AI・機械学習は本当に使える?!業務効率化のヒントコラム


公開日:2025年5月13日
昨今、AIは“生成AI”の登場を皮切りに、飛躍的な進化を遂げています。日常生活やビジネスシーンにおいても、とても身近なものになりましたね。
このコラムをお読みいただいている皆様も、「AIを上手く活用して業務効率化したい」、「人手不足を解消したい」と考えていらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、本コラムでは、AIの中でも「機械学習」を取り上げ、企業活動における有用性をご紹介します。
機械学習とは?
機械学習(Machine Learning)は、AI(Artificial Intelligence, 人工知能)に“知能”を与える仕組みの一種です。
AIは、人間のように知的な行動を模倣するシステムや技術の総称ですが、機械学習はその中でも、機械(コンピューター)自身がデータから学習し、予測や意思決定を行う技術を意味します。人間が明示的にプログラムしなくても、データを分析してパターンを見つけることができるのです。
機械学習の基本的な流れ
機械学習は、まず「データ収集」をする必要があります。実際の運用環境に導入されるまで、機械学習には、次のような流れがあります。
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基礎分析
プロジェクトの最初のステップとして重要になるのが、明確な目的を設定すること。例えば、売上予測、顧客の行動分析、画像認識など、具体的な目標を定め、データ収集やモデル選択の方向性を明確にする。
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データ前処理
モデルの「学習」に必要なデータを集める。データは、テキスト、画像、数値など様々な形式がある。
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モデルの選択
データ収集後、データの概要を把握するための基礎分析を行う。データの分布、相関関係、欠損値の有無などを確認し、データの質を評価し、データ前処理の方針を決める。
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モデルの学習
収集したデータをクリーンアップ(欠損値の補完、ノイズ除去など)する。データを整理し、分析に適した形式に変換する。
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モデルの評価
学習に適した、機会学習のモデル(アルゴリズム)を選ぶ。代表的なものに、線形回帰、決定木、ニューラルネットワークなどがある。
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モデルの改善
前処理したデータを使ってモデルを学習する。モデルが、データのパターンを学ぶ。
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データ収集
学習したモデルの性能を評価する。新しいデータ(テストデータ)を使って、モデルの予測精度や誤差を測定する。
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目的の設定
モデルの性能を向上させるために、ハイパーパラメータ(設定値)の調整や特徴量(属性や変数)の選択などを行う。
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モデルのデプロイ
学習させたモデルを実際の運用環境に展開し、リアルタイムでデータを処理、予測や分類を行う。
機械学習の種類
機械学習には、次のような種類があります。
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教師あり学習
入力したデータに対して教師データ(正解データ)のペアを与えて、モデルを学習(トレーニング)させる手法。
例)お客様からの問い合わせ内容が「購入希望か」か「購入希望ではないものか」を分類する -
教師なし学習
入力したデータに対して教師データ(正解データ)のペアを与えず、データ自体のもつパターンや構造をモデルが自ら発見することで学習する手法。
例)購買行動に基づいて、似た特徴/同じような傾向をもつ顧客をグループ分けする(クラスタリングする) -
強化学習
コンピューターに「報酬」という特定の目標を設定し、その目標を達成/最大化するための最適な「行動」を学習させる手法。
例)カスタマーサポートのチャットボットで、過去のやり取りを学習し、顧客対応の質を向上させる
機械学習の応用例
機械学習の応用例には、次のようなものがあります。
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音声認識
写真の中の物体を認識する。 例)顔認識
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画像認識
音声をテキストに変換する。 例)音声アシスタント
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自然言語処理
テキストデータを理解し、生成する。 例)チャットボット
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予測分析
将来の売上や需要を予測する。 例)在庫管理
機械学習は、私たちの日常生活やビジネスシーンにおいて、様々な場面で活用されています。
企業活動/ビジネスシーンにおける機械学習の有用性
企業活動/ビジネスシーンにおいては、機械学習は次のように活用されています。
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予測分析と意思決定の精度向上
過去のデータを基に、将来の需要予測や売上予測、在庫管理などを行う。予測精度が向上することで、リソース配分や経営判断の質を高めることも可能。
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カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上
顧客の行動パターンを分析し、顧客に個別最適化された体験を提供。
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不正検知とリスク管理
(主に金融機関やECサイトにおいて)不正な取引や詐欺行為を迅速に検出、リスク管理を徹底・強化。
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製品開発の促進
消費者のフィードバックや市場のトレンドを分析、新製品開発やサービス改善に役立てる。顧客ニーズにあった製品を迅速に開発。
企業活動において機械学習を活用する際の主な課題
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データの質と量
機械学習においてモデルを学習(トレーニング)させるためのデータが不足している/偏りがある場合が多い。データの質と量が十分でないと、モデルの性能が低下してしまう。
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モデルの解釈性と透明性
複雑なモデル(例:ディープラーニング)は、導き出した予測や判断理由を説明することが難しい(ブラックボックス問題)。意思決定において、その透明性が懸念点になることも。
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コストとリソースの問題
機械学習に必要な高性能なコンピューティングリソースの確保、インフラの構築・維持にはコストがかかる。また、機械学習の専門家やデータサイエンティストの確保(採用・育成)も欠かせない。
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導入と運用の難しさ
機械学習モデルを、既存の業務プロセスに統合することが難しい場合も。また、モデルの精度を維持・向上させるには、定期的な更新や再トレーニングが必要。
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担当者の精神的な抵抗感/負担感
現行でも業務は回っているため、わざわざ新しい技術(=機械学習)を取り入れる必然性があるのか分からない。結果が出来るまでモチベーションを維持することが難しい。
機械学習を活用して「何を実現したいのか」を明確にし、テーマを絞り込むことが重要です。
【参考】
・ディープラーニングの得意領域
・『GUGA公認 生成AIパスポート テキスト&問題集』一般社団法人 生成AI活用普及協会(GUGA)監修
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