EDI2024問題は終わっていない?2028年のINSネット終了と企業が取るべき対応コラム:EDI資料室
公開日:2026年10月22日
2024年のINSネットの「ディジタル通信モード」が段階的に終了したことで、「EDI2024問題」はひと区切りを迎えたと考えている企業も多いのではないでしょうか。実際、主要な取引先との接続はすでに移行済みで、「当面は問題なく動いている」と感じている企業もあるかもしれません。
しかし、補完策によって暫定的に継続しているEDI環境は、2028年末に大きな節目を迎えます。本記事では、2028年を見据えたEDI環境の変化と、今から検討すべき対応について整理します。
本記事が参考となる企業
次のような場合は、INSネット終了の影響を受ける可能性があります。
- JCA手順や全銀手順を利用している
- EDI2024問題対応時に補完策を利用した
- 現在利用しているEDI接続方式を十分に把握できていない
- 一部の取引先で従来型EDIを継続している
- バックアップ回線としてINSネットを利用している
「EDI2024問題」は本当に終わったのか
EDI2024問題は、ISDN回線を利用した従来型EDIの見直しが必要になる問題として、多くの企業で対応が進められてきました。2024年1月にINSネットの「ディジタル通信モード」が段階的に終了したことで、「対応は完了した」と感じている企業もあるかもしれません。
しかし、すべてのEDI環境が完全に移行済みとは限りません。移行が間に合わない利用者向けには、「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」が提供されており、2024年以降も一部の企業では従来の仕組みを暫定的に継続できている可能性があります。
補完策は恒久的なサービスではなく、従来のディジタル通信モードと同じ品質で利用できるものでもありません。伝送遅延や処理時間の増大などが発生する場合があると案内されています。
つまり、2024年を乗り越えた企業であっても、補完策を利用している場合は、2028年末に向けた移行対応がまだ残っている可能性があります。
2028年に何が起きるのか

2028年の大きなポイントは、INSネットそのもののサービス提供終了です。
NTT東日本・NTT西日本は、「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」について、2024年8月31日に新規申込受付を終了し、2028年12月31日にサービス提供を終了すると発表しました。対象サービスには、2024年1月から提供されている「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」も含まれています。
2028年12月31日は、通話サービスだけでなく、補完策によって暫定的に継続してきたデータ通信も終了するタイミングです。現在、補完策を利用してEDIを継続している場合、同じ形での運用は2028年末以降継続できなくなります。
EDIは、受発注、出荷、請求、支払など、企業間取引の基幹業務に直結します。回線や通信方式の変更であっても、取引先との調整やテストを含めると、想定以上に時間がかかるケースがあります。2028年を「まだ先」と見るのではなく、今から移行計画を具体化しておくことが重要です。
影響を受ける企業・受けにくい企業の違い
2028年の影響を受けやすいのは、INSネット(補完策)を利用して、JCA手順、全銀手順、全銀TCP/IP手順など従来型EDIの接続を継続している企業です。
特に、長年運用しているEDI接続や、低頻度の取引、バックアップ用途の回線は見落とされやすいため注意が必要です。主要な取引は移行済みであっても、一部の取引先だけ旧方式が残っているケースもあります。
一方、すでにインターネットEDIやクラウドEDIへ移行済みで、旧回線が残っていない企業は、INSネット終了による直接的な影響は受けにくいと考えられます。
確認すべきポイントは、次の3つです。
- どの取引先・業務で旧方式が残っているか
- 通信手順だけでなく、データ変換や運用の見直しも必要か
- EDI以外の業務でINSネットを利用していないか
なお、EDIの棚卸しを進める過程で、EDI以外の業務や機器におけるINSネットの利用が見つかる場合もあります。2028年対応では、EDI単体ではなく、社内の通信インフラ全体を確認する視点も重要です。
インターネットEDIへの移行が進む背景
2028年を見据えた対応として、インターネットEDIへの移行は引き続き有力な選択肢です。
ただし、移行にあたっては「通信手段をインターネットに変えれば終わり」とは限りません。取引先ごとの通信手順、データ形式、送受信タイミング、証明書管理、障害時の再送手順など、運用面まで含めて整理する必要があります。
移行先としては、インターネットEDIのほか、ブラウザーを利用するWeb-EDIを採用するケースもあります。ただし、Web-EDIを採用する場合には注意が必要です。取引先ごとに異なるWeb画面を利用する形になると、現場担当者が複数の画面にログインし、ファイルのダウンロードやアップロードを繰り返すことになり、かえって業務負荷が増える場合があります。
このような背景から、近年はクラウド型EDIを活用し、通信、変換、運用監視、証明書管理などを含めて見直す動きが進んでいます。2028年対応は、単なる回線変更ではなく、EDI基盤全体を見直す機会として捉えることが重要です。
まず確認したい、2028年対応のチェックポイント
2028年対応に向けて、まずは次のような点を確認しておくとよいでしょう。
-
✓INSネットを利用しているEDI接続が残っている可能性がある
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✓JCA手順、全銀手順などの従来型EDIが残っている
-
✓低頻度の取引先やバックアップ用途の回線を十分に確認できていない
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✓取引先ごとの移行方針や指定プロトコルを把握できていない
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✓証明書更新、再送、障害時連絡などの運用手順が明確になっていない
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✓今後の運用負荷を踏まえた、オンプレミス継続・クラウド移行の方針が整理できていない
チェックが
-
3個以上→2028年対応に向けて、継続や運用の見直しが必要な可能性があります。
早めに現行EDI環境の棚卸しと移行方式の検討を進めましょう。 -
1~2個→一部に確認不足や見直しポイントが残っている可能性があります。
優先度が高い項目を中心に、早めに確認しておきましょう。 -
0個→現時点で大きな懸念は少ないと考えられます。
ただし、取引先方針や業界動向の変化に備え、定期的な確認をおすすめします。
2028年対応を具体化するための実行ステップ
まず進めるべきは、現行EDI環境の棚卸しです。取引先、対象業務、通信手順、回線種別、利用サーバー、データ変換、運用担当、保守ベンダーを一覧化します。
長年稼働しているEDIでは、設定内容や障害時対応が属人化しているケースもあるため、担当者の記憶に頼らず、構成情報として整理しておくことが重要です。
次に、移行方式を検討します。通信手順だけを変更すればよい接続もあれば、データ形式や基幹システム連携まで見直したほうがよい接続もあります。また、Web-EDI化で十分な取引と、システム間連携を維持すべき取引を分けて考えることも必要です。
インターネットEDIへの移行を契機に、通信基盤だけでなく運用方法を見直す企業も少なくありません。特に、サーバー運用や証明書管理、監視業務の負荷軽減を目的として、クラウド型EDIを採用するケースが増えています。キヤノンITソリューションズでは、クラウド型の「EDI-Master Cloud」とオンプレミス型の「EDI-Master」の両面から、取引規模や運用要件に応じたEDI環境の見直しを支援しています。
最後に、テストと運用設計です。通信がつながるかどうかだけでなく、文字コード、ファイル名、送受信タイミング、異常終了時の再送、証明書更新、取引先への連絡手順まで確認しておく必要があります。
まとめ
2028年対応で重要なのは、旧回線を新しい回線に置き換えることだけではありません。取引先との接続方式、データ変換、基幹システム連携、証明書管理、障害時対応、運用体制まで含めて見直すことです。
「どの接続が残っているかわからない」「Web-EDI化で現場負荷が増えそう」「クラウドEDIに移行すべきか判断したい」といった課題がある場合は、早めに現状を可視化し、移行計画を立てることが重要です。
キヤノンITソリューションズでは、EDIシステムの設計・構築・運用支援まで幅広く提供しています。2028年を見据えたEDI環境の棚卸しや移行方式の検討にお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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