- コラム
シニアアプリケーションスペシャリストによる「技術トレンド情報」(第3回)
産業用カメラ「エリア vs ライン市場 [2018.12.26]
プロダクトソリューション事業部
シニアアプリケーションスペシャリスト
筆者 稲山 一幸
コラムの第3回目は、画像処理システムの4つの構成要素の一つ「撮像部(産業用カメラ)」について解説したいと思います。産業用カメラは、主に2次元素子で構成されるエリアセンサ(エリアスキャン)カメラと1次元素子で構成されるラインセンサ(または、ラインスキャン)カメラに分類されます。
産業用カメラの主な種類
エリアカメラは、人の視野同様に面で撮像できるため、取り扱いやすく、様々な用途で使用されています。一方のラインセンサは、エリアカメラでは困難な、シート状搬送物、円や円筒形回転物など移動体の撮像に適しています。ラインセンサ領域では、その他コピー機のスキャナ部分を産業用カメラ化した「コンタクトイメージセンサ」が省スペースに取り付けができるとして注目が集められています。また、3次元情報(深度情報)の撮像が可能な「3Dビジョンセンサ」も精度向上が図られ、2Dと3Dの組み合わせによる総合予兆保全など活用の幅に広がりを見せています。
産業用カメラ 「エリア vs ライン」 市場規模
市場規模としては、「エリアカメラ」3:「ラインカメラ」1の割合です。
伸び率もエリアカメラの方が高く、2016年から2020年の伸び率予測値は155%となっています。しかし、ラインカメラが縮小しているわけではなく、専門的な活用領域では、堅調な伸びを示しており、2020年には145%の伸び率予測となっています。また、両分野ともに、高解像度、高速化、多波長、汎用IF化、対環境性向上が進んでいます。
産業用カメラ 「エリア vs ライン」 販売台数
次に販売台数を見ていきましょう。「ラインカメラ」に比べ「エリアカメラ」が圧倒的に多く、市場の9割を占めています。しかも、2016年からの伸び率をみますと、177%上昇で170万台と予測されています。ほとんどのマシンビジョンシステムは、エリアカメラで開発されていると言えます。
今回のまとめ
今回は、画像処理システムの構成要素の一つ撮像部(産業用カメラ)について触れました。販売台数を見ての通り、ほとんどのマシンビジョンはエリアカメラで構築されており、ラインセンサは、シート状搬送物や円、円筒形回転物などを撮像する場合に限ります。また、コンタクトイメージセンサや3Dビジョンセンサなど特殊用途向けの撮像デバイスにも注目が集められています。次回は、産業用カメラの構造についてお話をさせていただこうと思います。本コラムは、今後もシステム開発者・導入者向けに、最新の技術トレンドについてご紹介して参りますので、システム構成の一案ないしは、素材選定時の一案としてご参考いただければ幸いです。
※内容は予告なく変更になる場合があります
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