風水力機械カンパニー他、3事業を柱とする産業機械メーカー導入事例

設計の生産性を大幅に向上し、設計者に時間のゆとりを持たせることで、クリエイティブな新製品開発や、顧客の課題解決へ能力を振り向けさせたい。こうした発想のもと、荏原製作所および荏原風力機械は、会社組織をまたいだ3D 設計の共通ルールを策定し、その共通ルールをベースに自動設計システムを開発しました。SOLIDWORKSを基盤にした3次元データ活用の輪は、さらに社外に向けた「XR 営業^※」 へと発展していく勢いです。

1912 年創業から100 年以上にわたって、日本のポンプメーカーの歴史を築いてきた荏原製作所。標準ポンプで国内トップシェア、液化天然ガス（LNG）製造装置向けポンプで世界トップシェアなど、圧倒的な技術力と商品競争力を誇ります。

現在の事業は、風水力、環境プラント、精密·電子の3本柱。連結子会社と関連会社を含めて約100社にのぼる荏原グループで、社会·産業インフラを支える多様な機器、システム、ソリューションを提供しています。

売上の50%以上を占める風水力事業では、ポンプ、コンプレッサ、タービン、冷熱機械、送風機等を製造しています。

（中略）

「国内の送風機市場は、従来の小型機メーカーが中·大型機製造にも乗り出すなど、競争が激化しています。小型化ニーズに近年の環境負荷低減への取り組みも加わり、質実剛健で長寿命ではなく、初期コストの安さ、電気代などのランニングコストの安さが求められるようになりました」と、株式会社荏原風力機械 カスタム技術部カスタム開発課 課長事務取扱の菅瀬 嘉男氏は顧客ニーズの変化を語ります。

高速化·高圧化などで性能発揮効率を高め、軽量化·小型化も追求するには、3 次元設計と解析を駆使した形状·材料の最適化が不可欠です。

「似たような形状を何度もゼロから描くところで設計者の能力が浪費されるようでは、製品の画期的な革新などできません。流用設計、標準設計を進め、設計生産性を高めて、よりクリエイティブなところに力を注げるように、設計者に時間のゆとりを作ることが強く求められます」（菅瀬氏）

（中略）

「リードタイム短縮、お客さまニーズへのきめ細かい対応は、荏原グループ全体の課題です。荏原製作所でも3 次元設計のルールを作りましたが、形骸化しているところが生じていました。コーポレート部門としても長期的には荏原グループとしてのPLM プラットフォームの集約を視野に入れており、そのためには、同じフォーマット、同じルールでのモデル作りを各部門で積み重ねておきたいと考えていたところでした」（大塚氏）

設計のルール作りから自動設計まで視野に入れた取り組みは、荏原製作所が進めているDX およびグローバルな業務標準化という経営戦略にも合致します。同じくSOLIDWORKS 導入を検討している荏原グループの1 社も参加することになり、2020年、3社での「3D ルール共通化活動」を開始しました。