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DX時代の新たなデータ連携~企業間をつなぐEDIと生成AIを用いたデータ連携基盤の活用法~キヤノンITソリューションズ 共想共創フォーラム2025イベントレポート

DX時代において、データ活用・データ連携は、企業の成長にとって欠かせない要素となっています。本セッションでは、企業間データ連携を担うEDI(Electronic Data Interchange)と、生成AIを用いて企業内外の多様なデータをつなぐ「データ連携基盤」を活用した、新しい情報連携方法について解説します。さらに、セゾンテクノロジー社のクラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」と当社のEDIサービス「EDI-Master Cloud」の融合に向けたAPI活用の一例や、さまざまなサービスとの連携によるEDI業務の高度化事例も紹介します。

株式会社セゾンテクノロジー
営業本部 プロダクトセールスエンジニアリング部 二課 課長
加藤 倫未 様

キヤノンITソリューションズ株式会社
ビジネスソリューション営業本部 事業企画部
綿貫 聡

セミナー動画(視聴時間:45分55秒)

クラウド時代の新たな情報共有~HULFT Squareで実現するデータ連携の進化~

第1部では、株式会社セゾンテクノロジーの加藤氏が登壇し、クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」を中心に、企業内外のデータをつなぐ新たな連携基盤の可能性について語りました。

データが散在する時代に求められる「つなぐ力」

営業部門のCRM、財務部門の会計システム、さらには紙帳票やFAXなど、企業内外に存在するデータは多様かつ分散しています。これらを一元的に管理し、活用するには、部門やシステムの垣根を越えた「データ連携」が不可欠です。
加藤氏は、こうした課題に対する解決策として、iPaaS(Integration Platform as a Service)を活用した柔軟な連携基盤の構築を提案。HULFT Squareはまさにその中核を担う存在です。

HULFT Squareの特長と導入メリット

HULFT Squareは、セゾンテクノロジーが2023年2月に提供を開始した国産iPaaSであり、以下のような特長を備えています。

  • ノーコード・アイコンベース開発:専門知識がなくても直感的に連携処理を構築可能。
  • 日本語プロンプト対応:生成AIとの連携において、日本語で指示が出せるため、国内企業にとって導入が容易。
  •  高いセキュリティ基準:GDPR、SOC2、CCPAなど、国際的な要件に対応し、グローバル展開を視野に入れた企業で安心して利用可能。
  •  スモールスタート対応:小規模から始めて段階的に拡張できる柔軟性。

また、従来の製品であるHULFTやDataSpiderの操作性を継承しており、既存ユーザーにも馴染みやすい設計となっています。

生成AIとの融合によるデータ活用の進化

HULFT Squareの真価は、生成AIとの連携によってさらに高まります。加藤氏は、食品業界における売上分析の事例を紹介。例えば「ソフトビスケット バター」という商品が、パッケージ違いで別商品として扱われていたデータを、生成AIが「味」や「カテゴリ」などの分析軸で統合。これにより、より正確な売上傾向の把握が可能となりました。このプロセスは以下のステップで構成されます。

  • 各工場のマスタデータを収集・統合
  • 生成AIが分析軸を割り当て、グルーピングを実施
  • 売上実績とマッチングし、BIツールで可視化

従来は人手に頼っていたデータの抽出・変換・分析を、HULFT Squareと生成AIが担うことで、業務効率化と深いインサイトの獲得が可能になります。

社外連携にも対応する拡張性

HULFT Squareは、社内システム間の連携だけでなく、社外とのデータ連携にも対応しています。たとえば、キヤノンITソリューションズが提供する「EDI-Master Cloud」との連携では、WebAPIやSFTPを通じて、SaaSや基幹システム、HULFTとの接続が可能です。これにより、データ連携処理の一元管理や自動化が実現されます。
さらに、連携処理をアプリケーションとしてパッケージ化し、HULFT Squareの画面から簡単にインストール・設定できる仕組みも整備されているため、開発工数の削減と導入のスピードアップに貢献しています。

データ連携基盤 HULFT Squareがもたらす未来

第一部の講演を通じて、HULFT Squareが単なる連携ツールではなく、企業の情報活用力を飛躍的に高める「基盤」であることをお伝えしました。

  • データの散在という課題に対し、柔軟かつ安全な連携を実現
  •  生成AIとの融合により、分析の質とスピードを向上
  • 社内外のシステムをつなぎ、業務の自動化と効率化を推進

今後も、セゾンテクノロジーとキヤノンITソリューションズは、企業のDX推進を支えるパートナーとして、データ連携と活用の可能性を広げてまいります。

EDI-Master Cloudと外部サービス連携による業務効率化~クラウドEDIがもたらす、運用負荷の軽減と業務革新~

企業間のデータ連携を担うEDI(Electronic Data Interchange)は、業務効率化の要として長年活用されてきました。しかし、従来のEDIシステムでは、日々の運用に一定の手間がかかることや、特定の担当者に依存しやすい傾向、専門的な知識の理解が求められる場面があるなど、現場での活用において工夫が必要とされるケースが見受けられます。

第2部では、キヤノンITソリューションズの綿貫から、これらの課題を解決するクラウドEDIサービス「EDI-Master Cloud」の特長と、外部サービスとの連携による業務効率化事例を紹介しました。

EDIの課題とクラウド化の意義

従来のEDI運用では、システム監視や障害対応、バージョンアップなどの保守業務がIT部門に重くのしかかっていました。また、長年の運用で特定の担当者にノウハウが集中し、ブラックボックス化してしまうケースも少なくありません。さらに、新規導入時には業界ごとの標準メッセージやプロトコルの習得が必要となり、導入のハードルが高いという問題もあります。
こうした課題にを解決する選択として、「クラウドEDIサービス」があります。開発から保守・運用までをアウトソースすることで、IT部門の負担を大幅に軽減し、DX推進に必要な人的リソースを確保することが可能となります。

EDI-Master Cloudの特長

EDI-Master Cloudは、2022年末にクラウドネイティブなEDIサービスとしてリリースされました。従来のオンプレミス版とは異なり、クラウドに最適化された設計により、以下のような特長を備えています。

 サーバ不要・高可用性
EDI機能をクラウド上で提供し、インフラ構築不要。マイクロサービスアーキテクチャやオートスケーリングにより、安定した運用を実現。
柔軟なサービス体系
 EDI機能のみの利用から、業務運用のアウトソースまで、企業の体制に応じた選択が可能。
 豊富なAPI連携
100以上のOpenAPIに準拠したWebAPIを提供。外部サービスとの連携を容易にし、業務の自動化を支援。

このような特長を持つクラウド型EDIと外部サービスとの連携による具体的な業務効率化事例をご紹介しました。

銀行取引業務の自動化(AnserDATAPORT連携) 

対象企業では、従業員への給与振込や入出金業務を、各銀行が提供するインターネットバンキングを通じて行っていました。会計システムから出力したFBデータを、ブラウザ画面からアップロードする必要があり、毎回手動操作が発生。さらに、会計システムが社内環境に限定されていたため、リモートワークができず、出社が必須となっていました。
この課題に対し、インターネットバンキングからファームバンキングへの切り替えを実施。EDI-Master CloudとAnserDATAPORTを連携させることで、会計システムから出力されたFBデータを銀行へ自動送信できるようになり、手動操作を排除。複数銀行との取引も1つの仕組みに統合され、伝送状況の確認や再実行もブラウザから可能となったことで、在宅勤務の促進にもつながりました 。

導入のポイント:専用回線不要のクラウド型EDI

AnserDATAPORTの利用には通常、専用回線「Connecure」の敷設が必要ですが、EDI-Master Cloudではクラウドサービス側で専用線を敷設済みでお客さま側での回線準備が不要であったことがポイントとなりました。

FAX業務の自動化(FNX e-FAX帳票サービス連携)

FAXによる送信業務が残っていた企業が、株式会社ネクスウェイのFAXサービス「e-帳票」と「EDI-Master Cloud」を連携させることで、FAX業務の自動化と業務負荷の軽減を実現した取り組みです。
対象企業では、一部の取引先の要請により、帳票を印刷してFAX機にかざし、FAX番号を確認して送信するという一連の作業を人手で行っていました。これらの作業は時間と手間がかかり、業務負荷が高い状態が続いていました。

この課題に対し、「EDI-Master Cloud」と「e-帳票」を連携させることで、基幹システムから出力されたEDI用データとFAX用データをSFTPでEDI-Master Cloudに連携。データ種別に応じて送信先を振り分け、EDIデータはEDIとして、FAXデータは「e-帳票」に送られ帳票化された後、相手先にFAXで配信されます。
取引先から見れば従来通りFAXで受け取る形となるため、インターフェースを変更することなく、業務の自動化が実現されました。

導入メリット

  • 業務負荷の軽減:手作業によるFAX送信が不要になり、担当者の負担を大幅に削減。
  • 一元管理の実現:EDIとFAXを同一システムで管理できるため、運用がシンプルに。
  • ペーパーレス化の推進:帳票の印刷が不要となり、環境負荷の低減にも貢献。

電帳法対応の自動化(DigitalWork Accelerator連携)

電子帳簿保存法(電帳法)の改正により、企業間取引における電子データの保管方法にも厳格な要件が求められるようになりました。EDIによる取引データも「電子取引」に該当するため、法令に準拠した形での保管が必要です。
対象企業では、EDIデータの保管について、既存の文書管理システムへの保存を検討していました。しかし、電帳法の要件を満たすには、単にファイルを保存するだけでは不十分で、インデックス情報の生成や検索機能の確保など、追加の仕組みが必要でした。また、将来的な運用負荷を考慮すると、EDIの仕組みの中で保管まで完結させたいというニーズが強くありました。

この課題に対し、「EDI-Master Cloud」とキヤノンマーケティングジャパンが提供するクラウド型ドキュメント管理サービス「DigitalWork Accelerator」を専用コネクタで連携。EDI取引の中で、保管用データを自動的にコピーし、インデックス情報も付加したうえで「DigitalWork Accelerator」に連携する仕組みを構築しました。これにより、電帳法対応を意識することなく、日々のEDI運用の中で自然に法令準拠の保管が実現され、運用負荷が大幅に軽減されました。

導入メリット

  • 法令準拠の自動化:インデックス情報の自動付加により、検索性・真正性・可視性など電帳法要件を満たす保管が可能 
  • 運用負荷の軽減:EDI運用の中で保管まで完結するため、別途手作業での登録や管理が不要
  • ドキュメントの一元管理:EDIデータ以外にも紙書類などを含めた社内外の文書を一元管理できるため、業務効率化とペーパーレス化を同時に推進
  •  安心の認証取得:「DigitalWork Accelerator」は、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の公的認証を取得済みで、安心して利用可能

まとめ

本セッションでは、「データ活用」の鍵となる「データ連携」について、企業間の連携を担う「EDI」と、社内外のシステムをつなぐ「データ連携基盤」の活用法をご紹介しました。
クラウド型の「EDI-Master Cloud」を活用することで、業務負荷の軽減とIT人材の戦略的活用が可能となり、外部サービスとの連携によるさらなる効率化も実現できます。また、「HULFT Square」を用いたデータ連携基盤により、システム間の連携工数を削減し、整備されたデータをもとに生成AIを活用することで、迅速な意思決定や業務改善につなげることができます。
今後もキヤノンITソリューションズは、EDI-Master Cloudの連携先を拡充し、企業の業務効率化と情報活用を支援してまいります。

クラウドネイティブな次世代EDIサービス

EDI-Master Cloudロゴ画像

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