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シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第17回):AIスマートカメラ

AIスマートカメラコラムイメージ

今回は、新世代のマシンビジョンプラットフォームとして話題の画像AIプロセッサ搭載のAIスマートカメラ「SiNGRAY」をご紹介します。

マシンビジョンの新世代プラットフォーム

前回、マシンビジョンの画像の検出や認識での判定方式には、ルールベースと画像AIがあることをご紹介しました。ルールベースは、従来型の画像処理技術で、欠陥ごとに判定ルールを作り上げていき形状や状態の定まったものの検出や計測に適しています。一方、画像AIは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの深層学習(DeepLearning)技術を活用したもので、ムラ状など不定形な形状や濃淡の欠陥検出や認識に有効となります。複数枚のラベル付けした画像(正常や異常などの画像)や欠陥個所を指定した画像(アノテーション画像)が準備できれば、確率的に最適な判定処理モデルを構築し、画像の分類や認識、欠陥検出が行えます。

SiNGRAYによる画像学習と検出結果

SiNGRAYによる画像学習と検出結果(図1)

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ただし、画像AI方式は、ルールベース方式のすべての機能(欠陥認識や検出以外にも、文字やバーコード認識、計測や測長など)をすべて網羅したものでないため、マシンビジョンとしては、ルールベース方式と画像AI方式の共存構成が理想とされます。特に画像AIを導入する場合、汎用の画像処理ライブラリを活用しても、その最適化には、一定のDeepLearningやニューラルネットワークの知識が必要で、また、従来型画像処理に比べ処理量が格段に増えるため複数枚のGPUボードを備えた大規模なシステム構成を準備することになります。つまり、理想的なマシンビジョンのプラットフォームとしては、従来型のルールベースと画像AIを統合した省スペース且つパワフルなデバイスと、それを簡易にコントール可能な開発環境が求められます。

AIスマートカメラ「SiNGRAY」について

5つのディープラーニングネットワーク

5つのディープラーニングネットワーク
(図2)

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今回ご紹介するAIスマートカメラは、HMS社製「SiNGRAY」です。こちらは、前述に挙げたマシンビジョンに必要な機能のすべてを備えた非常に理想的なプラットフォームです。特徴としては、世界で初めてCNNベースのAIプロセッサを搭載したもので、本体内でマシンビジョンで必要な撮像、画像処理、画像AI処理、画面表示、結果出力のすべてが実行可能となっています。「SiNGRAY」は、Iシリーズ、Rシリーズ、Aシリーズの3タイプがリリースされており、Iシリーズと、Rシリーズは、共に40mm x 40mm超小型のキューブ型のAIスマートカメラです。特に、ユーザが迷わず画像学習できるように、産業用マシンビジョンに特化した5つのディープラーニングネットワークを提供しています。(図2)

また、従来型のルールベース画像処理も、マウス操作で簡単に構築できるプロセスユニットを連結する操作ツールを準備しており、撮像制御、処理の分岐、並列化構造など自在にシステム構築できます。さらに、ユーザ独自の画像処理アルゴリズムをモジュールとして追加することができるため、高度な画像AIに、オリジナル処理も搭載できる、非常に理想的なAIスマートカメラです。Iシリーズと、Rシリーズの違いは、2D向けと3D向けの違いで、Iシリーズ(図3、図4)は、撮像素子に高品質を誇るSONY社製「Pregius」5M、8M、12M(予定)のカラーとモノクロを準備し、2D形状認識を得意としています。

SiNGRAY Iシリーズの外観

SiNGRAY Iシリーズの外観(図3)

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SiNGRAY Iシリーズのインターフェース

SiNGRAY Iシリーズのインターフェース(図4)

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Rシリーズ(図5、図6)は、TOFセンサとカラー・モノクロ素子を搭載し、3D形状認識を得意としています。Aシリーズ(図7)は、6DOF位置情報を現行最速100fps(HMS社調べ)で出力可能なVSLAM搭載ステレオカメラです。昨年2019CES(ラスベガス開催)ロボットドローン部門金賞受賞しました。

SiNGRAY Rシリーズの外観

SiNGRAY Rシリーズの外観(図5)

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SiNGRAY Rシリーズの3Dマッチング

SiNGRAY Rシリーズの3Dマッチング(図6)

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SiNGRAY Aシリーズの外観

SiNGRAY Aシリーズの外観(図7)

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今回のまとめ

昨今の多品種・少量・高品質製造の生産ラインでは、頻繁な品種切り替えにも対応できるよう高度な画像処理技術であっても、できるだけ簡易に導入したいという要望が増えてきました。今回ご紹介したHMS社製AIスマートカメラ「SiNGRAY」は、そうした新世代マシンビジョンプラットフォームとして活用できます。

 

筆者紹介

シニアアプリケーションスペシャリスト 稲山

稲山 一幸(いねやま かずゆき)

エンジニアリング事業 シニアアプリケーションスペシャリスト

1992年住金制御エンジニアリング入社、Matrox社製品の国内総代理店立ち上げに参画、以降25年マシンビジョン業界に携わる。
2013年~2016年、キヤノン株式会社にてマシンビジョン関連の新製品開発のソフトウェアリーダとして従事。現在は、エバンジェリストとして活躍中。

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