ホーム > コラム・レポート > コラム > コラム|需要予測の単位はどう決めたら良いのか??
~予測単位を決めるために押さえておきたい4つの切り口~[2022.3.17]
  • コラム

コラム|需要予測の単位はどう決めたら良いのか??
~予測単位を決めるために押さえておきたい4つの切り口~[2022.3.17]

需要予測の単位はどう決めたら良いのか??

昨今、経済・社会環境は急激に変化し続けています。それによっておこる社会課題やトレンドに対し、需要予測・需給計画は柔軟に対応していく必要があります。

そこで本コラムでは、需要予測・需給業務の担当者や最新のトレンドを学びたい方向けに、今後必要とされる需要予測・需給計画の取り組みやポイントについて、弊社コンサルタント独自の視点で解説します。

需要予測の単位はどう決めたら良いのか??

我々コンサルタントが、お客様と共に需要予測を含む需給計画システム導入を進める際、検討項目のひとつとして「どの単位で需要予測するのか?」があります。お客様と会話すると、「現状、○○の単位で需要予測しているので、新システムでも○○で需要予測することを考えている」となりがちなのですが、本当にベストな選択なのでしょうか?
今回のコラムでは、簡単そうで奥深い需要予測における単位の決め方について、考察してみたいと思います。

需要予測の単位を決める4つの軸

いきなり結論めいた説明になりますが、需要予測の単位は、4つの軸(製品、エリア、販売チャネル、時間)の組み合わせの中から、需給計画業務上の意思決定プロセスや予測精度を加味して選択していくことになります。

表1 需要予測単位を決める軸

画像を拡大する

次に、4つの軸のうち、時間軸以外の3つの軸について、具体例で解説したいと思います。

製品軸を考慮するケース

製品仕様にバリエーションがあるタブレットの需要を予測する場合を考えます。このタブレットには、ボディのカラーが4種類、搭載メモリ量により3種類、通信機能がWi-Fiとセルラーの2種類あるとすると、合計4×3×2=24種類の仕様バリエーションがあります。このタブレットは、24種類の仕様別に、在庫を管理する必要があり、個別に予測することもできますが、仕様によっては需要量が少なく、ひいては予測精度があまり良くないケースもあります。このような場合、タブレット全体の実績から需要を予測して、仕様別に予測を按分した方が、予測精度が向上する可能性があります。

どの単位で需要予測するか?(製品モデル、カラー、メモリ量、通信機能)

エリア軸を考慮するケース

日本国内に複数の物流拠点をもつメーカーの製品の需要を予測する場合を考えます。たとえば、工場1か所とマザー倉庫が2か所、北海道、東北、中部、中四国、九州に5か所のフロント倉庫があるとします。業務として、生産したい量 or 外部工場に生産を依頼したい量を決めたいのであれば、全体で予測することになります。
一方で、物流拠点間での補充7量を決めたい、もしくは、物流拠点がカバーしているエリアごとに需要の傾向が大きく異なる場合、7か所のエリアごとに予測することになります。一方で、エリアで細分化しすぎると、製品によっては、需要量が少なく、ひいては予測精度があまり良くないケースもあります。このような場合、エリア全体の実績から需要を予測して、エリア別に予測を按分した方が、予測精度が向上する場合もあります。

どの単位で需要予測するか?(工場、マザー倉庫、フロント倉庫)

販売チャネル軸を考慮するケース

1つの製品を複数の販売チャネルを通して販売している場合を考えます。たとえば、店頭販売、直営のネット販売、特定の大口顧客向けといった複数の販売チャネルがある場合です。このようなケースでは、販売チャネルごとに、在庫を分けて管理する、販売計画を立てる、販促キャンペーンを企画するといった業務上の理由から、販売チャネル別の予測が必要になります。また、販売チャネルごとに需要の傾向が大きく異なる場合も、販売チャネルごとの予測が必要となる場合があります。
一方で、販売チャネルごとに細分化して予測するより、全体で予測して按分した方が、予測精度が向上する場合もあります。

どの単位で需要予測するか?(全体、販売チャネル)

おわりに

一口に需要予測単位といっても、製品、エリア、販売チャネル、時間といった様々な切り口が考えられます。さらに、需給計画業務上の意思決定プロセスや、細分化した単位で予測する方が精度が良いのか、大きい単位で予測して按分した方が精度が良いのか、といった予測精度を加味して決定する必要があります。需要予測単位の決定にあたっては、システム構築前に、PoC(Proof of Concept)として予測精度検証を行うことをお勧めします。

筆者紹介

武田 勝徳

武田 勝徳(たけだ かつのり)

R&D本部 数理技術部 シニアコンサルティングスペシャリスト

博士(工学)。
需要予測・需給計画ソリューション FOREMAST(フォーマスト)のシステム導入プロジェクトに従事。
趣味が高じて、オートキャンプインストラクター資格も取得。

関連書籍など

在庫管理のための需要予測入門

FOREMAST担当コンサルタントが執筆した需要予測入門書です。
どのような需要予測システムを導入すればよいかお悩みの方のために、実務に精通したコンサルタントが基本知識からシステム導入時に考慮すべきポイントまでをやさしく解説しています。

在庫管理のための需要予測入門

キヤノンシステムソリューションズ株式会社数理技術部[編]
淺田 克暢+岩崎 哲也+青山 行宏[著]
■出版社:東洋経済新報社
■発売日:2004年12月22日
■ISBN:4492531874
■価格(税込):1,980円

関連するソリューション・製品

ホーム > コラム・レポート > コラム > コラム|需要予測の単位はどう決めたら良いのか??
~予測単位を決めるために押さえておきたい4つの切り口~[2022.3.17]