ローコード開発で推進する「守りのDX」と「攻めのDX」
- 特集③-1
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企業が推進すべきDXは、自社内の変革を意味する「守りのDX」と、顧客やステークホルダー向けの変革を指す「攻めのDX」の2つに分けられます。これらの変革をシステム開発の側面から支援するのが、ローコード開発の役割です。18年の実績を誇るローコード開発のパイオニア、キヤノンITソリューションズは、この取り組みをさらに進化させています。
「守りのDX」に貢献するWebPerformer
キヤノンITソリューションズ株式会社
執行役員
デジタルイノベーション事業部門
デジタルビジネス統括本部長
松本 一弥
Kazuya Matsumoto
現代のあらゆる企業にとって不可欠となったDX。キヤノンITソリューションズの松本一弥は、「『守りのDX』で業務効率化の基盤を構築し、組織の安定性と信頼性を高めるとともに、『攻めのDX』を通じて新たなビジネスモデルやサービスを展開することで、競争力を高めることができます」と語ります。
この取り組みを支えるため、キヤノンITソリューションズが注力しているのがローコード開発であり、その中核となる製品が「WebPerformer」です。これまで、主に「守りのDX」の領域で企業のシステム開発に大きく寄与してきましたが、2023年1月には「攻めのDX」向けの「WebPerformer-NX」の提供を開始しました。
WebPerformerは、設計から開発、テストまでの全工程を高速化するツールです。リポジトリの設定により、高度なITスキルを持たないユーザーもアプリケーション開発が可能となるほか、プリセットされたルールに従って開発することで属人性を減少させます。また、ドキュメント生成や自動テストにも対応し、開発するシステムの品質均一化にも貢献します。
「WebPerformerの特長を生かし、多くのお客さまが、オンプレミスで稼働している老朽化した基幹システムや大規模システムの刷新に活用しています。コスト削減や業務効率化が求められる中、紙ベースの申請・承認系や、Excelなどで管理している煩雑な業務の効率化にも活用されています」(松本)
WebPerformerの導入企業は、2023年7月時点で1381社、パートナー企業は4月時点で66社に上ります。
「攻めのDX」実現を加速するWebPerformer-NX
そして新たにリリースされたWebPerformer-NXは、キヤノンITソリューションズがWebPerformerを通じて18年間にわたり培ったローコード開発の知見を踏まえ、攻めのDXの実現に向けて、価値提供を拡げたものです。攻めのDXの実現に求められるのは、新たに開発した機能やサービスを迅速に本番環境へ適用するスピード感や、ユーザーに対してより高度なエクスペリエンスを提供することにあります。
「WebPerformer-NXでは、インターフェースを一新し、ユーザーエクスペリエンスを向上させました。特にモバイルデザインに重点を置き、操作性と画面デザインを強化しました。例えば、スマートフォンのGPSやカメラ機能をスムーズに連携させることも可能です。ブラウザがあれば、即座に開発を開始でき、UI部分はビジネス部門、ロジック部分はIT部門が担当するなどの共創開発も実現します」と松本は説明します。
VUCAと呼ばれる予測困難な時代にあって、企業はかつてないほど多くの課題に直面しています。この激しく変化する市場環境に適応し、自社の競争力を維持するためには、守りのDXと攻めのDX、両方を推進していく必要があります。「ローコード開発は、単に開発効率を上げるためのプラットフォームではなく、ビジネスの柔軟性や革新性をも高めるものです」と松本は強調し、キヤノンITソリューションズがお客さま企業の持続的成長に向けて、ローコード開発のさらなる発展に取り組む姿勢を示しました。
※ 記事中のデータ、人物の所属・役職などは、記事掲載当時のものです。