日本オペレーションズ・リサーチ(OR)学会レポート活動の舞台裏を大公開!テクニカルレポート

公開日:2025年4月24日
キヤノンITソリューションズの数理技術部は、キヤノンの技術PRやリクルート活動の一環として、さまざまな社外活動を行っています。そのひとつが日本オペレーションズ・リサーチ学会(以下 O R学会)のキャリアセッションです。
今回は、実際にキャリアセッションに参加し、学生と交流した数理技術部の可知に、活動の意義や学生へのメッセージを聞いてみました。
OR学会とは? 学会と数理技術部の関わり
まずは、OR学会の概要と数理技術部との関わりについて聞きました。
OR学会とは、どのような研究分野を専門とする学会ですか?
OR学会は、数学やデータ分析を活用し、最適な意思決定を行うOR(オペレーションズ・リサーチ)を研究・発表するコミュニティです。ORは、社会のさまざまな課題を科学的に解決する「問題解決学」ともいわれ、鉄道や空港の運行管理、物流の配送計画、製造業の生産管理、小売・エネルギー業の需要予測、シフトスケジュールの最適化など、多くの業界で活用されています。学会には、こうした課題解決に取り組む研究者や企業が集まり、情報交換を行っています。
数理技術部は、これまでOR学会とどのように関わってきたのですか?
数理技術部は、OR学会のセミナーや企業交流会で、ビジネスにおけるORの活用事例を発表してきました。とくに、サプライチェーンマネジメント(需要計画、生産・在庫・輸配送計画など)を得意とし、需要予測や物流最適化に関する技術を紹介しています。その成果が評価され、「実施賞」や「事例研究賞」といった賞も受賞しました。
キャリアセッションは、企業と学生の交流の場

次に、今回参加したキャリアセッションの概要と、発表内容について聞きました。
キャリアセッションとはどういうものですか?
OR学会のキャリアセッションは、ORの知識を生かして働きたい学生向けに、関連企業が短時間のプレゼンを行うイベントです。春・秋の学会大会の一環として開催され、プレゼン後には企業の担当者と学生が直接交流できる個別セッションも用意されています。今回のセッションには、弊社を含む12社が参加しました。
プレゼンでは、どのようなことを発表されましたか?
今回のプレゼンでは、まず、キヤノンがORに関わる仕事をしていることを知らない学生に向けて、ORを活用したコンサルティングや研究開発を行う数理技術部があることを紹介しました。また、数理技術部の魅力として、目の前の課題解決だけでなく、将来を見据えた研究開発にも挑戦できる点を伝えました。プレゼンの内容はYouTubeにも掲載されていますので、関連リンクからぜひご覧ください。
学生との交流を通じて感じたこと
プレゼンのあとに学生と企業担当者が直接交流する個別セッションが行われました。そこでの様子についても聞きました。
個別セッションでは、学生たちとどのような会話をされたのでしょうか?
個別セッションでは、学生から多くの質問が寄せられました。「キヤノンがなぜORに関わっているのか?」には、会社や部署の沿革を説明し、「どのような事例があるのか?」には、需要予測、生産計画、輸配送計画のほか、災害時の保険員巡回計画や病院の病床管理計画など、幅広い活用事例を紹介しました。また、「勤務地や仕事の進め方」「入社前に必要な数理知識」など、OR以外の質問にもざっくばらんにお答えしました。この交流を通じて、学生にとっては企業の仕事を深く知る機会に、私たちにとっては学生の視点や関心を知る貴重な場となり、お互いにとって有意義な時間となりました。
今後、就職活動される学生さんに向けて、ひとことお願いいたします。
学生時代には、企業の人と直接関わる機会は多くありません。しかし、学会やセミナーに参加し、企業の人と交流することで、自分が将来働く姿を具体的にイメージしやすくなると思います。ぜひ、OR学会のような機会があれば積極的に参加してみてください。

数理技術部のさまざまな社外活動
数理技術部はOR学会のほかにも、技術発信や人材育成を目的に、さまざまな社外活動を行っています。その具体的な取り組みについても聞きました。
数理技術部では、ほかにもどのような社外活動をされていますか?
数理技術部では、ソリューションの紹介のために展示会へ参加したり、事例やノウハウを共有するためにセミナーで登壇したりしています。また、若手の技術力向上を目的にコンペティションへ参加することもあります。さらに、大学での講義を通じて学生との交流を深めたり、中高生の企業訪問を受け入れ、数理の仕事を紹介したりする活動も行っています。
今後は、どのような活動をしていきたいですか?
今後も数理技術部の取り組みを多くの人に知ってもらう機会を増やしていきます。今回のキャリアセッションのように、学生と交流できる機会があれば積極的に参加していきます。また、これまでの活動を続けながら、共同研究を通じて学生とともに社会課題の解決に取り組む場を広げていきたいと考えています。
今後も数理技術部の活動をレポートしていきます!
今回は、OR学会のキャリアセッションに参加した数理技術部の可知の話をもとに、活動の意義や学生へのメッセージをご紹介しました。
今後も、数理技術部の社外活動の報告を通じて、会社だけでなく未来を担う学生にも役立つ情報をレポートしていきます!
今回、お話を聞いたのは

可知 怜也
R&D本部 数理技術部所属。AIを活用した需要予測に関する研究・開発、需要予測・需給計画ソリューション FOREMAST(フォーマスト)の導入コンサルティング業務に従事。