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人とITの融合によるイノベーションを実現しお客さまの本質的な課題解決に貢献Message from Us ~私たちの想い~

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公開日:2025年5月30日

キヤノンITソリューションズ株式会社
取締役 常務執行役員 須山 寛

社会インフラを支えるITパートナーとして

キヤノンITソリューションズ(以下キヤノンITS)は、さまざまな業種/業態のお客さまとビジネスを展開している中、私は金融機関と教育機関、そして国内を代表するコンサルティングファームやSIerとの協働を通じて社会インフラを支えるプロジェクトを担当しています。
金融機関では、銀行/証券/リース/カード/保険などの業種に対して、ビジネスモデルや規制対応などに即した提案活動を実施しています。経済や社会のインフラを支えるお客さまであるからこそ、「安定性と柔軟性を両立した取り組み」が求められます。
教育機関では、K12(幼稚園の年長から始まり高等学校を卒業するまでの13年間の教育期間)から大学、専門学校、そして自治体まで、世代や地域を超えた学びの場を支える存在として、現場に寄り添う支援を実施しています。教育の現場では、「人を育てる」という視点だけでなく「持続可能な環境づくり」の両面からのアプローチが求められます。

近年のシステムはさまざまなソリューションを組み合わせることで複雑になり、1社単独ではなく協働により実現するケースが増えています。業務委託という枠を超えて、長年の知見や技術を持ち寄り、社会的意義の高い課題解決に向けて、共に考え、切磋琢磨するビジネスパートナーとしての役割も担っています。

またデジタルトランスフォーメーション(DX)の機運が高まり数年がたちますが、キヤノンITSはお客さまの課題解決やビジネスの成長に向けて、先進技術を活用した仕組みやサービスを投入することだけではなく、お客さまの業務プロセスに着目し、本質的な課題や目的を見据えながら「人とITの融合」によるイノベーションを目指しています。

人口減少による課題の顕在化とIT利活用の重要性

日本では総人口の減少とともに高齢化が進行し、労働人口の縮小や地域社会の縮退、経済成長の鈍化により、多くの業種/業態が影響を受けているなか、金融機関、教育機関ともに社会やお客さまへの提供価値をいかに維持/拡大するかという状況に直面しており、ITの利活用が今後さらに重要な対応策の一つとなります。

金融機関では、地政学リスクの顕在化や金利/為替の急変動、顧客基盤の縮小や資産運用層の高齢化、非対面化による業務のデジタル化、異業種による金融業への参入など、取り巻く環境が複雑化/高度化しています。
例えば、国内インフラの多くが建設後50年以上経過する「大老朽化時代」が目前に迫るなか、ITの領域でも企業の基幹システムが20年以上稼働を続けているケースも多く、レガシーシステムのモダナイゼーションの機運が高まっていることを実感しています。
金融機関の中には、グループ内のIT機能を再編/統合し、IT専門人材の最適な配置(アロケーション)を進め、経営戦略とシステム構想の一体化を図り、より迅速かつ柔軟な意思決定を目指す動きが増えています。一方で、人との接点の希薄化や信頼関係構築の難しさの観点から、お客さまと対面で向き合う価値を再認識し、実店舗や対面相談の役割も改めて見直されています。

教育機関では、18歳人口の減少による定員割れなどの影響が顕著に表れており、こちらも大きな転換期を迎えています。少子化による学生数の減少にともなう学校間競争の激化、自治体の財政制約などの課題が顕在化する中で、教育の質を維持/向上しつつ、持続可能な運営を模索されています。Society 5.0やリスキリングなど国の政策とも連動し、教育が社会をどう変えるかという視点が重要になります。
コロナ禍を機に進んだIT環境の整備は、GIGAスクール構想や遠隔授業の普及を通して、教育現場のデジタル化に大きな影響を与えましたが、教育の効果向上、経営の質向上にどうつなげるかが本質的な課題となり、教職員のITリテラシー向上、質の高い教材の整備、学びの個別最適化などの視点で継続的な支援が必要となります。
大学や専門学校に目を向けますと、入学者の確保がより一層難しい状況です。社会人の学び直し(リカレント教育)や、海外大学との連携、外国人学生の受け入れなど、年齢や国境を超えた多様な学習ニーズに目が向けられている状況だと思います。
金融機関において対面で向き合う価値が再認識されていることに触れましたが、教育の現場でも同じことが言えます。遠隔授業やオンライン教材の限界が見え始め、対話による深い学びの機会をどのように確保するか、世界の教育現場にも見直しの動きが見られます。教育先進国として知られるフィンランドでは、子どもたちの学力低下への懸念から、教科書をデジタルから紙へと戻す方針が示されました。日本でも今後どのような方針が示されるか注目しています。

また、金融機関、教育機関ともに膨大なデータを保有していますので、その活用には発展や変革の余地があると捉えています。金融業界では顧客の取引履歴や資産状況、ライフスタイルに関するデータが蓄積され、教育機関では学習ログや出席/成績データなどの情報が蓄積されています。IT技術を駆使してどのように利活用するか、その仕組みや業務プロセスの効率化を、お客さまと共に創りあげていくことがキヤノンITSの重要な役割となります。
さらに、IT環境の整備やデータの利活用を進めていくなか、サイバーセキュリティに関するリスクの高まりも重要な課題の一つです。金融機関では、資産や顧客情報を狙ったサイバー攻撃のリスクが常態化していますし、大学をはじめとした教育機関へのランサムウェア攻撃により、研究データや学生の個人情報が標的となる事案も増加しています。

お客さまの頼れるITパートナーとして提供価値を高めていく

お客さまが抱える複雑で高度な社会課題の解決に向けて、キヤノンITSは先端テクノロジーの知見を深さと広さで蓄積し、多くの選択肢から最適解を導き出すことが重要な役割となります。キヤノンITSに相談すればアイデアが湧いてくる、相談すればなんとかなる、仲間でいると心強い、そういう存在でありたいと考えています。
先端テクノロジーを利活用すればよいという単純なことではなく、例えば金融機関における実店舗の見直しや教育機関による教科書がデジタルから紙へ、など揺り戻しの流れがある中、デジタル化にチャレンジしたからこそ見えてくる課題もあります。お客さまの本質的な課題や目指す方向性を分析し、豊富な選択肢から最適な組み合わせをご提案する目利き力が重要だと考えています。
キヤノンITSは業界に特化したシステムインテグレーションの知見と、本質的な課題を探究し業務改革を実行するビジネスイノベーションの推進が大きな強みとなります。

また、データの利活用についても多くの金融機関や教育機関が課題を抱えており、膨大なデータは蓄積されているものの、それを意思決定やサービス改善に生かしきれていないケースが多く見受けられます。キヤノンITSは、分散/分断されたデータの集約と加工を行った上で、データアナリティクスやAI技術の実装支援を通じて、データに価値をもたらし、業務の効率化やサービスの高度化を実現できます。

さらに、近年顕著に増加しているサイバー攻撃への対応も必要です。特に大学へのランサムウェア攻撃による被害は深刻化しており、教育機関におけるデータの保護は喫緊の課題と言えます。キヤノンITSは、エンドポイントセキュリティやゼロトラストアーキテクチャ、SOC(Security Operation Center)といった高度なセキュリティ対策に加え、リスクアセスメントや教育支援といった包括的なサポートを提供しています。これにより、専門のIT部門を持たない大学や中小規模の金融機関にも、安心してIT環境を利用いただけます。

このように、多岐にわたるソリューションの提供において、キヤノンITSがキヤノンマーケティングジャパングループ(以下キヤノンMJグループ)の一員であることが大きな強みとなります。たとえば、キヤノンが持つ映像技術や光学技術と、キヤノンITSのIT技術を融合することで、より魅力的で効果的な接客および学習環境を実現することが可能となります。
キヤノンMJグループが全国に展開する営業/サポートのネットワークや、多様なサービスを一体的に提供できるグループ体制は、地域密着型の支援や長期的な運用サポートを実現する上で大きな力となります。キヤノンMJグループ全体で大切にしている「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」パーパスは、技術の押し付けではなく、真に必要とされる価値をともにつくる姿勢として、多くのお客さまから高い評価を受けています。

社会や市場の変化を見据えながら、お客さまに寄り添い成長をともにする

2030年から2035年にかけて、金融機関の存在意義と提供価値が大きく変化し再定義されると予想しています。金融サービスのデジタル化が進むことで顧客の金融体験がオンライン上で完結し、AIや量子コンピューターなどの進化により審査なども瞬時に行えるようになるでしょう。中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入が進み、従来の通貨観や取引概念も変わる可能性があります。BaaS(Banking as a Service)やエンベデッドファイナンスの普及により、金融サービスは小売業、通信業、プラットフォーマーなど異業種のサービスに組み込まれ、顧客は金融サービスを意識することなく支払い、融資、保険加入などを行うようになるでしょう。

気候変動、地政学リスク、サイバー攻撃など社会全体の不確実性を抱える時代の中、人々は「安心できるよりどころ」を求めます。金融機関にはそうしたリスクに対する備えや経済的セーフティネットを提供する期待もあると思います。信用、安心、安全が金融機関のもつ本質的価値だからです。またサービスがデジタル化されればされるほど、金融商品の仕組みや意思決定プロセスがブラックボックス化しやすくなります。そのような中での透明性、中立性も期待されるところです。

教育機関では、学びの民主化、実社会との接続が加速すると予想しています。少子化の進行とともに、教育機関の統廃合や役割の再編は避けられず、その機能や存在意義が問い直されるのではないでしょうか。
AIによる個別最適化学習、VR/ARなどによる没入型教育、教育プラットフォームの高度化により、いつでも、どこでも、誰にでも学べる環境がさらに整備されるでしょう。翻訳ツールも進化しており、国境を越えたオンライン学習の機会も増えることで、学ぶ場所よりも「何を、どのように学ぶか」が重要になります。教育機関は人間力や社会とのつながりを育む場としての役割が期待され、産業界、地域社会との連携を深め、生涯学習型社会への移行が一層進むと予想しています。

将来の変化を見据えたとき、キヤノンITSにおいて、金融機関および教育機関を担当する部門として注力すべきことは、まず「本質的な課題にフォーカスした提案」を継続することだと考えています。金融機関、教育機関ともに大きく環境が変化しますが、信用、安心、安全の金融、人間力を育む教育の本質は不変です。また、異業種とのサービス、生涯教育などは業界、世代を超えて展開されています。キヤノンITSは金融・社会のほかに製造・流通、デジタル、ITプラットフォームの部門があり、また研究開発、コンサルティングを担う部門もあることから、あらゆる業界で価値提供ができる素地があります。
つぎに、「安心/安全を担保するセキュリティとインフラ整備」、「ガバナンスと透明性の支援」です。老朽化した基幹系インフラの刷新やサイバー攻撃への対応は不可欠です。キヤノンITSが長年培った基盤技術とセキュリティの知見が大きな提供価値となります。またAIやデータを活用する上ではプライバシー、アルゴリズムの透明性など社会的責任が問われます。キヤノンITSは数理技術にも強みを持ち、状況に応じて最適解が出せる選択肢が豊富にあります。
最後は、キヤノンITSの経営ビジョンでも大切にしている「寄り添うこと」です。将来を想像するとき、先端テクノロジーが広く浸透しているイメージを持ちますが、トライ&エラーの波を打ちながら進化を続けることが重要です。ITの専門企業として技術の押し売りではいけません。本質的な課題をつねに探究することが私たちのベースにあります。今後もキヤノンITSの取り組みにご期待ください。

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取締役 常務執行役員 須山 寛

1995年4月に株式会社アルゴテクノス21(現キヤノンITソリューションズ株式会社、以下キヤノンITS)に入社し、金融機関向けのプロジェクトに従事。2016年に金融事業部長、2020年に執行役員、2022年に上席執行役員に就任。現在は取締役 常務執行役員として、金融・社会ソリューション事業部門、ビジネスイノベーション推進センター、事業推進本部を担当し、キヤノンITSの成長を支えている。

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