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決済関連事務の6割削減も!?「ZEDI」稼働開始で見えてきた“経理の”働き方改革

一括ファイル伝送の総合振込を利用する企業では、月末など月に1度の銀行振込処理に関連し、支払明細消込作業(受取企業)や問い合わせ対応(支払企業)などで、長年膨大な経理業務が発生していました。
しかしながら、デジタル化による業務効率改善の流れから取り残されたこの業務領域にもようやく改善の動きが…。金融高度化に向け、官民連携で準備が進められてきた「ZEDI(ゼディ、Zengin EDI systemの略)」が稼働開始(2018年12月を予定)されます。今回は、ZEDIがこれまでの仕組みとどこが違うのか?、ZEDIによって企業はどのようなメリットが得られるのか?などについて解説します。

従来の固定長電文の課題

現時点の総合振込において、企業と金融機関の間で取り交わされる「振込依頼」や「入金通知」に用いる電文は、全120桁の固定長形式となっています。このうち、EDI情報欄はわずか20桁にすぎず、支払通知番号や請求書番号、日付など、支払明細消込に必要な情報を格納することができません。
このため、入金通知を受けた受取企業で売掛金合計額と入金額が合わない!となると、請求書控えを引っ張り出して差額原因を探る(どの請求が落ちているのか)など、極めて非生産的な作業を強いられます。それでも原因が特定できない場合、最終的に支払企業に問い合わせて確認する必要があります。これを受けて、今度は支払企業が確認作業などの対応に追われることになります。
こうした決済関連事務に要する時間は、某大手小売業のケースで年間1万5000時間超に達するとの試算もあり、日本経済全体への悪影響が指摘されていました。

ZEDIによる総合振込の仕組み(概要)

XML電文で自動消込も可能に

総合振込に関するこうした課題を解決するのが、前述のZEDIです。関連省庁や全国銀行協会など官民を挙げて推進してきたZEDIでは、金融業務の通信メッセージに関する国際標準ISO20022でも採用されている「XML(Extensible Markup Language)電文」を新たに採用。電文の長さやデータの意味付け・関係性などを柔軟に設計・変更でき、固定長電文で20桁に制限されていたEDI情報欄が大幅に拡張されました。支払企業がここに商流に関する様々な情報を設定・登録することで、受取企業はこの情報を基に効率的な消込作業ができるようになります。(会計ソフトなどに売掛自動消込機能を実装できれば、消込作業を自動化して大幅に時間短縮することも可能)
某大手小売業(グループ)における実証実験では、決済関連事務(入金消込/入金処理)に要する時間が年間1万5250時間から約6000時間へと、実に61%も削減できたことが報告されています。

受取企業/支援企業の双方で"働き方改革"が可能に

ZEDIの仕組み(概要)

ZEDIは、企業間の国内送金指図について、固定長電文から、XML電文に移行するためのプラットフォームです。2018年以降、ZEDIを用いた総合振込サービスは下図で示すとおり、従来の全銀システム(固定長電文・全銀TCP/IP手順)と連携する形で提供されます。
ファームバンキング契約をしている支払企業がXML電文(EDI情報付記済)の送金指図をシステムに送る(➀)と、新システムでは、これを固定長電文に変換して契約金融機関(仕向銀行)に伝送(②)。固定長電文のまま全銀システムを介して受取企業が契約する金融機関(被仕向銀行)へ伝送され(③)、再び新システムに戻り(④)、ここで、今度はXML電文に変換されます。この時点で受取企業は、新システムにアクセスすることで、EDI情報が付記されたXML電文(入金通知)を受け取ることができる(⑤)…という仕組みです。

ZEDIによる総合振込の仕組み(概要)

ZEDI(XML電文へ移行)に関する注意点

ここまで、現在の決済関連事務に関する(固定長電文による)課題と、ZEDI(XML電文を採用)による改善について解説してきましたが、すべての企業がその恩恵を受けられる…という訳ではありません。そもそもZEDIは、2018年12月の稼働開始を予定していますが、付記されるEDI情報の標準フォーマットは各業界に委ねられており、本格運用開始はその確立を待つことになります。現在、銀行を含む産業界と経済産業省が中心となり、決済関連事務の合理化に必要な「金融EDIに記載する商流情報の標準化」に向けて、業界横断的に検討が進められています。このほかZEDI導入で経理業務の効率化を目指す上でのポイント(注意点)を次にまとめておくので参考にしてください。

【Point.1】XML電文への移行対象は総合振込のみ

  • XML電文に移行するのは総合振込(ファームバンキング(一括ファイル伝送)とインターネットバンキング)のみ
  • 給与振込、賞与振込、預金口座振替などは対象外

【Point.2】ZEDIに対応した金融機関サービス契約が必要

  • ZEDIに対応したファームバンキング/インターネットバンキングサービスを提供する金融機関との契約が必要
  • 支払企業/受取企業ともにXML電文に対応している場合に限り、EDI情報が付記されたXML電文の入金通知を受け取ることができる

【Point.3】外部接続システムの更新など準備が必要

  • ZEDIにおけるXMLファイル伝送仕様は、全銀TCP/IP手順ではなく、流通BMSでも利用されているJX手順となる
  • 伝送仕様のほかデータフォーマットも変更となるため、XML電文送受信のための回線準備や通信ソフトウェアの入れ替え・設定変更など、既存システムの変更が必要

【Point.4】会計システムなどのZEDI電文対応が必要

  • EDI情報を追記したZEDI向けの電文を利用(作成・取込)するために会計ソフトなどのバージョンアップやリプレイスが必要
  • Webブラウザ上で簡易に、EDI情報を追記したXML形式の総合振込ファイルを作成できる機能(無料)の利用も可能(作成したXMLファイルをインターネットバンキングにアップロードして総合振込ができる)

【Point.5】さらなる業務効率化の可能性も

  • 会計システムなどにEDI情報を活用した売掛金自動消込機能を実装すれば、消込作業の大幅な時間短縮も可能に
  • 現在、ZEDIで提供される振込入金通知や入出金取引明細のデータを、電子領収書として取り扱うことが検討されており、さらなる経理業務効率化の可能性も(導入時期は未定)

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消込作業の自動化もそうですが、ZEDIで実現するEDI情報活用のメリットは、決済の上流工程にあたる企業間取引(受発注や請求などの処理)の電子化やIT対応によって最大化が可能になります。トータルEDIソリューションベンダとして、稼働開始に向けたZEDIの実証実験に参加するキヤノンITソリューションズでは、蓄積したノウハウをベースに、企業が求める関連サービスを商品化してご提供。企業のZEDI対応をエンド・ツー・エンドでサポートします。

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