excelでできる戦略人事のデータ分析入門』(いずれも労務行政)ほか多数。
