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明治大学様

3万人超のユーザーを抱える全学レベルでの教育支援情報システムを「Moodle」や「Gateln」をはじめとするOSSによって全面刷新

  • 多様なワークスタイルへの対応
  • 事務生産性向上
  • パフォーマンス・可用性向上
明治大学

旧システムで抱えていたさまざまな課題と、急速に普及が進むスマートフォンやタブレット対応、またグローバル化における多言語対応、従来の情報提示型から学生と先生、そして職員などを含む大学の構成員同士のインタラクティブな活動の場として利用できるよう「Oh-o! Meijiシステム」をOSSによって全面刷新を図った。

導入ソリューション
導入製品

お客様データ

明治大学
創立:1881年
所在地:東京都千代田区神田駿河台1-1
学生数:32583名(2012年5月1日現在)

1881年1月、近代国家としての自立が急務とされる中、まだ30歳たらずの青年法律家であった岸本辰雄、宮城浩蔵、矢代操によって明治法律学校として創立される。『権利自由』『独立自治』を建学の基本理念に、「質実剛健」「新しい知の創造」「時代の要請」に応える人材の育成に努め、すでに50万人を超える卒業生を社会に送り出してきた有数の私立大学。近年は建学の精神をもとに『「個」を強くする大学』のスローガンを掲げ、各界の中枢で活躍する多くの卒業生も輩出。2011年には創立130周年を迎えた。

お客さまが実現できたこと

  • システム間のシームレスな連携による情報基盤の大幅な改善
  • 教員、職員、学生が情報を共有・発信する新たなポータルが機能

お客さまのご要望

  • 3万人を超えるユーザーを抱える教育支援情報システムの刷新

いち早く情報化を進めたが故の経年劣化というジレンマ

国内でも屈指の総合私立大学であり、世界に向けて大きな飛躍を遂げつつある明治大学。時代の変化に敏感な同校では、いち早く学内情報基盤の整備を推し進めるなど、情報化への取り組みの歴史も長く、さまざまな教育現場でICT活用に積極的だった。特に教育支援関連においては、2001年よりクラスウェブ(授業支援システム)、2003年より学内ポータルをそれぞれ構築し、教育支援情報システム"Oh-o! Meijiシステム"として全学レベルでの運用を進めていた。

「しかし」と、明治大学 情報メディア部 和泉メディア支援事務室の井上拓弥氏は振り返る。

「長年に渡る運用の過程で、さまざまな課題が表面化してきました。特に、小規模な改修や機能強化・追加などを繰り返してきたことで、システム全体がつぎはぎだらけに肥大化し、操作性やインターフェースの統一感が図りづらくなっていました」

さらに別の視点からの課題を指摘するのは、今回のリプレイスの開発チームリーダーである明治大学 情報メディア部 メディア事務支援室の筧 直之氏。

「旧システムはフルスクラッチで開発したものでしたが、担当ベンダーの開発したパッケージなども含めて構成されていた関係上、システムの中身が完全にブラックボックス化されていました。そのため、運用管理側の私たちだけでは簡単に手を加えることが困難で、改修ひとつするにも発注依頼の手間や工程の時間、そしてコストが必要以上にかかっていた実感がありました」

また、「利用者の環境はここ10年で大きく変化し、急速に普及が進むスマートフォンやタブレットへの対応、多言語化などは急務の課題となっていました。そしてシステムの性質も、従来の情報提示型から、学生と先生、そして職員などを含む大学の構成員同士のインタラクティブな活動の場としての発展が期待されていました。これらのことを実現するためには、旧システムのカスタマイズによるアップグレードでは困難と判断し、抜本的にシステムの再構築を行うという大学として大きな決断に至ったのです」と語るのは、筧氏の前任で開発リーダーを務めた明治大学 情報メディア部 システム企画事務室の藤澤弘美子氏。

この他にも「たとえば、3万人超の学生に緊急情報などを一斉配信しようとしても、1学部に送信するだけで1時間もかかるなど、実用に耐えられない状況でした」と明治大学 教務事務部 教務事務室の中西正平氏は、実際にシステムを運用してきた立場からの課題点を指摘する。

このように経年劣化によるさまざまな問題点や、それに伴う使い勝手の不便さなど、これらすべての問題解消を目指して"Oh-o! Meijiシステム"の全面刷新に踏み切ることになる。

「なによりも学生と教職員が感覚的に使いこなすことができる、わかりやすい情報インフラとして機能させること。それを一番の目的に置きました」(筧氏)

明治大学 情報メディア部<br />
和泉メディア支援事務室 井上 拓弥氏(左)<br />
明治大学 教務事務部 教務事務室 中西 正平氏(右)

明治大学 情報メディア部
和泉メディア支援事務室
井上 拓弥氏(左)
明治大学 教務事務部
教務事務室
中西 正平氏(右)

多岐にわたる仕様基準を総合的に満たす最適解としてOSSを選択

"Oh-o! Meijiシステム"の刷新にあたり、同校ではクラスウェブ(授業支援システム)と学内ポータルのシステム統合による機能の優位性、ユーザーと運用側、両面での操作性、GUIの統一感、ユーザー数増加やマルチデバイス、多言語化などへのスケーラビリティ、ランニングコスト、ソースコードの開示、独自性…など、旧システムでの運用で抱えていた課題をクリアする基準を細かく設け、RFP(提案依頼書)として開示。プロポーザル方式による新システムと導入パートナーの選定に動いた。

「複数のベンダーやSIerからの提案に目を通しました。しかし、ほとんどのプランが商用パッケージベースで構成されており、運用時の柔軟性や可用性に疑問を感じるものでした」(井上氏)

そんな中で、設定された基準を総合的に満たす最適解として、"Moodle"や"GateIn"をベースとするOSS(オープンソースソフトウェア)活用によるシステム統合での刷新を提案したキヤノンITソリューションズに、白羽の矢が立てられることになった。とはいえ、そこにいたるまでの選定プロセスは、それほど単純なものでない。

「学生のポータルシステムの利用率は既に100%に近く、システムは柔軟であるだけでなく、長期的に安定して維持できることも非常に重要でした。それだけに当初はOSSで刷新することに不安があったのも事実です」(藤澤氏)

「もちろん提案時に動作保障の言質は取りました。しかし、それだけでは不安を払拭しきれなかった私たちに対して、実際にOSSでの導入実績がある他校の見学までセッティングしていただきました。これは何よりも大きな安心材料になりましたね」(筧氏)

その一方で、限られた予算の中で効果的なパフォーマンスを発揮する情報システムに仕上げたかった同校にとって、OSS活用は別の側面からも大きな利点を生むこととなった。

「イニシャル、ランニング含め、コスト負担で大きな違いをだせるOSS活用による刷新案は、非常に目を引きました

明治大学 情報メディア部 システム企画事務室 藤澤 弘美子氏(左)<br />
明治大学 情報メディア部 メディア支援事務室 筧 直之氏(右)

明治大学 情報メディア部
システム企画事務室
藤澤 弘美子氏(左)
明治大学 情報メディア部
メディア支援事務室
筧 直之氏(右)

文字通りポータルとして全学的な情報コアステーションへ

"Moodle"や"GateIn"といったOSSベースで刷新された新"Oh-o! Meijiシステム"により、同校の情報基盤は大幅に改善されることになる。まず、旧システムでは連携が図られていなかったクラスウェブ(授業支援システム)と学内ポータルがシームレスに統合された。また、これまでなかったグループ機能やポートフォリオ機能などが付加され、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末にも対応するようカスタマイズされた。

そんな新"Oh-o! Meijiシステム"のポータル領域は、学内に流通する情報を統合管理し、教員や職員、学生が情報を共有・発信する新たなツールを"GateIn"ベースで開発。主な機能は、お知らせ機能、カレンダー機能、時間割/出講表機能、休講情報機能、リンク集機能、アンケート機能などだ。

「お知らせ機能が強化された点はうれしかったですね。1学部1時間おきの配信体制から全学部一斉同報が可能になり、教職員サイドではそこが一番評価されています」(中西氏)

一方、クラスウェブ(授業支援システム)領域は、"Moodle"ベースで開発が進められ、先のポータル領域との連携をユーザーに意識させない高レベルでのGUIも実現。統一されたデザインに一貫性のある操作画面から、レポート提出、資料配布、ディスカッション、アンケート(小テスト)、出欠、履修者へのお知らせ、公開レベル設定、更新通知などの主な機能を自然に使いこなせるように仕上げられている。

学内ポータルTOP画面 クラスウェブ(授業支援システム)画面 スマートフォン用画

学内ポータルTOP画面
クラスウェブ(授業支援システム)画面
スマートフォン用画

その次の情報化戦略に向けた一歩をOSS活用によって踏み出す

2013年の4月に本格稼働したばかりの"Oh-o! Meijiシステム"だが、すでに利用者からの声も多く寄せられているという。

「職員側からは機能向上による驚きの声、教員側からはアンケート(小テスト)や出欠をとる機能が新鮮でわかりやすいので使ってみようかという声、さらに学生側からは受講科目一覧が見やすくなったという声などが挙がってきています」(中西氏)
今後も、機能面での改善や追加、運用面の改善提案をはじめ、新機能を段階的にリリースするなど、さらなる向上を目標に継続的な発展活用に向けたナレッジを蓄積していく方向だ。

「旧システムでは学生や職員の利用率に比べ、教員の利用率があまり芳しくありませんでした。使い勝手の悪さが一番の要因だったようです。そこで今後は教員層の利用率向上に向けて、啓蒙活動やPR、利用法のセミナー、動画マニュアルの作成など、さまざまな角度からアプローチしていきたいと考えています」(筧氏)とユーザビリティ向上を機に、利用環境のボトムアップも果たしたいと語る。
「また、ログ解析をしてみると、PCとスマートフォンの利用比率は、すでに3:2の割合にまでなっています。現状ではスマートフォンやタブレットなど携帯端末向けには、お知らせやアンケートなど一部機能のみしか公開していません。今後はその充実を図る施策を進めないといけませんね」(筧氏)という指摘のように、当初の想定を超えた状況変化への対応にも、同校はしっかりと対応の動きを見せている。
「"Oh-o! Meijiシステム"は、その名のとおり当大学を象徴するシステムの一つであり、そのためにシステムのあり方としても、単なるポータル、単なるCMSにとどまらず、発展的に新たな取り組みをにチャレンジする姿勢を示すことが重要と考えています。今回のOSS採用によって、そうした取り組みもますます行いやすくになるのではないかと感じています」(藤澤氏)

既に同校では、新"Oh-o! Meijiシステム"の安定性や堅牢性の確保だけでなく、冗長化への取り組みにも着手した。そんな同校の取り組みを、得意のOSS活用によって後方から支援していくパートナーとして、今後もキヤノンITソリューションズが大きな役割を果たしていくことになるのだろう。

システム構成

システム構成図

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