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未来志向の教育DX~郁文館のデジタルキャンパス戦略~
キヤノンITソリューションズ 共想共創フォーラム2025イベントレポート

郁文館夢学園は、「日本一のデジタルキャンパス構想」を推進しています。本セッションでは、当社の教育支援ソリューション「in Campus シリーズ」を活用して構築したアプリケーション「IDC」を用いてDXを実現し、さらなる高みを目指すための取り組みを紹介します。具体的な事例を通じて得られた郁文館夢学園の経験と知見を共有し、教育DXの進化と新たな可能性を探ります。デジタルキャンパス構想に興味のある方にとって、非常に有益なセッションです。

郁文館夢学園 人材開発室 室長
藤井 崇史 様

セミナー動画(視聴時間:30分50秒)

こんな方におすすめ

  • 私立中学・高等学校・校長・教頭

    教育の質向上と業務効率化を両立したい学校経営者
    ICT導入やDX推進に課題を感じている教育機関の意思決定者

  • 自治体の教育委員会・行政関係者

    学校向けソリューションを提供している企業(LMS、AI教材、校務支援システムなど)
    教育現場のニーズや導入事例を把握したいマーケティング・営業担当者

  • 教育コンサルタント・研修講師

    公立学校へのICT導入・教育DXを推進する立場の方
    モデル校事例としての郁文館の取り組みに関心がある行政担当者

  • 大学・教育学部の研究者・学生

    教員研修や学校改革支援を行う専門家
    教育現場の変革事例をもとに提案力を高めたい方

  • 保護者・教育に関心のある一般企業の人事担当者

    教育DXやICT教育に関する研究を行っている研究者
    実践的な事例を学びたい教育学部の学生や教職志望者

未来志向の教育DX ~郁文館のデジタルキャンパス戦略~

郁文館夢学園では、「夢教育」という独自の理念を軸に、ICTやAIを活用した教育DXを推進しています。本セッションでは、郁文館夢学園 人材開発室 室長 藤井氏に登壇いただき、2030年を見据えた未来型教育のビジョンと、それを実現するためのデジタルキャンパス戦略を、実際の導入事例とともにご紹介いただきました。

  • 「夢教育」×DX:理念とテクノロジーの融合
  • AI・ポートフォリオ・LMSを活用した個別最適化学習
  • 教員の業務効率化と教育の質向上を両立
  • 2030年を見据えた教育の未来像を提示
  • B2B・教育関係者にとっての実践的ヒントが満載

郁文館夢学園の教育理念

郁文館夢学園は、「子どもたちの幸せのためだけに学校はある」という教育理念のもと、すべての教育活動を展開しています。教育の目的は、生徒一人ひとりに夢を持たせ、その夢を追い、実現させることにあります。この理念を具現化するために、同学園では「夢教育プログラム」を中心に据え、将来の目標から逆算した教育指導を徹底しています。

図:沿革
図:教育理念・目的

夢教育プログラムには、「夢達人ライブ」「夢合宿」「夢手帳」「夢の日」「夢カウンセリング」などがあり、生徒が自らの夢を明確にし、主体的に学びを深める仕組みが整えられています。また、SDGsや社会探究活動と連動させることで、社会課題への関心や協働的な学びも促進しています。

このような教育方針は、単なる進学実績の向上ではなく、生徒が将来社会で活躍し、幸福な人生を歩むための「真に役立つ国際人」の育成を目指すものです。

2030年を見据えた教育の方向性

図:デジタルキャンパス化戦略 4つのステップ

これまでは、一斉に同じ授業を行うことが基本とされてきましたが、今後は、子どもの多様性に対応した学びを実現する必要性が増していくと考えられます。

郁文館夢学園は、2030年を見据えた教育の在り方として、先端技術を活用した新しい学びの形を模索しています。文部科学省の提言を踏まえ、Society5.0時代に対応する教育環境の整備と、教員の役割変革を推進。AI、ビッグデータ、IoTなどの技術を教育現場に取り入れ、学習の個別最適化と協働的な学びの両立を目指しています。

特に、教員には従来の知識伝達者としての役割に加え、ファシリテーターとしての資質や、情報活用能力、データリテラシーが求められています。教職大学院や外部人材との連携を通じて、教育現場の変化に柔軟に対応できる体制づくりが重要視されています。

また、教育DXの推進により、教務・校務の負担を軽減し、教員が本来の教育活動に集中できる環境を整備。これにより、生徒一人ひとりに向き合う時間を確保し、質の高い教育の実現を目指しています。

教育DXの推進 成果と課題

郁文館夢学園では、教育DXの推進により、教員の業務効率化と教育の質の向上を両立させる取り組みを進めてきました。授業では教材の電子化やLMSの活用により、印刷や配布の手間が削減され、個別対応や遠隔授業もスムーズに実施可能となりました。担任業務においても、出欠管理や生徒の進捗把握がデジタル化され、保護者との情報共有も効率化されています。

これらの取り組みにより、授業関連の事務業務は年間約40,000時間、教務関連業務は約200時間の削減を実現。担任業務は個別対応の充実により若干増加しましたが、生徒一人ひとりに向き合う時間が確保されるという質的な成果が得られています。

図:やってよかったこと
図:削減できた業務時間
図:削減できた業務時間
図:課題

一方で、導入後の定着や引き継ぎの不十分さから、紙ベース業務への揺り戻しが起きるケースもあり、対面コミュニケーションの減少も懸念されていました。そこで、それまで「生徒の学びをどう変えるか」という方針で進めてきた仕組みづくりに、「教える効率と働き方の効率化を最大化させる」という考え方を加え、教職員の理解と共感の醸成も大切にしながら進めるようにシフトチェンジしました。システムの使い勝手や他機能との連携、柔軟性の向上と同じく、利用者である教職員が前向きに使ってみようと思えるようなコミュニケーションも継続して進めていきます。今後は、こうした機能改善や文化づくりを通じて、DXの定着とさらなる教育の質向上を目指していきます。

  • 授業・教務業務の大幅な効率化(年間約6万時間削減)
  • LMSやポートフォリオ活用による個別対応の強化
  • 担任業務は増加するも、生徒対応の質が向上
  • システムの使いやすさ・柔軟性に課題
  • 導入後の定着支援と対面コミュニケーションの補完が必要

運用体制と今後の展望

図:機動的な管理運用体制

郁文館夢学園では、教育DXの推進を全学的に進めるため、プロジェクトコアチームを中心とした機動的な運用体制を構築しています。各部門の責任範囲と役割分担を明確にし、システム導入後もPDCAサイクルを迅速に回すことで、現場の課題に柔軟に対応できる体制を整えています。

システム設計においては、情報の一元化と業務負荷の軽減を重視し、ポータルシステムや統合認証、校務支援システム、LMS、ポートフォリオなどを連携させた統合的な仕組みを導入。これにより、教員・生徒・保護者がそれぞれの立場で必要な情報にアクセスしやすくなり、教育活動の質と効率が向上しています。

今後は、蓄積された教育データを活用し、AIと連携した「夢教育」の深化を図るとともに、教員の専門性を高める「匠化」を推進。2029年度の完成を目標に、段階的にシステムと文化の両面から教育改革を進めていく計画です。

  • プロジェクトコアチームによるPDCA体制の構築
  • ポータル・認証・校務・LMSの統合による情報の一元化
  • 教員・生徒・保護者それぞれに最適化されたシステム設計
  • AIと教育データを活用した夢教育の深化と教員の匠化
  • 2029年度の完成を目指した段階的な教育DXの展開

まとめ

郁文館夢学園は、「夢教育」を核とした独自の教育理念を、デジタル技術と融合させることで、教育の質と効率の両立を実現しています。1人1台端末やAI教材、ポートフォリオ管理などを活用し、生徒一人ひとりに最適化された学びを提供。教員の業務もDX化により大幅に効率化され、授業準備や成績管理、保護者対応などがシステム上で一元化されています。

また、教育データの蓄積と分析により、夢カウンセリングや進路指導の質も向上。AIによる教材レコメンドやチャットボット補助教員など、次世代の教育支援ツールも導入されつつあります。これにより、教員は「匠」としての専門性を高め、生徒と向き合う時間を確保しやすくなっています。

こうした取り組みは、学校の在り方そのものを再定義し、生徒が「なりたい自分」に向かって歩める社会を実現するための、力強い一歩となっています。

Society 5.0時代を生きる子供たちに最適なICT教育環境を提供します。

文教ソリューション(小中高向け)
GIGAスクール構想により、児童生徒1人1台タブレット端末の配布と大容量の通信ネットワーク環境などのICT環境整備が進み、今後は更にAI技術の発達により、学校における学びの在り方や求められる人材像も変革が必要となります。私たちは、オンライン教育をはじめ様々な先端技術の活用や教育ビッグデータの収集・分析、学習ポータルシステムの提供など、子供たちの学びのためのICT教育環境整備を全力でサポートいたします。

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