シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第27回) 産業用照明について その1コラム
公開日:2021年5月27日
今回は、産業用照明についての話をしたいと思います。以前、マシンビジョンシステムを構築する上で最も重要となるのは、“撮像”であると説明したことがありますが(コラム第7回参照)、照明技術もその構成技術の一つとなります。特に成形品外観のキズや汚れの検出では、背景に対して欠陥部のコントラストを高く撮影できれば、例えば、背景が黒で、欠陥だけが白で撮像できれば、後段の画像処理は簡易になり、システム全体の検出性能も高めることができます。そのため、照明は、単に明るさを与えればよいというものではなく、対象ワークの素材や形状、表面状態、そして、光の特性を考慮し、最適な照明条件を検討する必要があります。今回は、マシンビジョンで利用される産業用照明の光源についてご紹介いたします。
光と光源
今回のまとめ
今回は、照明の光源についてご紹介しました。近年画像AI、ディープラーニングの進化ともない、ある程度の撮像がなされていれば、あとはAIが認識してくれると思われがちですが、産業用途における、高精度要求に対しては、やはり、背景と欠陥(キズや汚れなど)をよりコントラスト高く撮影できることなど、照明を含めた撮像技術が重要となります。目的別の照射方法や機器選定については、次回ご紹介いたします。
筆者紹介
稲山 一幸(いねやま かずゆき)エンジニアリング事業 シニアアプリケーションスペシャリスト
1992年住金制御エンジニアリング入社、Matrox社製品の国内総代理店立ち上げに参画、以降25年マシンビジョン業界に携わる。
2013年~2016年、キヤノン株式会社にてマシンビジョン関連の新製品開発のソフトウェアリーダとして従事。現在は、エバンジェリストとして活躍中。
関連するソリューション・製品
- 画像処理ソリューション
- 製造業における外観検査や異常検知、食品・ 医薬品・化粧品などにおける異物検査や成分量の測定、物流業における資材配置の点検などの課題に対して、最先端のマシンビジョンシステムを中心にソリューションを提供しています。
- 画像処理システム構築に必要な産業用カメラ、産業用パソコン、画像入力・処理ボード、ハイパースペクトルデータ処理や画像処理ライブラリ、さらにカメラと処理エンジンが一体化したAIスマートカメラなど、各種素材を取り揃えています。
- また、高い精度・高速処理が必要とされる各種検査機器、医療機器・印刷機器などに採用されたこれまでの経験を生かして、お客さまの課題やご要望をもとに最適な画像処理ソリューションをご提供していきます。