シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第10回)産業用偏光カメラ その2コラム
公開日:2019年7月30日
偏光カメラでの撮像事例「透明ワーク」
透明ワークに対しては、特に凹凸や歪など表面状態についての可視化要望が多くみられます。例えば、透明ペットボトルの底の撮像事例では、通常撮像(グレースケール)でも陰があり凹凸変化を再現しているようにも感じられますが、表面の反射と屈折率の関係で一定方向の変化については再現されていません。一方ADOLP画像(コラム第9回「偏光技術の進化」参照)では、変形部と変形の方向性が可視化できています(図1)
続いて、透明ワークの僅かな歪を可視化する例です。メガネの留め金の締め付けによるレンズ歪を可視化する例ですが、通常撮像では何も映っていません。
偏光撮像では、AOPで歪の変形部が抽出されおり、ADOLPでは歪の変形部とその方向性が可視化されています(図2)。
偏光カメラでの撮像事例「刻印ワーク」
偏光カメラでの撮像事例「黒色ワーク」
今回のまとめ
前回と今回の2回にわたり、最新の偏光カメラ技術と撮像事例についてご紹介してきました。繰り返しになりますが、マシンビジョンシステムでは可視化は命です。可視化ができれば、その後の処理は簡易なものですみます。困難なワークでお悩みの方は、一度偏光カメラで撮像してみてはいかがでしょうか。
関連するソリューション・製品
- 画像処理ソリューション
- 製造業における外観検査や異常検知、食品・ 医薬品・化粧品などにおける異物検査や成分量の測定、物流業における資材配置の点検などの課題に対して、最先端のマシンビジョンシステムを中心にソリューションを提供しています。
- 画像処理システム構築に必要な産業用カメラ、産業用パソコン、画像入力・処理ボード、ハイパースペクトルデータ処理や画像処理ライブラリ、さらにカメラと処理エンジンが一体化したAIスマートカメラなど、各種素材を取り揃えています。
- また、高い精度・高速処理が必要とされる各種検査機器、医療機器・印刷機器などに採用されたこれまでの経験を生かして、お客さまの課題やご要望をもとに最適な画像処理ソリューションをご提供していきます。