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風通しの良さを武器に車載ソフトウェアでの存在感を高めていく

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エンベデッドシステム事業部
エンベデッドシステム第一開発本部
エンベデッドシステム14開発部
AUTOSAR対応チーム

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エンベデッドシステム第一開発本部
エンベデッドシステム14開発部
AUTOSAR対応チームのメンバー

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今のクルマは“走るコンピュータ”といわれるほど、コンピュータで制御されています。高級車の車載ソフトウェアは1億行に達します。しかし、特定のメーカーの車種ごとに制御するソフトウェアを開発していたために、他の車種に再利用したり変更に対応したりするには、膨大な作業が必要でした。

そこで車載ソフトウェアを共通化して再利用を図るため「AUTOSAR*1」というソフトウェアプラットフォームの共通規格が策定されることになり、欧州の自動車メーカーやサプライヤーが中心となって規格策定と仕様公開を進めてきました。

「AUTOSARはランタイム環境を提供するRTE*2と、基本ソフトウェア群であるBSW*3から構成され、アプリケーションレベルでの土台となるものです。外資系の製品が普及を始める中で、“日本企業には国産プラットフォームが必要”という発想から、4年前に新しいプロジェクトが立ち上がりました」とエンベデッドシステム141開発課課長の落合慎次はこれまでの経緯を語ります。

国産AUTOSAR開発の中心となったのが、名古屋大学発のベンチャー企業、APTJ株式会社です。2015年9月に設立されたAPTJには、企業から30人を超える開発者が集まり、当社も経営に参画するとともに、開発のコアメンバーとして活動してきました。

APTJは設立から3年後の2018年10月に、AUTOSAR仕様準拠のソフトウェアプラットフォーム「Julinar SPF」の正式販売を開始し、当社では2019年1月に、Julinarの開発を分担している141開発課から、インテグレーションを専門に行うメンバーを独立させる形で142開発課が発足しました。

現在のAUTOSAR対応チームの使命は大きく2つ。BSWのラインナップを充実させることと、モジュールのインテグレーションに対応していくことです。

そこでの難しさは厳格な開発プロセスへの対応です。「仕様や開発の各工程で100%のプロセスの順守とトレーサビリティが求められます」と141開発課の田地晶は説明します。高い安全性が求められる車載ソフトウェアならではの厳しさです。

一方のモジュールに対する要望への対応では柔軟性が問われます。142開発課の迫竜司は「欧州は組み合わせ文化ですが、日本はすり合わせ文化」と欧州との違いを指摘します。お互い切磋琢磨しながら進めるのが日本の開発スタイルです。それだけに線引きが難しくなります。

また、幅広い知識やスキルが必要になるのもインテグレーションの特徴です。電子制御ユニットにJulinarのモジュールを提供するにはインテグレーションが必要になります。そこでは欧米の製品のモジュールとのハイブリッドもあり得ます。

「組織上は2つに分かれていますが、新しい領域ですべてを理解している人がいないため、お互いで垣根なく話し合って進めています。知識を共有するために毎週行われるワーキンググループには、2つの部署のメンバーが全員参加しています」(落合)

将来の自動運転でも鍵となる車載ソフトウェアの世界でプレーヤーとして認知されるには、厳しい品質と幅広いスキルが求められます。そこでは、風通しの良さを生かして、精密機器の開発経験が豊富で、電子制御ユニットも手がけるキヤノンITソリューションズならではの強みを発揮することが期待されています。

*1 AUTomotive Open System ARchitecture:車載制御システム向けソフトウェア基盤の標準規格、および仕様を策定・公開している団体名

*2 Run Time Environment:ランタイム環境

*3 Basic SoftWare:基盤ソフトウェア

キヤノンITソリューションズ株式会社
エンベデッド141開発課 課長
落合 慎次
Shinji Ochiai

キヤノンITソリューションズ株式会社
エンベデッド141開発課
田地 晶
Akira Taji

キヤノンITソリューションズ株式会社
エンベデッド142開発課
迫 竜司
Ryuji Sako

※ 記事中のデータ、人物の所属・役職などは、記事掲載当時のものです。

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