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産業用カメラの構造 [2019.01.29]
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シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第4回)
産業用カメラの構造 [2019.01.29]

シニアアプリケーションスペシャリスト 稲山

プロダクトソリューション事業部
シニアアプリケーションスペシャリスト
筆者 稲山 一幸

 

 

前回のコラムでは、エリアセンサカメラとラインセンサカメラの違いを説明いたしました。今回は、産業用カメラを選定する上で必要となる技術をもう少し掘り下げていきましょう。

撮像素子について

撮像素子「CCD」「CMOS」 比較表(図1)

撮像素子「CCD」「CMOS」
 比較表(図1)

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入射光に対して感光し像を構成する撮像素子には、CCD(Charge-Coupled Device)とCMOS(Complementary metal-oxide semiconductor)の2種類があります。CCDは、ノイズが少なく、感度と耐久性共に優れていましたが、画素転送が順次方式で、消費電力量が多く、転送の高速化が困難な構造となっています。一方、CMOS素子の画素転送はアドレス方式で、ランダムに出力ができ部分読み出しによる高速化も可能で、電源が単一であるため消費電力も抑える構造となっています(図1)。
技術としては、CCDが先行で長年主流となっていましたが、近年は、CMOSのノイズ低減、感度、耐久性の向上に加え、高速化需要が増えたことで、ほとんどの産業用カメラにはCMOSが採用されるようになっています。

カメラのカラー化

カメラのカラー化(図2)

カメラのカラー化(図2)

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カメラのカラー化については、レンズ分光式(主にRGBでは3版式)と単盤式があります。
単盤式は、R画素のGとBの輝度は計算によって算出されるなど補正処理にて構成しているため、精度という点においては、レンズ分光方式の方がよいとされますが、レンズ分光方式は200万画素を超えたあたりで、焦点結合に対する物理的構成が困難となったため、高解像度化および、筐体サイズの小型化需要にと伴い、単盤式が主流となっています(図2)。

産業用カメラの種類

産業用カメラの種類(図3)

産業用カメラの種類(図3)

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ラインセンサカメラがbr有効な構成例(図4)

ラインセンサカメラが
有効な構成例(図4)

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前回コラムでも説明したように、カメラの種類については、エリアセンサカメラとラインセンサカメラがあります。(図3)

 

 

 

エリアセンサカメラは、2次元、ラインセンサカメラは1次元の構造となっており、主に撮像対象により選定が必要となります。
ラインカメラは、エリアカメラでは撮像困難な下図に示す構成(対象ワークが移動する場合や、回転する場合など特殊な構成)に有効です(図4)。

今回のまとめ

カメラ選定では、素子はCMOS、カラー化では単盤式、撮像対象により、エリアかラインかを選定することになります。ただし、産業用カメラの販売台数の9割はエリアカメラ(第3回コラム参照)であるように、撮像対象が回転や落下対象に対しても、撮像エリアをオーバーラップ撮像することで、高価なラインセンサの代わりに安価なエリアカメラで対応させるケースも多く見られます。また、今後の産業用カメラの傾向としては、高解像度化と撮像の高速化に加え、多波長化、3D化などが進められていますので、目的用途に合わせたより最適な選定が可能となります。

 

※内容は予告なく変更になる場合があります

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