シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第8回)ラインセンサカメラの撮像制御コラム
公開日:2019年5月28日
ラインカメラ制御の外部機器と制御モード
さて、撮像制御については、大きくは、前述の2つのタイプになります。1つは、カメラのフレームレートを目安とする場合で、カメラの内部同期で撮像した画像データをそのままパソコンのメモリに転送するもので、外部同期を伴わない簡易な制御となります。一般的にカメラメーカまたは、フレームグラバメーカが準備している撮像ライブラリを活用することで、簡単にカメラからパソコンのメモリに取り込むことができます。連続的に取り込まれる画像に対して画像処理を行います。一方、対象ワークの搬送、タウトタイムを目安とする場合は、対象ワークの到着タイミングを示すセンサー信号をもとに撮像を行う必要があります。搬送系に対物センサーを取り付け、対象ワークの到着信号をフレームグラバーで受け取り、フレームグラバからカメラと照明を制御し撮像します。システム寿命を延ばすため、照明は常時点灯させるのではなく、カメラの露光前に照明を点灯し、露光が終われば消灯するストロボ撮像が用いられます。
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フリーランモード
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固定ラインスキャンモード
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可変単相制御モード(A相、もしくはB相の一方を使用)
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可変両相制御モード(A相、B相の両方を使用)
フリーランモード
フリーランモードは、カメラ内部で設定されているスキャンレートと露光時間で撮像し、画像データを出力します(図1)。外部信号と連動しないため、ワークの移動が速い場合は縦に短い像となり(図2の①)、遅いと長くなります(図2の②)。対象ワークが一定速度で移動(回転)する場合や、ラインカメラの動作確認時によく使用されます。
固定ラインスキャンモード
可変単相制御モード(A相、もしくはB相の一方を使用)
可変単相制御モードは、最も基本的な方式になります。搬送系からの出力信号(エンコーダのA相またはB相信号)を画像入力ボードに入力し、信号の立ち上がりまたは、立下りを基にスタートパルスとして同期撮像する方式です(図4)。ワークの移動速度にかかわらず、縦方向に伸縮のない安定した像を得ることができます(図2の③)。また、エンコーダの出力パルス数を分周し、スタートパルスを調整することもできます(図5)。
可変両相制御モード(A相、B相の両方を使用)
今回のまとめ
今回は、ラインカメラシステムで重要な撮像制御に触れました。外部トリガーとエンコーダとの連携制御ができれば、ほぼすべてのシステムでの撮像制御が可能となります。対象ワークの搬送や駆動状態に合わせた撮像にご活用ください。
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