模倣品をスマホで瞬時に判定
"安心感"提供でブランド向上狙う

  • 事例
  • 株式会社 ウ テ ナ 様

正規品判定クラウドサービス「C2V Connected」を導入

中国市場を中心に海外事業の拡大を進めている化粧品メーカーの株式会社ウテナは、一部地域で出現し始めた模倣品への対策を早期に確立すべく、キヤノンITソリューションズの正規品判定クラウドサービス「C2V Connected」を導入しました。消費者が自らの手で簡単に正規品判定を行えるスマホアプリを通じてブランドの信頼を高める取り組みを展開しています。

粗悪な模倣品の放置はブランド価値の毀損を招く

本郷 憲治 氏

株式会社 ウ テ ナ
マーケティング部 部長
本郷 憲治 氏

外国人観光客が日本で購入した製品に対する“感動”や“驚き”がSNSやクチコミで発信され、それぞれの母国や地域で販売を伸ばすケースがあります。2017年に創立90周年を迎えた化粧品メーカーの株式会社ウテナが販売するスキンケア(シートマスク)商品「プレミアムプレサ ゴールデンジュレマスク」も、そうしたインバウンド需要が呼び水となって中国市場で大きなヒットにつながった商品の1つです。同社マーケティング部で部長を務める本郷憲治氏は、「通常の約2倍もの美容液を含ませ、長時間じっくりケアできる贅沢(ぜいたく)な使用感が中国のお客さまに支持されたようです」と話します。

ウテナはこの機を逃さず、2016年9月に中国越境ECサイト大手の天猫国際(Tmall Global)に旗艦店をオープン。続いて同年11月には現地法人を設立し、海外事業の足がかりとして、中国国内での販売環境の整備を進めました。

しかし、こうした攻勢をかけようとしていた矢先に、思いがけない報告が飛び込んできました。中国のある動画サイトに、「プレミアムプレサシリーズの偽物が出回っている」という消費者の投稿がなされたのです。「当然のことながらそうした模倣品は効能も品質もまったく保証されず、最悪の場合、皮膚障害を起こすこともあります。美容品は気分を上げるものなので、お客さまの気持ちを下げるようなことは避けたいです。また、お客さまが粗悪な模倣品を弊社の商品と信じて利用してしまい、ブランド価値が毀損されてしまうのも絶対に避けなければなりません」と本郷氏は懸念を示します。

C2V Connected選定の決め手となった3つのポイント

模倣品対策の肝はスピードです。模倣品が数多く出回ってしまう前に、1分1秒でも早くその芽を摘んでしまう必要があるのです。そこでウテナが導入したのが、キヤノンITソリューションズが提供する正規品判定クラウドサービス「C2V Connected」です。

本郷氏は、同サービスを選定した決め手として、次の3つのポイントを挙げます。

まずは「消費者自らが商品に貼付されたIDタグのQRコードをスマートフォンで読み取るだけで正規品判定を行える」という点です。「他社からはメーカー側だけが認識できる微小な“印”をパッケージに埋め込んで判定を行うソリューションも提案されましたが、私たちが重視したのはあくまでも『お客さまに安心を提供すること』です。この要件に応えてくれたのは、キヤノンITソリューションズの提案のみでした」と本郷氏は強調します。

次に「費用対効果の高さ」です。商品にIDタグを貼付するとなれば、当然そのシール代や貼付の工賃が製品原価に加わることになります。「小売価格で数百円ほどの消耗品に対してこのコストが適正な範囲内に収まるのかどうかは、事業の収益性や継続性を確保する上で非常に重要なポイントでした」と本郷氏は振り返ります。

そして3つ目のポイントが「クラウドベースのサービス」であることです。独自にサーバを立ててシステムを導入するとなれば、初期費用に加え運用体制の構築にも多大なコストと時間を要してしまいますが、クラウドベースのサービスであれば社内の負担は最小限で済みます。

「バックエンドのシステムはもちろん、お客さまに提供するスマホアプリについても開発作業は不要です。C2V Connectedが用意しているユーザー画面のテンプレートに商品ロゴを入れるなど、簡単なカスタマイズを行うだけで、すぐにリリースすることができました」と本郷氏は話します。

正規品判定シールを貼付したパッケージは日本包装技術協会「日本パッケージングコンテスト2018」で化粧品包装部門賞を受賞

ダイレクトに消費者とつながる新たなチャネルへの発展を構想

ウテナがC2V Connectedを導入したのは2017年12月のことで、2018年4月の初旬に早くも本番運用を開始しました。さらに言えばこのリードタイムを要したのも、商品パッケージにIDタグを貼付するスペースを確保する必要から印刷原版の修正を行っていたためで、システムそのものはすでに準備万端でスタンバイしていました。

こうしてサービスインしたC2V Connectedは、実際にどのような効果をもたらしているのでしょうか。「その後、模倣品が現れたという目立った話は耳にしておらず、1つの抑止力になっていると言えるのではないでしょうか」と本郷氏は話します。

そしてC2V Connectedは、ウテナにかつてない大きな“気づき”をもたらしました。

クラウドサービスの管理画面には、いつ、どこで、IDタグのスキャンが行われたのかというイベントがリアルタイムで可視化されます。「このデータはマーケティング戦略にも役立つのではないか」というアイデアが生まれてきたのです。「特に中国は国土が非常に広いだけに、都市や地域ごとの販売傾向を分析し、きめ細かなプロモーションを展開する必要があります。そのプロセスでC2V Connectedから収集したデータを活用できそうです。また、将来的にはIDタグをスキャンしたお客さまに対してタイムリーなコンテンツを発信するといった活用も十分に可能と考えています」と本郷氏は構想を描いています。

C2V Connectedは単なる模倣品対策ソリューションの枠を超え、ダイレクトに消費者とつながり、双方向のコミュニケーションを実現する新たなチャネルとして、ウテナのビジネスにさらなる成長の可能性を示しました。

C2V Connectedの概要

C2V Connectedの概要

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株式会社 ウ テ ナ
株式会社 ウ テ ナ

創立

1927年4月

代表者

代表取締役社長 青﨑正紀

事業内容

化粧品・医薬部外品製造販売・不動産賃貸業

従業員数

140人

住所

東京都世田谷区南烏山 1-10-22(本社)

TEL

03-3303-4111(代表)

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