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企業のITライフサイクルを支える開発技術の研究に取り組む
技術革新の成果を安定的に顧客システムへ取り込むノウハウを集約
R&D News+Reports 研究開発

公開日:2025年7月8日

キヤノンITソリューションズ株式会社
R&D本部 DI部
小林 巧

開発技術のトレンドを先読みして新たな提供価値を創り出す

キヤノンITソリューションズ(以下キヤノンITS)のR&D本部では、独自にテーマ設定を行うシーズ型研究と、事業部門と連携して行うニーズ型研究の2種類の研究を行っています。私が所属するDI部(デベロップメントイノベーション)の活動はニーズ型研究が中心で、各事業部門と連携しながら、開発技術のトレンドを取り込んだ研究と案件への適用、開発の標準化ガイドラインの整備などを通じて、キヤノンITSのシステム開発やインフラ構築/運用における技術革新/変化への対応力の強化に向けて、日々活動しています。

当部では、近年「パブリッククラウド」「アプリケーション開発技術」「インフラ構築およびシステム運用」の3つの領域に注力しています。パブリッククラウドでは、クラウドサービスの活用/システム構成/セキュリティ設計などのガイドラインを整備し、アプリケーション開発技術では各種標準化ドキュメント/ガイドラインの整備に加え、開発フレームワーク/技術アセット、サンプルコードの提供を通じて、事業部門をサポートし高品質で付加価値の高いシステムの実現につなげています。私はインフラ構築およびシステム運用における領域を中心に担当しており、近い将来、お客さまに価値を提供できる技術領域を予測/想定しながら調査を進め、いざ案件化したときにすぐ利活用できるようガイドラインの整備や事業部門と連携したPoC(実証実験)に取り組んでいます。

企業のITシステムを守るためのセキュリティ対策の重要性

インフラ構築およびシステム運用の領域において私が注視している技術は、「コンテナ技術」「インフラ構築の自動化」「セキュリティ対策」の3つです。

まず、アプリケーションを機能ごとに開発し、それを組み合わせて一つのシステムとして構築するマイクロサービスアーキテクチャーが流行していますが、それを実装する技術がコンテナ技術です。キヤノンITSでもお客さまの業種/業態を問わずニーズが高く導入事例も増えているなか、コンテナ技術の適用においてどのような目的に対しどのように利用するか、どのように実装すれば高いメンテナンス性を保てるかなど、利活用シーンの具体化や効果的な実装方法について研究を進めています。

次に、インフラ構築の自動化に関する取り組みでは、キヤノンITSでクラウドサービスを展開する部門と共同で、自動化ツールの検証やルール/ガイドラインの策定を進めています。パブリッククラウドにおける技術革新のスピードの速さやマイクロサービス化によるシステムの複雑化などに、インフラの設計や構築も追随していくことが重要です。インフラ構築の自動化は複雑なシステムを安定的に構築するうえで、効果的な手段の一つとして研究に注力しています。

最後は、セキュリティ対策についてです。クラウド技術やモバイル環境の発展により、場所や時間を選ばずシステムにアクセスできる便利な時代となりましたが、一方でランサムウェアなどのサイバー攻撃が急増し、ニュースでも頻繁に取り上げられています。さまざまな脅威に対するセキュリティ対策は、業種/業態や会社規模に関係なく、安定した事業活動を行うために担保しておかなくてはいけない重要な領域です。企業内にあるデータをいつのまにか盗まれているなど、セキュリティ攻撃を受けていることに気付いていない企業も多いのではないでしょうか。
企業のシステムがますます複雑化するなか、こうしたサイバー攻撃にどう備えるべきかが大きな課題となっており、定期的に検査し、検知することで適切な対応を行うことが重要です。
企業にとってのセキュリティのあり方や、これからの時代に求められるセキュリティ対策について、キヤノンITSのコーポレートサイトにテクニカルレポートとして掲載していますので、ぜひご覧ください。

キヤノンITSは、お客さまのITシステムにおいて、企画/設計/開発/導入/運用・保守までのITライフサイクルをトータルでサポートしています。私たち研究開発部門は、事業部門との連携を密にしながら、社会の困りごとやお客さまが抱える課題の解決に貢献できるよう、新しい開発技術を駆使した研究に取り組みます。今後もキヤノンITSの取り組みにご期待ください。

関連リンク

企業のシステムがますます複雑化するなか、サイバー攻撃にどう備えるべきかが大きな課題となっています。今、すべての企業に「高いセキュリティ意識」が求められている中、今後必要とされるセキュリティ対策の動向について、わかりやすくご紹介します。