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〈MR創世記-002〉 実は、長年携わっています。 目指してきた未来。受け継がれたDNAXR-MRコラム「MREAL MIRAI VALUE」

公開日:2026年10月13日

前回は、今から30年前に遡り、日本におけるMR創世記の話からスタートしました。今回は「MRの定義」についてご紹介します。

世界的にも最先端だったMR研究

当時の「エム・アール・システム研究所」は、日本のみならず世界的に見てもMR(Mixed Reality)研究の先駆的な存在だったと言えるでしょう。
現在では一般的となった透過型HMDやビデオシースルー方式のHMDをすでに開発していたことに加え、両方式を切り替えられるハイブリッド型HMDまで試作していたことには、改めて驚かされます。
当時の研究によって蒔かれた種が大きく花開き、今日のXR業界の発展を支える基盤の一つとなっていることは紛れもない事実と言えます。改めて、先駆的な研究に取り組まれた研究所の皆さまに深い敬意を表したいと思います。
さて、ここで改めて、1990年代当時のMRがどのように定義されていたのかを振り返ってみたいと思います。
そもそもMR(Mixed Reality)という概念は、1993年にポール・ミルグラム氏と岸野文郎氏が発表した論文『A Taxonomy of Mixed Reality Visual Displays』の中で体系的に定義されました。
この論文では、現実環境(Reality Environment)と仮想環境(Virtual Environment)を両端に置いた「Reality-Virtuality Continuum(現実・仮想連続体)」が提唱されています。そして、その連続体の中で現実と仮想が融合した領域全体をMR(Mixed Reality)と位置付けました。
さらに、現実環境の比率が高い領域をAR(Augmented Reality)、一方で仮想環境の比率が高い領域をAV(Augmented Virtuality)と定義しています。つまり、MRとは現実と仮想が混在する世界全体を指し、ARはその一部として位置付けられていたのです。

現在ではARやMRという言葉が広く使われていますが、もともとの定義ではARはMRの一領域として整理されていました。この考え方は、現在のXRを理解するうえでも重要な基礎となっています。

図1 1993年に提唱されたRealityVirtuality Continuum(現実・仮想連続体)

昨今では、MRの概念を再解釈する動きも見られます。この考え方では、完全な仮想空間であるVRもMRの連続体の一部として包含し、さらにその先に、映画『マトリックス』のように利用者が仮想世界を現実そのものとして認識する「Matrix-like Virtual Environment(マトリックス的仮想環境)」が存在するとされています。

図2 マトリックス的仮想環境までを含めた拡張MR概念

これ以上語り始めると話が広がりすぎてしまうため、今回はここまでにしたいと思います。MRという言葉は近年になって注目を集めていますが、その起源は30年以上前の学術研究にまで遡ります。まずは、MRが長い歴史と研究の積み重ねの上に成り立っている概念であることを知っていただければ幸いです。

今も続く、その“DNA”が、現実へ引き継がれる

私たちは、この夢ある技術の実現に向けて、MRプロジェクトを推進してきました。
XRデバイスの進化により、ユーザー体験は飛躍的に向上しています。いまやXRは「次世代インターフェース」とも呼ばれ、PCやスマートフォンの画面を見る時代から、現実空間に情報を重ねて活用する時代へと移り変わっています。

しかしキヤノンは、その未来を30年前から現実になるものとして捉えていました。そして長年の研究開発を経て、2012年に事業化へと踏み出しています。

キヤノンのMR技術のあゆみ

今から約30年前、エム・アール・システム研究所としてスタートしたこのDNAは、いまもなお続いています。

今につながるウエアラブルの原点? TOWNWARE(タウンウエア)

かつての実証研究で、TOWNWARE(タウンウエア)という、今でいうウエアラブルデバイスがあります。現在でもAR/MRが屋外で正確な位置合わせを行うためには、さまざまな技術の組み合わせが必要となります。
小型GPSのない時代に、MRシステム研究所は、屋外用MRを開発していました。当時、非常に高価だったGPSセンサーとジャイロセンサーを用いて、体験者の位置と視線方向を割り出し、周りの風景へCG重畳を実現しました。
また、あたまにジャイロセンサーをつけて、モバイルPCと駆動用のバッテリーを背中に背負うため、体験者は相当な体力が必要だったことでしょう。身につけているというよりは、背負っているけれど、ちゃんとスタンドアロンで動いています。ある意味、ウエアラブルの歴史を築いたパイオニアといえるかもしれませんね。

TOWNWARE(タウンウエア)装着の様子
横浜 みなとみらい地区の風景にCGを重畳

おわりに

今回は、第一回に続き、キヤノンとXR(MR)の歴史についてご紹介しました。
年を取るとついつい昔語りをしてしまいがちになりますが、先人たちの努力の積み重ねがあったからこそ今があり未来があることを、このコラムを書くことで改めて意識させてもらっています。

著者紹介

竹中 哲也(たけなか てつや)
キヤノンITソリューションズ株式会社
製造ソリューション事業部 エンジニアリングソリューション営業本部
シニアエキスパートセールス(XR担当)

1991年:キヤノン販売株式会社(現キヤノンマーケティングジャパン)入社
90年代:スーパーコンピューターシステム並びにコンピューターグラフィックス関連の商品企画・販売に携わる
2000年~:黎明期MRシステムの国内マーケティング活動に携わる
2010年以降:MREAL事業に専念し、製品の普及・販売に努めている

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XRを単なる映像装置ではなく、業務に定着させて効果をあげ、業務革新を実現するためのソリューションとして提供します。
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現実空間に、開発中の新型車や建設予定の建物が、実際に目の前にあるかのように現れます。
キヤノンが開発したMRシステム「MREAL」は、現実映像とCGを違和感なく融合し、自由な視点から体験できる映像技術です。
光学技術と映像技術を結集した「MREAL」により、幅広い分野にソリューションを提供しています。