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データセンタービジネス 新領域へ向けたビジョン

データセンタービジネス 新領域へ向けたビジョン

  • 特別企画

西東京データセンター2号棟が始動 付加価値サービスの提供拠点へ

2020年10月末、西東京データセンターの新棟(2号棟)が完成し、正式稼働を開始しました。これを機に、データセンターを中核としたITインフラサービス事業を拡大するとともに、お客さまの基幹業務システム開発やDX実現への共創に取り組み、システム基盤のライフサイクルをフルサポートする付加価値サービスを展開していく計画です。この新たなデータセンタービジネスへのビジョンを取締役専務執行役員の笹部幸博が語ります。

お客さまのDXにつながる高度化支援を目指す

笹部 幸博

キヤノンITソリューションズ株式会社
取締役 専務執行役員
企画本部 担当
ITインフラサービス事業統括 担当
笹部 幸博
Yukihiro Sasabe

データセンターを取り巻く市場環境やニーズは常に変化しています。最近のトレンドを読み解くに当たり、3つの顕著な動きについてご紹介しましょう。

1つ目が、新型コロナウイルスの感染拡大への対応です。テレワーク(リモートワーク)にシフトした従業員(システム運用・保守部門を含む)を支えるさまざまな社内システムを、自社オフィスなどから社外のデータセンターやクラウドへ再配置したいと考える企業が増えつつあります。2つ目が、企業のクラウドシフト志向と同時にコロナに伴うECの活況などに対応したパブリッククラウド事業者のサービスリソースの運用場所としてのデータセンターニーズの高まりです。一方で、企業にとっては、すべての社内システムをパブリッククラウドに移行できるわけではなく、より自由度の高いプライベートクラウドとしてデータセンターを利用したいというニーズも高まっています。これが3つ目の流れです。

当然のことながらキヤノンITソリューションズとしても、時代とともに変化していくお客さまのニーズにお応えしていかなければなりません。キヤノンITソリューションズ取締役 専務執行役員でITインフラサービス事業統括 担当の笹部幸博は、「ITインフラサービス事業統括はデータセンターを中核に、ネットワークシステムやサーバーシステムなどの構築と運用・保守を担当している部門ですが、基幹業務システム開発を担当するSIサービス事業統括とも緊密に連携し、付加価値サービスの拡大を図っていきます」と語ります。

お客さまにとって、なくてはならない戦略的なITパートナーとしてお役に立つことを願い、2つの事業統括が連携した活動を展開しています。この活動のキーコンセプトをSIP(Strategic IT Partnership)と称し、「それぞれが得意とする、基幹業務システム開発技術とインフラ運用・保守技術を連携することで、構想・企画~設計・構築~運用・保守をフルサポートする」という基本方針を打ち出しています。

「新しい業務アプリケーションを積極的に構築して提供することが動脈系(SIサービス事業統括)の役割とするならば、お客さまに納めた後のシステムをしっかりと維持運用していくことが静脈系(ITインフラサービス事業統括)の役割です。人間の身体と同じようにこの循環をしっかり築くことで守りを固め、お客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)につながる攻めの支援を行うことが可能となります」と笹部は強調します。

具体的には、業務システムを構築した既存のお客さまに対して、インフラの運用・保守をアドオンで請け負う提案を行うことが1つのアプローチとなります。さらに新規の案件が立ち上がった際には、SIサービス事業統括とITインフラサービス事業統括の各担当者が必ず互いに連携し、業務アプリケーションの構築からその後の運用・保守まで一気通貫で提案します。

いずれのアプローチにおいても、お客さまのインフラをお預かりする拠点として西東京データセンターを活用していきます。

メガクラウドとのダイレクト接続をサポート、❝つながりの中心❞に位置するデータセンターへ

この一連の取り組みの中でキヤノンITソリューションズは西東京データセンターの拡張・強化を図っており、2019年3月より建設を進めてきた2号棟が2020年10月末に正式稼働を開始しました。その特徴を俯瞰してみましょう。

西東京データセンターの2号棟は2880ラックを収容することが可能で、25MVA(メガボルトアンペア)の受電容量に加え、高性能なファシリティと厳重なセキュリティを備えています。

「2号棟は単位面積当たりで提供できる電力量、空調能力を高めるなどスペース効率を高める設計を施しています。これにより既設の1号棟とほぼ同じ面積でありながら収容できるラック数を増やすとともに、ますます集積度を高めていくサーバーの運用にもしっかり対応することができます」と笹部は話します。

なお、西東京データセンターは米国の民間格付機関「Uptime Institute」が定めているデータセンターの運営品質に関するグローバル基準である「M&O認証」を2017年に取得していますが、第三者機関が証明するこのグローバル基準の運営品質は、もちろん2号棟においても提供されます。

一方で西東京データセンターを拠点とするクラウドサービス事業として、自社クラウドサービス「SOLTAGE」はもとより、外部クラウドサービスと組み合わせたマルチクラウド環境など、お客さまに最適なインフラ基盤を提供していきます。

「クラウドは単独で使う時代からハイブリッドクラウドやマルチクラウドへ移行し、自社のビジネスや業務に応じたさまざまなクラウドサービスを適材適所で組み合わせて利用する形態に変化しています。この流れに対応すべく、西東京データセンターは2号棟の稼働を契機に、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどメガクラウドとのダイレクト接続をサポートし、大きな目玉にしたいと考えています。さまざまなつながりの中心に位置するデータセンターを目指します」と笹部は語ります。

また、地方公共団体の庁内ネットワークを相互接続する「総合行政ネットワーク(LGWAN)」などにも容易に接続できる環境を整備します。併せてキヤノンマーケティングジャパングループのクラウドサービス開発で培ってきたシステム開発やセキュリティ運用、システム運用などの経験・ノウハウを生かしたアウトソーシングサービスを提供し、お客さまのクラウドシフトを全方位で支援します。

高い品質を受け継ぎ、大幅に性能が向上した西東京データセンター2号棟

高い品質を受け継ぎ、大幅に性能が向上した西東京データセンター2号棟

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頑丈頑強なファシリティだけではない多彩な付加価値サービスのメリット

さらに新たな動きとして西東京データセンターは、ネットワーク事業のサービス拡大の一環として「NOC(ネットワークオペレーションセンター)」および「SOC(セキュリティオペレーションセンター)」を立ち上げます。お客さまのネットワーク環境に発生するさまざまな障害をNOCが24時間365日体制で監視するとともに、SOCと連携したセキュリティログの相関分析などによりサイバー攻撃を監視するものです。

「これまで西東京データセンターでは、どちらかと言えば頑丈頑強なファシリティ面のメリットを前面に押し出してきました。これに加えて2号棟ではNOCやSOCを含め、お客さまからお預かりしたインフラに対して提供していくさまざまな付加価値サービスのメリットも訴求していきたいと考えています」と笹部は話します。

今後に向けて拡充していく付加価値サービスとしては、例えばオンプレミスで提供しているVDI(仮想デスクトップ)環境を西東京データセンターからサービスで提供することも検討しています。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて多くの企業が社員をテレワークに移行しましたが、このVDI環境を西東京データセンターにオフロードすることで、テレワークに移行した社員に対してより快適な仮想デスクトップを提供するとともに、先に紹介したNOCやSOCにより障害監視やセキュリティも強化することが可能となります。

また、西東京データセンターの2号棟を、お客さまにとってより身近なデータセンターとしていく計画です。

西東京データセンターは金融情報システムセンター(FISC)の安全対策基準に準拠し、7段階に及ぶ厳重なセキュリティのチェックポイントが設けられているため、正式に承認されたお客さまであっても入館は容易ではありません。ただ、オフィススペースについては本来ここまで厳重なセキュリティは不要なはずで、より簡易な手順で入館できるような仕組みを整えようとしています。

「キヤノンが得意とする顔認識テクノロジーをセキュリティのチェックポイントに導入することで、よりスムーズにオフィススペースに入室できるようにする試験運用を2号棟で開始しました。将来的には顔認識と入退館管理を連携させたセキュリティシステムに発展させていこうとしています」と笹部は語ります。

こうした多岐にわたる施策を通じてデータセンター事業の売上高を今後5年間で倍増させるとともに、それを上回るペースで付加価値サービスの売上比率を伸ばしていくことが、キヤノンITソリューションズ全社としての共通目標です。そして2023年には2号棟の稼働率は70~80%に達する見通しで、そのころまでにはさらなるデータセンターの拡張計画が動き始める予定です。

今後もシステム構築から運用、保守に至るまで高付加価値なトータルソリューションを提供しながら、拡張性と信頼性に優れたビジネス基盤を求めるお客さまのご要望にお応えしていきます。

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※ 記事中のデータ、人物の所属・役職などは、記事掲載当時のものです。

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