開発経験がなくても使いこなせる
WebPerformerでシステムを内製

  • 事例
  • 東映アニメーション株式会社 様

高速開発とMicrosoft Office資産の移行を推進

数々のアニメ作品の企画・製作で知られる東映アニメーション。人的リソースの制約などを背景に、現場から寄せられるシステム開発ニーズに迅速に対応することが困難という課題を抱えていました。そこでキヤノンITソリューションズのローコード開発プラットフォーム「WebPerformer」を活用した内製開発を推進。アジャイル開発をベースに現場のニーズに迅速かつ的確に応えられる体制を整えました。

現場からの要求に迅速に応えられる情報システム部門の実現に向けて

金子 竜也 氏、上條 誠 氏、榊原 健司 氏

(写真左)
東映アニメーション株式会社
経営管理本部 情報システム部
金子 竜也 氏

(写真中央)
東映アニメーション株式会社
経営管理本部 情報システム部 部長代理
上條 誠 氏

(写真右)
東映アニメーション株式会社
経営管理本部 情報システム部 課長
榊原 健司 氏

創立以来、世代を超えて親しまれる数々のアニメ作品を生み出してきた東映アニメーション。テレビアニメや劇場アニメなど、保有する総コンテンツ数は約1万3000点にものぼります。それらのアニメ作品の企画・製作を中心にインターネットを通じたコンテンツ配信、DVDやBlu-rayなどの映像パッケージの販売、ゲームやキャラクターグッズの製造・販売を行う各メーカーへの版権の供給、そして、催事・イベントの開催など、多様な事業を手掛けています。日本のアニメは海外でも人気が高く、当然、同社のビジネスもグローバルに展開されています。

これらの事業を支えているのがERPを中心とするITシステムです。しかし、システムの開発や運用管理を担っている情報システム部は、ある課題を感じていました。

1つは開発スピードです。システムを利用していると、現場からERPや周辺システムに対して改修や新機能追加などの要望が寄せられます。その要望にいかに迅速に対応できるかは情報システム部の重要なテーマとなります。

「部内の開発経験を持つメンバーが対応するという方法はありますが、彼らが開発に専念してしまうとほかの業務が滞ってしまう。そのため外部に委託せざるを得ないケースが多く、どうしてもリードタイムがかかってしまう状況でした」と東映アニメーションの上條 誠氏は語ります。

もう1つは、システム化されていない業務の非効率さです。

請求書や発注書の作成など、基幹システムに取り込まれていない業務については、現場の担当者がExcelやAccessなどのMicrosoft Officeツールを使って業務を行っていました。「結果、ファイルを作成した担当者しか保存場所を把握していない、フォームやマクロの内容が作成者にしか分からないなど、業務が属人化しやすい状況になっていました」と上條氏は続けます。

誰もが短期で習得できる上 スピーディにシステムをリリース可能

これらの課題を解決するために同社が決めたのがシステム開発の内製化です。「現場からの改修や追加開発の要求に迅速に対応し、Microsoft Officeツールなどで行っている業務もシステム化を推進する。そのためには内製化しかないと考えました。ただし、前述した通り開発経験を持つメンバーは限られています。したがって、高度な開発スキルや経験がないメンバーでも使いこなせる内製化のためのツールが不可欠でした」と上條氏は言います。

そこで東映アニメーションが導入したのがローコード開発プラットフォーム「WebPerformer」です。

簡単さをウリにはしているが、実際は使いこなしに時間がかかりそう。あるいはシンプルな機能しか実装できない。比較したほとんどの開発ツールが一長一短の特徴を持つ中、最もバランスが良いと判断したのがWebPerformerでした。

「ローコード/ノーコード開発ツールは、それぞれにクセのようなものがあり、実際に使いこなせるようになるには、独自のスクリプト言語を修得しなければなりません。一方、WebPerformerはクセが少なく、開発経験がなくてもある程度の画面作成ならすぐにできる。トライアルを通じて、そう手応えを感じました」と同社の金子竜也氏は語ります。

また、ローコード開発だけでなく、プログラミングによる開発を行うこともでき、それによって追加拡張を行いやすいことも高く評価しました。

図1 東映アニメーションの内製化イメージ

図1 東映アニメーションの内製化イメージ

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アジャイル開発で工期を短縮 運用後の継続的な改修も可能に

システム内製化に向けて、まずは金子氏がWebPerformerの使い勝手を独学で修得してマニュアルを作成。さらに変数などの命名規約を含めた開発標準もまとめて、内製に向けた準備を行いました。

「開発標準を踏まえ、作成したチュートリアルの示す手順に沿ってWebPerformerを利用すれば、誰でもシステム開発を進められる上、メンテナンス性などの品質が担保されるようになっています」と金子氏は語ります。既にExcelやAccessで行っていたリース物件管理、販売実績管理、海外子会社の給与支払実績管理、注文書や請求書などの帳票発行処理などがWebPerformerによって内製開発されています。

課題だった開発要求への迅速な対応という点では、WebPerformerによるアジャイル開発で対応しています。まず画面を開発してモックアップとして実装し、現場の担当者と実際に動く画面を見ながら操作感や機能を評価。そこで気付いた点を修正するという作業を繰り返し、手戻りの少ない開発を実現しているのです。「画面開発なら1週間程度、データの移行なども含めたシステム構築も簡単なものなら1カ月程度で完了できます。工期が短縮されるだけでなく、現場の要求にフィットしたシステムをリリースできるようになった上、運用しながら継続的に改善を実施していくDevOpsの実践にもつながっています」と金子氏は言います。

アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)を使い外部公開するWebシステムも開発

今後も東映アニメーションは、WebPerformerを活用した内製によって様々なシステムの開発に対応していく考えです。現在はERPの周辺のサブシステムやExcel、Accessで行っている業務のシステム化が中心ですが、今後は外部ユーザーに公開するWebシステムにも範囲を広げる計画です。

「外部に公開するならクラウドが最適。そう考えてAWSのサーバーレス環境をインフラに採用してPoCを進めています。将来、社内向けシステムをクラウドに移行する可能性も十分に考えられますから、それをにらんでSSL/TLSの暗号化通信やWAF(Web Application Firewall)などを、どのように使えば防御力を高められるかなどを検証しています。また、在宅ワークの推進などの働く場所を選ばないビジネス環境下でも、WebPerformerがゼロトラストの考え方にのっとってセキュアに動く仕組みとして、どんなつくりにしなければならないかなど検証しております」と同社の榊原健司氏は明かします。

このように同社は開発スピードやシステム化から取り残されている業務にまつわる課題をWebPerformerによる内製開発で解決しました。DXの実現に向けて、いかにデジタル人材を確保するか──。多くの企業が人材を経営課題の1つに掲げている現在、同社のチャレンジは、それを解決する大きなヒントになるのではないでしょうか。

* 本記事はキヤノンITソリューションズのお客様導入事例パンフレット「東映アニメーション様」の内容を一部変更し、関係者の許可を得て転載しています。

東映アニメーション株式会社
東映アニメーション株式会社

所在地

東京都中野区中野四丁目10番1号
中野セントラルパーク イースト5階

事業内容

「世界の子ども達と人々に『夢』と『希望』を与える“創発企業”となることを目指す」という経営理念のもと、テレビアニメや劇場アニメなどの企画製作から、インターネットを通じたコンテンツ配信、DVDやBlu-rayといったパッケージの販売、さらには外部ライセンシーに向けたアニメキャラクターの使用に関する版権ビジネス、催事・イベントにかかわる事業などを広く手掛けている。

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※ 記事中のデータ、人物の所属・役職などは、記事掲載当時のものです。