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世界に先駆けMoodle2.0系による全学LMS基盤を構築導入事例

東京理科大学様のケース

東京理科大学

学習管理システムの利用率が上がらず活用できていない状況や、さまざまなシステムを個別に導入している影響の課題があり、複数あった学習管理システムをM o o d l e に統一。世界に先駆けM o o d l e 2 . 0 系による3 大学・6キャンパスの学生約2 万2 0 0 0 名と教員約2 0 0 0 名が利用可能な大規模L M S 基盤をO S S のM o o d l e で構築。

  • 多様なワークスタイルへの対応
  • パフォーマンス・可用性向上

お客さまが実現できたこと

  • 3大学・6キャンパスの学生約2万2000名と教員約2000名が利用可能な大規模LMSの稼働を実現
  • 新たな環境構築によりLMSの利用が飛躍的に向上

お客さまのご要望

  • 教育の質向上や最新機器類の導入による学生のための教育環境構築

学内で様々に運用されていた商用LMSが迎えた限界

総ユーザー数2万4000名超という大規模なLMS基盤に、OSSである「Moodle」の最新バージョンを導入・運用するといった、前代未聞のイノベーティブな取り組みに挑んでいる東京理科大学。コンピュータ教育をいち早く実践するなど、教育の質向上や最新機器類の導入による学生のための教育環境づくりに定評があった東京理科大学らしいアクションだったといえる。

上から
東京理科大学 総合情報システム部 次長
篠原 篤氏
同部 情報技術課
阿南 尚人氏
上から<br /> 東京理科大学 総合情報システム部 次長<br /> 篠原 篤氏<br /> 同部 情報技術課<br /> 阿南 尚人氏

この先進的な取り組みの背景には、「それまで学内で局所的に運用されていたLMSには限界があり、かつ様々な課題があったこと」と、東京理科大学のICT活用を推し進める総合情報システム部の次長・篠原 篤氏は当時を振り返る。

従来、東京理科大学ではキャンパスごとや学部ごとに独自のLMSが導入・運営されていた。そのため、教員自身で利用者分の学生データを登録しなければならない手間がかかったり、情報基盤のID・パスワードが共用できなかったりと、使い勝手の悪さが現場から指摘されていた。

「既存のLMSは、数種類の商用版を使っていたことから、ライセンスフィーが膨大で、しかもパッケージ版のためカスタマイズ性にも欠けていました。そのため継続的なICT活用のノウハウをシステムに蓄積していくのが困難な状況でした」と東京理科大学総合情報システム部の係長・松田 大氏も従前の環境を評す。

また、東京理科大学総合情報システム部の阿南尚人氏も「神楽坂キャンパスではLMSを1台のWindowsサーバで運用していたので、授業開始と共にアクセスが集中すると著しいパフォーマンス低下を招いていました」と続ける。

全学的に高まっていたLMS活用の機運に乗じ、OSS活用を決断!

上から
東京理科大学 総合情報システム部
情報技術課 係長
松田 大氏
同部 情報技術課 主任
田中 篤史氏
上から<br /> 東京理科大学 総合情報システム部<br /> 情報技術課 係長<br /> 松田 大氏<br /> 同部 情報技術課 主任<br /> 田中 篤史氏

一方、「他の学内システムにも、レポート提出など、LMS的な使い方ができる機能が付加されていました。そのため、LMSにあまり興味がなかった教員の間でも利用が進むなど、ICT活用による授業展開の裾野が広がりつつあったことも事実でした」(松田氏)

「しかし…」と東京理科大学総合情報システム部の主任・田中篤史氏は問題点を指摘する。
「他の学内システムも同様に商用パッケージで構築されていたので、カスタマイズの困難さや、高額な費用負担などの課題がありました」

つまり、ここにもICT活用を阻害する要因が内包されていたわけだ。そこで、東京理科大学では大規模なOSS活用に舵を切ることになる。

「現在の学籍管理システムと連動できるOSSのLMSを新規に導入し、それを姉妹校である山口東京理科大学と諏訪東京理科大学の2校を含む全学に展開することで、一挙に課題の解決に臨みました」(阿南氏)

もちろん、決定に際しては、全教員に向けてアンケートを実施。その結果、将来的な電子ベースへの移行はもちろん、既存のLMS利用者の約10倍にあたる教員がLMS利用を望むという答えが得られたという。

「新たなICT環境への大きな期待感を得て、本格的な導入への動きとなったわけです」(篠原氏)

世界に先駆けた試みとなるMoodle2.0系で導入構築に挑む

"商用版ではなく、あくまでOSSで"という方向性で検討する中、最後に残ったLMSが"Moodle"だった。

「多数の大学での導入実績があり、文部科学省所管の独立行政法人・メディア教育開発センターの"ラーニング等のICTを活用した教育に関する調査報告書2007年度"でも、最も高い利用率を示していましたから」(松田氏)
こうして東京理科大学では、機材調達からシステム開発・運用保守までを、すべてワンストップで任せられるパートナーとして17社に提案を依頼する。

「要件の充足度、会社としてのスキル、実行能力、コストなどを総合的に評価した結果」(篠原氏)から、キヤノンITソリューションズが選ばれた。
「特にソフトウェアの開発・運用実績やサポート体制等が好評価でした」(松田氏)

早速、2010年より全学展開するLMSの設計/構築がはじまったが、当時のMoodleは1.9系で、現行(2011年現在)の2.0系はリリースされていなかった。
「我々は、本格的なLMSの立ち上げとしては後発組。何か東京理科大学らしさを出したいという想いから、国内/海外を見ても事例のなかった2.0系を採用することを決断しました」(松田氏)と、エンタープライズシステムでは世界的にみても先駆けとなるMoodle2.0での設計/構築がスタートする。

常に教育・学習環境向上を念頭に設備充実に注力

「教育機関ではLinuxの採用が多いように、もともとLinuxとOSSは相性がいいはず。今回のMoodleに加え、学内ポータルでもOSS活用している私たちにとって、ミッションクリティカルな領域でのOSS活用には、何の不安もありませんでした」(阿南氏)
とはいえ、一筋縄では進まない局面も多々あったという。

「学生や教職員のデータ、シラバス、授業履修など、既存システムとのデータ自動連携がやっかいでした。Moodleのテーブル構造を把握し、既存システムに一致させるわけですが、毎日の処理で変更される学籍/人事データを共有させるなど、CMSでのWebアプリ開発の力がないとこなせません。キヤノンには持てる力をすべて発揮してもらった感じです」(松田氏)
そして、2011年4月、遂にカットオーバーの日を迎えた。

「Moodle2.0系は、まだ未成熟なソフトウェア。カットオーバー後、半年も経たない間に何度もバージョンアップされています。だからこそ、それらの改定に迅速に対応できる仕組みとして、インフラに用いたVMwareによる仮想化環境で冗長化を施し、運用中の保守作業の業務継続性も担保しています」(田中氏)
「今もキヤノンには、急な仕様変更など無理難題にも素早く対応してもらえ、非常に助かっています」(阿南氏)

こうして、学校法人東京理科大学では現在3大学・6キャンパスの学生約2万2000名と教員約2000名が利用可能な大規模LMSを稼働させている。

「現在の利用状況は、学生8121名、教員476名、公開コース358件。導入前に比べLMSの利用が飛躍的に伸びました。また今夏の電力削減を受け授業時間の短縮を余儀なくされましたが、その分、在宅学習などにこのLMSを活用し乗り切ることもできました」(松田氏)
今後について「現在、学生側からは単一のID・パスワードで利用できる環境になっていますが、より学籍管理システムとの連携を進め、LMSに軸足を置いた全学システムとしてシームレスな環境構築に臨みたい」(篠原氏)という構想に向け動き出している。

「まずはストリーミング配信やモバイル対応、eポートフォリオなどの機能拡張に向け、設計/構築同様、キヤノンと一緒に煮詰めていきたい」(松田氏)という直近の課題解決も含め、東京理科大学とキヤノンITソリューションズのMoodle活用術から目が離せない。

Moodleをベースにして開発された東京理科大学の全学的LMS (LETUS:Learning Environment for Tokyo University of Science)

商用ソフトのライセンスフィーをOSSの開発に回し、利用者の要望に応え利便性をあげていく方が得策というICT活用フィロソフィーのもと、学生や教員の使い勝手を考慮し手を加えた東京理科大学の全学的LMS(LETUS)のGUI。シラバスシステムとMoodleが連携し、授業内容の表示を実現している。

  • LMS(Learning Management System、学習管理システム)とは、教師による教材の保管・蓄積、学習者への教材の適切な配信、学習者の学習履歴や小テスト・試験問題の成績などを統合的に管理するシステムのこと。Moodleは、オープンソースソフトウェアで、GNU General Public Licenseに基づいて自由に配布され使用することができる代表的なLMSのひとつ。
LETUSのTop画面、コース画面、シラバス情報画面
LETUSのTop画面、コース画面、シラバス情報画面
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東京理科大学様プロフィール

1881年に「理学の普及をもって国運発展の基礎とする」の志のもと、東京大学の物理学科を卒業した青年学士ら21人により「東京物理学講習所」として創立。以来、「真に実力をつけた者のみ卒業させる」実力主義を貫き、現在では8学部33学科を基盤とする理工系総合大学に発展。「都心型」の神楽坂キャンパス、「リサーチパーク型」の野田キャンパス、久喜キャンパスを擁し(うち基礎工学部一年生には北海道の長万部キャンパスで全寮制教育を実施)、創立125周年時に掲げた「Conscience(良心)」というスローガンのもと、倫理教育重視の全人的な教育に注力する。2011年に創立130周年を迎え、2013年には葛飾キャンパスを新設予定。

創立
1881年
所在地
東京都新宿区神楽坂1-3
学生数
20672名(2011年5月1日現在)
  • 本記事の内容は、取材時点のものです。

ご採用いただいた製品・ソリューション

文教
大きく社会が変化する中、大学をはじめとする教育機関においても、学習環境や学習スタイルに大きな変化が求められています。少子化が進む中、子供たちがよりよい社会を育めるように資質や能力を養うことができるように、私たちは、ICTサービスを通じて質の高い教育環境の実現に貢献していきます。私たちは、数多くの教育機関に対し研究・教育・学生サービスのためのソリューションを提供し、お客さまと共に真の価値向上を共創しています。
長年文教市場に特化した営業とSEが、貴学に最適なクラウド移行を支援します。またコロナ禍で急務となっている遠隔授業環境を、当社独自開発による教育支援情報プラットフォーム「in Campus シリーズ」で実現いたします。
Moodle構築・運用支援サービス
「もっとも利用されているオープンソースLMS(学習管理システム)」と言われるMoodle。Moodle構築・運用支援サービスでは、そのシステム企画・設計から、システム構築、カスタマイズ、運用支援・保守サポートまでをトータルで提供。特定の授業群での小規模導入から、全学的な統一システムとしての導入まで、さまざまな規模にも対応しています。もちろん、既存の学内システムとの連携やプラグインモジュールの開発まで柔軟なソリューションを提案致します。
教育支援情報プラットフォーム
「in Campus(インキャンパス) 」は、キヤノンITソリューションズが、これまで文教市場で培ったIT基盤システムの開発・構築・運用の技術ノウハウや豊富な実績をもとに、独自開発した教育支援情報プラットフォームです。
学内情報発信の窓口となる「ポータル」と、授業シーンで利用される「LMS(学習管理システム)」を中心に、大学教育で必要とされる主要な機能を装備しています。

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