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シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第16回):マシンビジョン判定方式の比較

マシンビジョン判定方式の比較

今回は、マシンビジョン判定方式(「ルールベース方式」「画像AI方式」「ビッグデータ分析方式」)の比較を行い、それぞれの特徴をご紹介いたします。

学習の種類と正常モデルについて

AI学習の種類と正常モデル

マシンビジョンの処理フローと
ルールベース方式(図1)

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「ルールベース方式」「画像AI方式」「ビッグデータ分析方式」の背景については、前回コラムをご参考ください。特に、ルールベース方式は、開発者が1つ1つルールを決め設定していくため、判定根拠が明確となるメリットがありますが、判定ルールを搭載していない欠陥を見逃すデメリットを含みます。「画像AI方式」と「ビッグデータ分析方式」は、共に膨大な情報から判定根拠となる学習モデルを自動生成し、網羅的に判定することができます。自動生成と網羅的に対処できる点は、非常にメリットとなりますが、そのモデル生成に確率が用いられていることにより、判定根拠が不明瞭となる点はデメリットとなります。学習には、“教師無し学習”と“教師有り学習”があります。分類したいものが複数ある場合に、その1種類のみを使って学習するものを、“教師無し学習”と呼びます。学習したものとそれ以外での分類が可能となります。
図1は、与えられたデータの理想的領域を黒色実線で、学習により自動的に生成される学習モデルを赤色破線で表現しています。画像AI学習では、赤色破線は内部情報となり見えない状態で、ビッグデータ分析では、学習マップとして見える形で人が領域設定を行います。“教師無し学習”では、正常状態と異常状態との境界値が不定となりますので、与えられたデータによっては、未検出と過検出の両傾向をとることがあります(図1の左上図)。
また、与えたデータの集団分布の差異があっても、与えられたデータを基に学習モデルとその範囲が自動設定されるため、内部での学習モデルが想定外のもとなっている可能性を含むものとなります(図1の左下図)。一方、複数種のデータを使って学習するものを、“教師有り学習”と呼びます。“教師有り学習”では、正常データと異常データを与え、与えた異常データが限界値に近い場合は、正常と異常の境界値の精度は高くなります(図1の右上図)。しかし、異常データが非常に極端な場合は、未検出傾向となります(図1の右下図)。

3つの判定方式の比較

3つの判定方式の比較

ルールベース方式による画像処理
(図2)

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ルールベース方式は、人(知見者)が画像データを基に前処理と特徴量抽出し判定アルゴリズムを作成し、対象画像に対し判定結果を出力します。判定根拠が明確で、ホワイトボックスとなりますが、目的に寄与する前処理、特徴量の抽出、そして、それを用いた判定アルゴリズムの生成ができるか否かが課題となります。これは、技術面以外に欠陥の変化量が多く設定には膨大な時間がかかる場合は、その時間が課題となります。画像AI方式は、ソフトウェアが画像データを基に、自動的に前処理と特徴量選定と学習モデル生成し、対象画像に対し判定結果を出力します。こちらは、全自動で便利ですが、準備した画像が目的の状態を含むか否か、また、画像AI(CNN)のアルゴリズムが目的に寄与する特徴量を含み、正しく特徴量選択できるか否かが課題となります。ビッグデータ分析方式は、人(知見者)が画像データを基に、前処理と網羅的な特徴量抽出を行い、ソフトウェアが学習モデルを生成し、対象画像に対し判定結果を出力します。こちらは、半自動で設定が可能ですが、画像AI方式と同じく、準備した画像が目的の状態を含むか否か。また、準備した特徴量が網羅的であるか否か、さらに、ビッグデータ分析が目的に寄与する特徴量を正しく選択できるか否かが課題となります。

しかめ、可能性ある欠陥については、一つ一つ搭載していく必要があります。そこで、網羅的に前処理や特徴量抽出にを取り決めることで、想定外の欠陥や未知の欠陥を含め、様々な欠陥に対応できる方式が求められるようになりました。

今回のまとめ

今回は、マシンビジョンの判定方式についての比較を行いました。それぞれ一長一短あるため、目的の対象に対しては、どの判定方式を採用すべきか、その選択は難しく、対象ワークを撮像し、検証するのが最適となります。
次回は、ルールベース方式と画像AI方式を併せ持つ次世代マシンビジョンデバイス、高速AIチップ搭載のAIスマートカメラをご紹介いたします。

 

筆者紹介

シニアアプリケーションスペシャリスト 稲山

稲山 一幸(いねやま かずゆき)

エンジニアリング事業 シニアアプリケーションスペシャリスト

1992年住金制御エンジニアリング入社、Matrox社製品の国内総代理店立ち上げに参画、以降25年マシンビジョン業界に携わる。
2013年~2016年、キヤノン株式会社にてマシンビジョン関連の新製品開発のソフトウェアリーダとして従事。現在は、エバンジェリストとして活躍中。

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