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シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第12回):「マシンビジョンの検出精度」

シニアアプリケーションスペシャリスト 稲山

エンジニアリングソリューション事業部
シニアアプリケーションスペシャリスト
筆者 稲山 一幸

 

 

今回は、画像処理システム(マシンビジョン)導入検討の初期段階で多く寄せられる、“検出精度”についてお話しさせていただきます。

マシンビジョンの性能

まず、マシンビジョンの性能要件には、一般的なシステム開発案件と同様に、システム全体及び、機能別に“精度要件”と“速度要件”を定義します。特に導入検討では、この性能要件が導入可否に直結しますので、性能改善に対する質問が多く寄せられます。検討の流れとしては、まず、「目的のキズやムラ等の欠陥が検出できるか」、「正しく位置検出や測長計測ができるか」、「正しく文字やバーコードが認識でき、照合ができるか」など“精度”を検討し、続いて、「その処理がタクトタイム内で完了できるか」、「現在のタクト以上に速度をあげられるか」など“速度”を検討します。導入可否については、それら双方を基に、生産性の向上や人員の負荷軽減といった費用対効果を生むかで判断されます。

検出精度について

撮像分解能のイメージ(図1)

撮像分解能のイメージ(図1)

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精度は機能別に定義すると申しましたが、マシンビジョンの機能は、大別すると「検出(最小画素単位で対象を抽出する機能)」、「計測(形状をもつ対象に対し測定する機能)」、「認識(形状や模様をもつ対象を識別する機能)」の3つになります。システムの目的に応じ、機能選定と精度要件を検討しますが、初回は、検出精度を検討します。検出精度には、特に撮像分解能とコントラストが関連します。撮像分解能は、撮像視野をカメラの解像度で割ったもので、例えば、視野100mmx100mmを1000x1000画素で撮像すると0.1mmが解像度となります(図1)。

撮像分解能以上の検出イメージ、その1(図2)

撮像分解能以上の検出イメージ
その1(図2)

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実際に検出するには、真黒な非検出対象(背景)に0.1mm幅の真白な検出対象がある状態のように、分解能に加え、検出対象と背景との間にコントラスト(輝度差)が必要になります。一般的に画像の輝度は256階調(8ビット階調の場合)で表現されるため、例えば、背景が真黒0で、検出対象が真白255であれば、輝度128以上を基準に画像抽出処理を行うことで検出可能となります。つまり、背景と検出対象にコントラストがあれば、検出精度は撮像分解能で決まることになります。さらに、背景と検出対象とのコントラストが高ければ、カメラ分解能より高い検出精度を出すことができます。例えば、カメラ分解能0.1mmの環境で真黒な背景(輝度0で撮像されるもの)にカメラ分解能より小さい0.05mm幅(高さは1mmとする)の真白なもの(輝度255で撮像されるもの)を撮像する場合、撮像画像は全画素が輝度値0になるのかというと、そうではなく、面積分感光し、1画素が半分の明るさおおよそ128の輝度をもつことになります。
この場合、検出対象より低い輝度50以上などを基準とすると、カメラ分解能0.1mmの環境においても、0.05mmのものも検出可能となります(図2)。

撮像分解能以上の検出イメージその2(図3)

撮像分解能以上の検出イメージ
その2(図3)

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非検出対象と検出対象の間の差異が少しでもあれば検出できるため、理論値としては、コントラストの最大256階調分できるため、撮像分解能が0.1mmの理想的環境下において、256階調であれば、背景を0とした条件で、0以上を検出基準とすると、0.0004mm幅(高さは1mm)のものまでが検出可能となります(図3)。
実際には、撮像時の照明やレンズによる影響、撮像素子の暗電流等の検出対象と非検出対象が同等の輝度となる場合はその限りではなく、また、そもそも背景に柄をもつ場合など非検出対象が検出対象と同等の輝度で撮像されるため、撮像分解能の検出性能もでない場合もあります。その場合は、形状を要素に加えた「計測」や「認識」で判断することになります。 

今回のまとめ

マシンビジョンの性能は、システム全体と各機能別に精度と速度で決定されます。機能は、主に「検出」「計測」「認識」に大別されますが、まずは、検出精度を満たす必要があります。今回、その精度の寄与するものとして重要な“撮像分解能“と“コントラスト“について図説しました。撮像分解能は、カメラの解像度で決定されますが、コントラストに関しては、本例のように、検出したいものは真白、検出したくないものは真黒にできれば理想ですが、実際には、対象の状態に合わせた光学的な改善検討が非常に重要となります。その辺りについては、次回以降で説明したいと思います。

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