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流通BMS特集 - 流通BMS解説

流通BMSとは

流通BMSとは流通ビジネスメッセージ標準(Business Message Standards)の略称で、流通業に携わる企業が統一的に利用できる、EDIの新たな取り決めです。経済産業省が中心となり、業界団体や大手GMSと協調して仕様を検討し、2007年にはスーパー業界で初めて流通BMSを導入しました。 現在では、流通システム標準普及推進協議会が維持管理しています。流通BMSの大きな特徴は、次の2点です。


<インターネットの利用>
流通BMSは通信手段としてインターネットを採用しています。電話回線を用いる従来のJCA手順に比べてインターネット回線は圧倒的に高速なため、通信にかかる時間が大幅に短縮します。低額で月額固定料金のサービスも多く、通信コストの削減につながります。

<メッセージの標準化(統一)>
流通BMSでは、どのような取引にも汎用的に使用できるよう、メッセージを標準化しています。流通業全体で取り扱うメッセージを統一することで、取引先別に行なっていたシステム開発を削減できます。データ形式(フォーマット)にはXMLを採用し、将来用途が拡大した場合でも容易に項目を追加できるなど、柔軟性の高さもメリットです。


流通BMSとは




従来型EDIの課題

現在主流のJCA手順は今から30年以上前の1980年に制定されました。高性能パソコンやインターネットのような高速通信網がない時代であり、今日の流通サプライチェーンを担うには技術的にも古く、課題も少なくありません。

<老朽化した通信基盤>
JCA手順の通信速度は2400bpsまたは9600bpsで、インターネットの通信速度に比べると理論上数百分の一と非常に低速な仕様です。企業によっては発注データの送受信に1時間以上かかることもままあります。また専用の通信機器(モデム)が必要であり、故障の際の修理や買い替えがしにくい状況です。

<データの制限>
JCA手順では1件のデータは256byte(256文字)と規定され、漢字が扱えないため、受発注データには最小限の情報しか盛り込めません。加えて、データ形式や項目は小売店が各々自由に定めており、卸・メーカー側では自社システムへの連携を個別に開発しなければならず、開発費用の負担も問題です。またデータが構造化していないため項目の追加や変更を容易に行えず、受発注業務に制約がありました。

流通BMSの特徴

前述の課題を解決するために生まれた流通BMS。その特徴である「インターネットの利用」と「メッセージの標準化(統一)」について、掘り下げてご説明します。

<インターネットの利用>
流通BMSでは、ADSLや光ファイバーといったインターネット回線を利用します。従来型EDIの場合には、JCA・全銀・全銀TCP/IPといった通信プロトコル、さらには公衆回線・ISDN回線と多様な通信回線があり、すべての通信手段に対応し、なおかつ複数同時接続のために電話回線を何本も敷設しなければなりませんでしたが、流通BMSの場合はインターネット回線に集約できます。

<メッセージの標準化(統一)>
メッセージの標準化は、業務の標準化ともいえます。EDI導入の際は、どの業務を対象とするか、やり取りするデータの仕様をどうするかといった取り決めを小売店と卸・メーカーの双方で行う必要がありますが、こうした取り決めを複数の小売店と複数の卸・メーカー間で個々に行うことは極めて非効率です。

同一業界であれば日々行う取引もほぼ同様であるため、メッセージの標準化は業界全体の業務効率改善につながり、後述の通り、EDI開始までの期間短縮や、システム開発費用削減などの効果ももたらしています。


流通BMSの特徴


流通BMSの普及状況

財団法人流通システム開発センターと流通システム標準普及推進協議会(流通システム標準普及推進協議会)の調査によると、2016年6月時点で、卸・メーカーでは9,000社以上、小売店では300社以上で流通BMSが導入済みであると推計されています。毎年約10%前後の伸び率で導入数が増えており、小売店・卸・メーカーの双方で、今後より一層流通BMSの導入が進むでしょう。

流通BMSの導入メリット

流通BMSを導入してどんなメリットがあるのかは、導入を検討する際に最も気になる点でしょう。先行して流通BMSを導入した卸・メーカーでは、実際に次のような導入効果が得られています。今後、流通BMS対応企業が増えるほど、小売店、卸・メーカー双方で導入効果が一層高まるでしょう。

<通信時間の短縮とコスト削減効果>
流通BMSの共同実証では、流通BMSはJCA手順と比較して通信時間を90%以上削減できることが確認されました。通信時間の短縮は単に通信費用の削減につながるばかりではなく、出荷・検品業務の開始が早められることを意味します。


  • 発注データの受信に日々40分程度要していたが、1~2分程度に短縮できた

  • 従来に比べ、1時間半早く出荷業務に入れるようになった

  • JCA手順用の固定電話回線を縮小できた

  • 出荷までのリードタイムが伸びて余剰時間が確保できることで、ピッキングにかかる作業を平準化できた


<取引先別対応負荷の軽減>
メッセージの標準化(統一)により小売店ごとの個別仕様は少なくなるため、卸・メーカーにおけるシステム改修コストは削減できます。また流通BMSという共通仕様に基づくため、新規小売店の追加の際も最小限の仕様確認を行うだけで済み、対応期間が早まる効果も現れています。小売店は、導入にあたっての前提事項をまとめた「流通BMS協定シート」や、現行EDIで使用しているメッセージとの比較をまとめた「マッピングシート」などの資料も提供しており、打合せ作業を軽減する取り組みも行われています。

取引先別対応負荷の軽減





  • 小売店との間で初めて流通BMS対応した際には4ヶ月の準備期間が必要だったが、以降は1ヶ月程度で開始できている

  • 従来型EDIでは、自社システムの改修に1ヶ月ほどかかっていたが、流通BMSの場合は半月程度で対応している


<取引データ精度の向上による業務改善>
流通BMSでは発注から請求支払までの各取引段階で都度データ交換を行うことで、双方で取引情報の精度が上がります。伝票運用が前提であった従来型EDIに比べて、計上日や相殺内容の認識違いによる違算の発生も減少し、業務改善につながったという声も聞かれます。

流通BMS対応時のポイント

さて、流通BMSの概要が理解できたとしても、実際に導入には何から手をつけたら良いのか?という声をよく聞きます。次のページでは、流通BMSへの対応に必要な作業やシステムなどについてまとめました。


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