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第3回

生成AI

人の創造力を超える?

生成AIとは、インターネットなどの膨大な情報を元に学習したデータから文章、画像、動画、音声などを自然言語の指示(プロンプト)に応じてコンテンツを生成できるAIです。従来のAIは学習したデータから、傾向や規則性を読み取り、正否の判断や予測をするなど特定のタスクを行うものでしたが、生成AIは人間が手がけたかのような、自然かつ新しい創作物を生み出すことができます。

2022年3月には、ウクライナのゼレンスキー大統領が国民に投降を呼びかける偽動画が生成AIで作成され、世界中に拡散されました。この時は動画内の不自然さからすぐにフェイクと見破られましたが、ここ1年における生成AIの進化と普及のスピードはすさまじいものがあります。

生成AIの中でも最も広く知られているのは、OpenAIが2022年11月に公開した対話型AI「ChatGPT(チャットジーピーティー)」でしょう。アクティブユーザー数は世界で1億人以上ともいわれています。ChatGPTは「〇〇を教えて」「〇〇を要約して」などの質問や指示を入力すれば、文章を生成して答えてくれます。ChatGPTの普及とともに画像生成や動画生成アプリの認知度も高まり、生成AIは一般的なものになりました。

さらに、OpenAIは2023年3月にChatGPTの新たな基盤技術「GPT-4」を発表。米国の司法試験の模擬試験では上位10%に入る成績で合格レベルに達するなど、その性能は“優秀な人間レベル”まで引き上げられています。新たにChatGPTを他のアプリに組み込むAPI連携もできるようになり、自社のサービスに導入する企業も増えています。2023年11月には大規模言語モデル(LLM)の進化版「GPT-4 Turbo」が発表されました。カスタマーサービスのチャットボット、プログラム作成などに役立てられ、プレゼン資料の作成や議事録の要約といった従来の使われ方から用途の幅が広がっていきそうです。

一方で、生成AIによる権利侵害などの問題が取り沙汰されています。思想や感情といった「創作意図」や「創作的寄与」を含む指示を与えて生成された創作物には著作権が発生します。生成AIによる創作物が、この「創作的寄与」にあたるかどうかの線引きは曖昧ですが、出力した生成物が他者の著作権を侵害する可能性はあるので注意が必要です。また、グローバルではさまざまな議論が展開されており、生成AIをめぐるルールメイクは待ったなし。主要7カ国(G7)による国際的な指針案の策定が急がれています。

生成AIは、データを学習(入力)後、【機械学習】傾向や規則性を読み取る+【ディープラーニング】インターネットなどの膨大な情報から自ら学習+文章、画像、動画、音声などの独自のコンテンツを作成する。従来のAIは、データを学習(入力)後、【機械学習】傾向や規則性を読み取る+情報の成否の判断パターンの予測をする

図1 生成AIと従来のAIの違い

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from キヤノンITソリューションズ

キヤノンITソリューションズ株式会社
R&D本部
言語処理技術部
認定スペシャリスト
田中 靖大
Yasuhiro Tanaka

ChatGPTなどの大規模言語モデルにおいては生成の際に「ハルシネーション」と呼ばれる現象が発生する場合があります。ハルシネーションは、AIが未学習の事柄に関する質問に対して不正確な回答をしてしまう現象です。AIの回答をうのみにせず、他の情報も利用して正確性を担保しましょう。また生成AIの多くはクラウド上のサービスとして提供されており、入力した情報はクラウドに送られます。サービスにおいて、入力した情報がどう扱われるかは事前に確認して利用の可否を判断してください。

田中 靖大
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