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単なるシステムのリプレイスではなく将来を見据えた拡張性と可用性を併せ持つ仮想環境基盤を構築!導入事例

学校法人 京都女子学園 京都女子大学様のケース

京都女子大学正門外観

「京女」の略称で親しまれ、2011年には女子大学で初となる法学部の設置など、広く耳目を集めている京都女子大学。女性の地位向上と活動の場の拡充を求め、優れた人材を多数育成してきた歴史と伝統を継承しながら、さらなる発展に向けて新しい学びを実践している。
少人数教育を重視し、全学部で1 回生から教員と学生が近い距離で対話し学びを深めているのも、その好例だ。そういったきめ細かい教育は、大学全体で展開する外国語教育、情報教育、キャリア開発教育などでも実践され、女性の進路選択や就職活動に精通した専門スタッフによるサポート体制も充実するなど、実社会で活躍できる人材の養成に余念がない。そんな同校は、他校に先駆け教育現場へのICT 活用を積極的に推進。今回、2006 年に導入し9 年間使用した基幹システムを担うサーバ群の大規模な刷新に乗り出した。

  • 多様なワークスタイルへの対応
  • 事務生産性向上
  • パフォーマンス・可用性向上

お客さまが実現できたこと

  • 喫緊の課題解決はもちろん将来を見据えた拡張性と可用性を併せ持つ仮想化で情報基盤を再構築!
  • 将来的にBCP 対策を施すことが可能な基盤構成を実現!
  • 学生のマルチデバイス環境対応、統合データベース、eポートフォリオ等、将来的に様々なシステムの受け皿に!

お客さまのご要望

  • オンプレミスで導入運用するサーバ群が10年近く経過。周辺のネットワーク機器類も老朽化が進み更新が必須。
  • ハードウェアに関してはメーカー保守も終了。日常の運用負荷に加え障害発生時のリスクを取り除きたい。
  • 単純なハードウェアやシステムの更新ではなく、将来的に継続していく教育の品質向上に寄与するものにしたい。

老朽化による運用リスクを早急に取り除きたい

導入前の課題と背景

京都女子大学が情報基盤のサーバ仮想化に臨んだ経緯をお願いします。

学校法人 京都女子大学
ネットワーク管理責任者
e ラーニング推進センター長
教授 博士(工学)
宮下 健輔氏

「moodleやvThriiなど気になる製品が多いのは魅力」
「OSS を引っ張ってきて自分たちで作るという行為が好き。そんな学究畑のユーザが喜びそうな自社製品やソリューションを提案してくれるので、毎回盛りあがりながらプロジェクトを進めていけました。細かいことですが、意外に本質的なCITSの実力を知れる一端かもしれませんね」
ネットワーク管理責任者<br /> e ラーニング推進センター長<br /> 教授 博士(工学)<br /> 宮下 健輔氏

「従来から少人数のスタッフ体制のもと、オンプレミスで情報基盤の構築・運用に臨んできました。そんな中、私たちなりに業務の効率化や低コスト化も図ってきました。2006 年に導入した基幹システムのサーバ群(38 台)は、うち30数台がApple製のXserve で、導入当時は革新的な取り組みとして注目されました。しかし、導入から約9 年間が経過しており、いろいろな面で限界に近づいていました。特にMac OS X のバージョンアップに伴い、2011年にはメーカーでも生産中止・サポート終了となりました。

それからは中古のXserveを調達し、筐体から電源やメモリなどを抜き出して交換するなど、薄氷を踏む思いで運用を継続していました。それだけに、万一すぐに対応・復旧ができないようなトラブルをサーバが抱えた場合、絶対に止めてはならない学内サービスが停止する事態を招く、非常に大きなリスクを抱えていたわけです。このリスク回避が、なによりの課題でした」(宮下氏)

ハードウェアに縛られないサーバ仮想化を選択

導入の必然性

課題解決に向け、どのような取り組みが行われたのでしょうか。

学校法人 京都女子大学
ネットワーク運用責任者
准教授 博士(工学)
中山 貴夫氏

「総合SIer としての実力を実感しました」
「今だから笑って話せますが、旧システムのアプライアンスが飛んだ時は、私たち運用サイド全員が頭を抱える始末。そんな時も、慌てず騒がずしっかり受け止めてくれ、最短時間で復旧してもらえたのには、感謝しかありません。総合SIer の底力を実感しましたね」

「どれほど時代の先端を行くシステムやハードウェアを導入しても、やはり時間が経てば陳腐化は免れません。それだけに、保守期限のあるハードウェアを極力減らしたいと痛感しました。そんな中で解決策として検討したのがサーバの仮想化、2012年のことです」(中山氏)

「2012 年当時、サーバの仮想化と言えばCISCOのUCSとVMWareの組み合わせソリューションが非常に評価されているという印象を受けていました。そこで、情報収集もかねて前基幹システムXserve の構築を担当したキヤノンIT ソリューションズに相談しました。するとキヤノンIT ソリューションズでも仮想化を手掛けているということを知ったのです」(宮下氏)

「実はその頃、“キヤノンと言えばMac”というイメージが強かっただけに、正直なところ仮想化の構築まで行っていることは知らなかったですね」(中山氏)

とはいえMac導入ではない今回は、いかがでしたか。

「Macに精通しているからこそ、マイグレーションもお手の物だろうと想像したのもひとつです。ただ、当時はまだ私たちにとって未知数の部分が多かったのは事実です。Macに強いという個性が強すぎた分、逆にWindows系のスキルや技術をどの程度持っているのかや、仮想化の実績はあるのかなど、運用現場ではいろいろと不安視する声があったことのも正直なところでした」(宮下氏)

「そこで、一気に仮想化するのではなく、段階的に切り分けて情報基盤の刷新に着手することにしました。もちろん予算的な兼ね合いもありましたし、都度、パートナーを見直すこともできます。そうして1 段階目となる情報基盤の中核・メールサーバ/認証サーバシステムのリプレイスのRFP を開示。そこに寄せられたキヤノンIT ソリューションズの提案内容を見て、心配が杞憂だったことを気付かされました」(中山氏)

「こうして1 段階目のメールと認証のサーバシステムの刷新をお願いすることにしたのが2013 年のこと。聞けば、関西地区では初めてのプライム案件だそうで、ある意味、それは私たちにとっても光栄なことでしたね(笑)」(宮下氏)

段階的な刷新が功を奏すことに!

運用の工夫

実際に仕事をしてみた印象はいかがでしたか。

「MacやWindows、LinuxのOS 混在環境からOSSのCentOS への移行は大丈夫かとか、せっかくだからライブマイグレーションの機能は外せないよねとか、ゆくゆくはBCP 対応も踏まえ複数拠点での運用体制を構築したいだとか、私たちの要望をどんどん投げてみました。正直、無理ですと断られたり、できますけど費用がかかりますよと釘を刺されると思っていました。しかし、営業と技術者陣の連携が取れていて、できない理由ではなく、どうすれば実現できるかという観点で納得できる回答をいただけました。一緒に仕事をしていて非常に楽しかったですね」(中山氏)

「メールと認証のサーバ仮想化を無事に果たし、次は30数台のXserveを含む学内38 台の大規模仮想化に臨むことになりました。その際も、こまめに学内状況の把握や将来展開の要求をヒヤリングし、ロードマップ化してわかりやすく可視化してもらえました。私たちの要件も定義してくれ、2 回にわけた仮想化の提案をいただきました。この2 段階目となるVPN 関連の15 台のサーバ移行計画の実施も2015 年にお任せしました」(宮下氏)

「実はこの2 段階目の移行中に、旧システムのアプライアンスが故障し、スタッフ一同青ざめる大ハプニングがありました。新システムとはまったく関係のない障害でしたが、私たちの窮状を見て即座に動き、スケジュール調整をしながら仮想化したシステムを一部先行して稼働させるなど柔軟に対応していただきました。この辺りは場数を踏んだSIer の実力を見せつけられた思いです」(中山氏)

新たな頼れるパートナーを得たと実感

取り組みの成果

2 段階目を経て仮想化の成果はいかがでしょう。

「まだ全体の約半分程しか仮想化できていません。実質効果の恩恵を受けるのはこれからでしょうね。ただ、残りの仮想化や将来展開に大きな希望を持てたのは事実です。たとえば、外部のデータセンターをレンタルするとか、アセットとして持つ小規模なUCSサーバを別のキャンパスに据え付けるなどして、クラウド越しに死活監視できる体制も構築できそうです。災害時など何か大きなトラブルに遭遇しても、すぐ自動で切り替わる仕組みは早急に確立したいですね」(中山氏)

「キヤノンIT ソリューションズのSE 陣とは、とても話が合いました。細かく説明しなくても、システムの現況を話すだけで、“ということは、こんなところで困っているんじゃないですか”と的確にアドバイスしてくれる。大学の中の業務に関する知見やノウハウをしっかり持つエンジニアが多く、相談のし甲斐がありました。頼りになるパートナーが一つ増えた感覚です」(宮下氏)

多様性ある情報基盤へ昇華させ学生貢献

将来の展望

最後に今後の課題や展望についてお聞かせください。

「学生のマルチデバイス環境への対応、統合データベース、e ポートフォリオ導入など、将来的に多様性ある情報基盤へ発展させるのが最終目標です。その点について相談した際にも、in Campus Series という独自開発のソリューションを提案いただきました。自社ブランド製品を持っているということは、実はその時はじめて知りました。今後は総合SIer としてのキヤノンIT ソリューションズの認知度が上がることで、関西や西日本でもさらに多くの実績を築いていけるだけのポテンシャルが充分にあるのではないかと思います。同時に私たちも京都女子大学の認知度アップに努め、社会から“京女ここにあり”と認められる大学を目指します。お互い今回のプロジェクトが、その起爆剤になれればいいですね」(情報システムセンター 課長 瀬尾 浩氏)

システム概念図

システム概念

目の前の課題解決をはじめ、将来を見据えた拡張性と可用性も仮想化で実現

旧情報基盤に紐付く合計38台分の物理サーバを、仮想化技術の活用により、6 台の物理サーバに集約しました。これにより、ハードウェア設置スペースといった物理環境の縮小、それに伴う運用コストの削減、ト ラブル発生時にサービス停止を伴わない高可用性など、様々なメリットが得られます。

関西初のプライム案件として引き続き京都女子大学の仮想化を支援!

第3 段階で残り23台のサーバを移行。情報基盤全体の仮想化が実現すると同時に、その上へ統合データベースやe ポートフォリオを載せていく計画があります。そのフェーズでもしっかりお手伝いを果たし、自社製品のin Campus Series などのご提案も含め、トータルソリューションの提供による貢献を志します。

学校法人京都女子学園 京都女子大学様プロフィール

創設
1949年
所在地
京都市東山区今熊野北日吉町3
学生数
6345 名(2015年5月現在)
「親鸞聖人の体せられた仏教精神にもとづく人間教育」を建学の精神に2016 年に創始117 年をむかえた学校法人京都女子学園。この京都女子学園を母体に「知性と情操を高め、人間としての自覚を深めるとともに、すべてのいのちを平等に愛する豊かな心を培うことによって、真の人間を育成する」の教育理念を掲げるのが京都女子大学。その長い女子教育の歴史を礎に、1949 年に創設された。文学部、家政学部、現代社会学部、発達教育学部、法学部を設置。歴史と伝統を大切に育みながら、時代の要請に応えるべく、新たな挑戦を続けている。
  • 本記事の内容は、取材時点のものです。

ご採用いただいた製品・ソリューション

文教
大きく社会が変化する中、大学をはじめとする教育機関においても、学習環境や学習スタイルに大きな変化が求められています。少子化が進む中、子供たちがよりよい社会を育めるように資質や能力を養うことができるように、私たちは、ICTサービスを通じて質の高い教育環境の実現に貢献していきます。私たちは、数多くの教育機関に対し研究・教育・学生サービスのためのソリューションを提供し、お客さまと共に真の価値向上を共創しています。
長年文教市場に特化した営業とSEが、貴学に最適なクラウド移行を支援します。またコロナ禍で急務となっている遠隔授業環境を、当社独自開発による教育支援情報プラットフォーム「in Campus シリーズ」で実現いたします。
教育支援情報プラットフォーム
「in Campus(インキャンパス) 」は、キヤノンITソリューションズが、これまで文教市場で培ったIT基盤システムの開発・構築・運用の技術ノウハウや豊富な実績をもとに、独自開発した教育支援情報プラットフォームです。
学内情報発信の窓口となる「ポータル」と、授業シーンで利用される「LMS(学習管理システム)」を中心に、大学教育で必要とされる主要な機能を装備しています。
サーバインフラ構築サービス
長年文教市場で培ってきたノウハウを活かし、Windows/Linux/UNIX/macOSなど様々なOS、オープンソースソフトウェアを利用したサーバインフラ環境をサポートします。また、お客さま環境で古くなってしまい管理者不在のシステムなども、設定内容を調査し新環境への移行を行います。

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