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【第6回】広がる、働き方の選択肢[2023.4.5]
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コラム|日本テレワーク協会によるテレワークトレンド解説
【第6回】広がる、働き方の選択肢[2023.4.5]

terewa^テレワークトレンド解説

1.リスクに対する考え方

こちらのコラムを書かせていただいてちょうど1年になります。振り返ると、変わってきたこと、変わっていないこと、コロナ前に戻ってしまったこと、さらに進化したことなどさまざまです。新年度がはじまり、新社会人の方も社内で異動された方も、会社を変わられた方もいらっしゃると思います。みなさまの今年度の活躍を祈りつつ、2023年度の働き方について考えていただければと思います。

さて、2019年4月から、“働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革“として「働き方改革」が進められてきました。具体的には、残業時間の上限規制や勤務間インターバル制度の導入、割増賃金率アップ、フレックスタイム制の拡充、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等です。(※1)その後2020年には「働きがい改革」という言葉を聞く機会が増えてきます。キリンホールディングスは2020年から” 一人ひとりが「働きがい」を実感し、会社とともに持続的な成長を果たせる環境へ。KIRINの「『働きがい』改革 KIRIN Work Style 3.0」“を展開していますし、NECは2021年11月にSmart Work2.0という取り組みの中で、「働きがいの実感を高めていく」と宣言。2021年度からは内閣府が”「働き方」を変えると、「生き方」が変わる。“として、地方創生テレワークが推進されました。「働き方改革」は、「働きがい改革」、そして「生き方改革」へ進化した、ということがいえます。

テレワークは「場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことをいいます。【図表1】解りやすくするために英語で表記すると、“You can work anywhere and anytime you want.”あなたの都合に合わせて、どこでもOK、いつでもOKなのです。もちろん、セキュリティへの配慮は必要ですし(詳しくは【第5回】テレワークで気を付ける事(セキュリティ編)を参照ください)、深夜や早朝勤務や働きすぎには注意していただく必要がありますが(詳しくは【第4回】テレワークで気を付ける事(勤務管理編)を参照ください)、朝方がはかどる方は早朝から、夜の方が効率が良いという方は遅めの勤務でよいのです。

テレワークを活用した働き方


【図表2】は、「ねばねばではなく、わくわくで働こう」がモットーの北陸人材ネットの山本均社長が書かれたものです。「こうあるべきだ」「こうしなければならない」ではなく、やりたい仕事をやりたいようにしようというのが根幹にあります。

「ねばねば」でなく「わくわく」で生きよう・働こう


なぜなのか、【図表3】無理やり努力をして仕事をするよりも、夢中になって仕事をする方が良い仕事ができるからです。筆者も、子供のころから努力や根性の世界で生きてきましたが、本当に自分がやりたかったことをしてきたか、得意なことをしてきたかというと疑問を感じるところもあります。もはや自分の得意なことって本当は何だろう?と思うことすらあります。その一方で、時間を忘れて仕事をしたことも、未だにしてしまうこともあります。成果としてどうかはさておき、自分自身の満足度は時間にとらわれないくらい夢中になってやる方が高い、というのはいうまでもありません。

マズローの欲求段階説とねばねば、わくわく


【図表4】の通り、既に就業そのものが変わってきています。テレワークやワーケーションの普及のみでなく、副業・兼業が促進され、新入社員全員が一律に研修を受けてゼネラリストを目指す時代ではなくなっています。かつての工場制手工業が機械に取って代わられたように、今はAIに代替えされない仕事を探さなければいけません。

テレワーク社会で就業がどう変わるか


【図表5】をご覧ください。筆者は30数年前にどの会社に就職しようかな、と考えて就職活動を行いました。会社と自分との関係は1:1ですので、会社の決定に逆らうのは難しく転勤を断るなら退社しなければなりませんでした。でも、これからは変わっていきます。自分は何が得意なのか、何ができるのかを考えやってみる、そしてキャリアアップしていく時代になります。本業があって副業をするのではなく、複数の仕事をする「複業の時代」とも言われています。

就業の変革


実際の業務においても【図表6】の通り、10人が10種類の業務をそれぞれやるよりも、10人が協力して得意なところを分担してやるほうが効率的であることは言うまでもありません。また、みんなで協力することで、その時働ける人が仕事を引き受けることもできます。1日3時間だけしか働けないから仕事に就けなかったという方も、就業することができるわけです。いつ、どのくらいのボリュームで働けるか・働きたいかは、人によっても違いますし、ライフステージによっても変わっていきます。インターネットによる情報伝達が容易になったこともあり、その時、自分がどこで、どうやって、どのくらい働けるか・働きたいか、に合わせた就業が可能な時代になってきています。その中でどう自分を活かせるか、自分は何か得意なのか、何ができるのかを考えやってみる、そしてキャリアアップする。こうあるべきであるというみんなが目指す理想像があるのではなく、一人ひとりが自分の幸せな働き方で「わくわく」働く。結果として企業にも社会にも役立つことに疑いはありません。

得意なところをやる業務分担の例



 

筆者紹介

一般社団法人日本テレワーク協会 事務局長 村田瑞枝

村田 瑞枝(むらた みずえ)

一般社団法人日本テレワーク協会 事務局長

1991年日本電信電話株式会社入社。人事部人材開発室を経て、マルチメディアビジネス開発部に所属。以降、25年間WEB戦略策定及び実施サポート、システム構築、デジタルマーケティングなどインターネット関連業務に携わる。中小企業診断士。1級ファイナンシャルプランニング技能士。ファイナンシャルプランナー(CFP)、WEB解析士、ロングステイアドバイザー。2020年4月より現職。

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