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【第1回】テレワークのイマ[2022.4.22]
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コラム|日本テレワーク協会によるテレワークトレンド解説
【第1回】テレワークのイマ[2022.4.22]

terewa^テレワークトレンド解説

みなさまお馴染みの、と言ってもよい感じになってきました「テレワーク」ですが、まずはその定義について、再確認いただきたいと思います。テレワークとは、情報通信技術(ICT)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことをいいます。

1.そもそも、テレワークとは

テレワークは、働く場所によって、自宅で行う在宅勤務、移動中の新幹線・飛行機の中、移動の合間に喫茶店などで行うモバイルワーク、サテライトオフィスやコワーキングスペースで行うサテライトワークの3種類があり、雇用形態によって雇用型と自営型がありますので、そもそも6種類ありました。例えば営業の方が自宅から客先に直行し、客先をまわる合間に喫茶店で折衝状況を報告、そのまま帰宅するような場合はモバイルワークという形でテレワークを実施していることになります。これに昨今はワーケーションという働き方が加わり、その定義はかなり広くなってきています。英語ではYou can work anywhere and anytime you want.と書いていますが、これは決していつでもどこでも(everywhere and every time)仕事をしなければならない、仕事の事を考えなければならないわけではなく、都合の良い(you want)とき、効率があがるときにやる、という主旨です。

働き方改革の切り札、テレワーク

働き方改革の切り札、テレワーク

2.テレワークの導入状況

さて、テレワークはどのくらい活用されているのでしょうか。東京都の調査結果では、テレワーク実施率はここ2年にわたり過半数を占めております。(※1)その一方で、全国平均では2022年3月の時点で28.5%となっており、実際のところ地域、企業規模、業種・職種、等でかなり差が出てきています。

テレワーク実施率(全国平均)の推移

テレワーク実施率(全国平均)の推移


テレワーク導入率は、地域別には東京都が最も高く、地方にいくほど低くなっています。概ね車通勤が多い地域の導入率が低いことから推察しますと、混雑した電車を避ける感染症対策の一環としてテレワークが導入されたことが一つの要因といえます。企業規模の側面からは、大企業ほど高く、企業規模が小さいところは進んでいないということが解ります。全国中小企業振興機関協会の2021年7月の調査(※2)では、請求書のやり取りにおいて、紙を郵送する中小企業が全体の8割超となっており、こちらはデジタル化の度合いに差異があることが一つの原因と考えられます。


従業員規模別テレワーク導入率(全国)

従業員規模別テレワーク導入率(全国)

3.テレワークのメリット

次に、テレワークを導入する効果について見てみましょう。最もよくあげられるのは、通勤時間の削減です。たとえ片道30分の通勤であっても、毎日1時間の余裕ができたら、どんなことができるでしょう。週に2~3日の在宅勤務で、1か月に10時間、年間で100時間以上を別の何かに費やすことができます。そして、就業者が働きやすい働き方ができる企業であれば、優秀な人材が確保でき、生産性が向上していきます。今回のような感染症が流行しても業務が継続できます。また、職場内をフリーアドレス化し事業所を縮小する、通勤手当を無くして出社する際は交通費を実費支給とすること等でコスト削減を図った例も珍しくありません。こういった就業者の負担を増やさない形で業務効率化が進むことで、社会にとっても良いサイクルがまわるのです。

テレワークを導入する効果

テレワークを導入する効果

テレワークを導入した事で、離職者が出なくなった、就業者を募集したらこれまでの数倍も応募があった、という例は枚挙にいとまがありません。特にテレワークを積極的に活用している中小企業の方にお話を伺うと、業績もあがっていると言われます。テレワークに積極的な経営者は、あらゆる業務改善や経営革新に積極的であるからかも知れません。
何事においても、卵が先かニワトリが先か、という議論があると思いますが、テレワークの効果においては、働く一人一人が既成概念に捉われない幸せな働き方ができることが起点になります。全員が毎日テレワークをするのではなく、みんなで出勤するのでもなく、自分自身の働きやすい働き方、最も幸福度をあげられる働き方を見つけましょう。昨今は”まだらテレワーク”や”ハイブリッドワーク”といった表現もされていますが、自分自身のベストな働き方は人それぞれです。毎日テレワークが良いという方もいれば、パートナーがテレワークの日は出勤したいといったご家庭の事情に合わせて出勤を希望される方もいます。”「テレワーク」を、広く社会に普及・啓発することにより、個人に活力とゆとりをもたらし、企業・地域の活性化による調和のとれた日本社会の持続的な発展に寄与する”というのが、日本テレワーク協会の理念です。そしてこれは理想ではなく現実となっています。最初の一歩となる自分自身の幸せな働き方を見つけ、実践してみていただけるようお願いします。

次回はテレワークを導入してどうなったのか、具体的な事例を中心にお話させていただきたいと思います。


 

筆者紹介

一般社団法人日本テレワーク協会 事務局長 村田瑞枝

村田 瑞枝(むらた みずえ)

一般社団法人日本テレワーク協会 事務局長

1991年日本電信電話株式会社入社。人事部人材開発室を経て、マルチメディアビジネス開発部に所属。以降、25年間WEB戦略策定及び実施サポート、システム構築、デジタルマーケティングなどインターネット関連業務に携わる。中小企業診断士。1級ファイナンシャルプランニング技能士。ファイナンシャルプランナー(CFP)、WEB解析士、ロングステイアドバイザー。2020年4月より現職。

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