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遠隔業務支援サービス "VisualBrain"

  • Pickup Solution

高精細画像を毎秒転送
遠隔地から現場作業を指示・支援

「VisualBrain」は遠隔地で発生している事象をリアルタイムにオフィスと共有し、オフィス側からも状況に応じた適切な対応を行うことができる、双方向型の映像コミュニケーションサービスです。遠隔地から高精細な写真や動画を転送することが可能で、現場作業の効率化はもちろん、ベテランの遠隔監督者から現場作業者への「ナレッジ伝承」などにもご活用いただけます。

特長

精細画像を伝送できるイメージモード
画像をコマ送りする方式なので通信状況が悪くても細部まで鮮明に見えます。
回線が切れても画像が残るオフラインモード
撮影画像をiPhoneに保存しておき、通信状況が回復したときに伝送できます。
データを外部システムで二次活用できるAPI
外部システムとAPI経由で連携すれば、録画したデータを二次活用できます。

ベテラン不足とコロナ禍の移動制限で仕事が回らない

田嶋 智史、武知 憲彦

(写真右)
キヤノンITソリューションズ株式会社
キヤノングループ事業部 営業本部
本部長
田嶋 智史
Satoshi Tajima

(写真左)
キヤノンITソリューションズ株式会社
キヤノングループ事業部 営業本部
商品企画課 課長
武知 憲彦
Norihiko Takechi

豊富な経験と知見を持つベテランと若手スタッフがペアで行動することによって、マニュアルとして成文化できないようなノウハウを次世代へと継承していくーー。急速な少子高齢化を迎えつつある今の日本社会では、このような仕事の仕方を続けていくことが難しくなってきました。高度経済成長期にノウハウを身に付けたベテランが定年を迎えて次々と退職すると、ベテランと若手スタッフの比率がアンバランスになってしまい、「師匠と弟子」の関係を維持できなくなってしまうのです。

このような現象は、現場での作業が多い業種・業務で特に深刻になっています。例えば、送電鉄塔や街中の電柱の上で行われる柱上作業(電力業)、プラントや製造設備の保守点検(製造業)、施工現場での進捗管理(建設業)、線路や架線のメンテナンス(鉄道業)なども、ベテランの大量引退による影響が懸念されている業務領域です。

さらに、今年(2020年)は、新型コロナウイルス感染症による特殊事情も発生しています。流行を阻止しようと各国政府が人の移動に制限をかけたため、仮に十分な数のベテランや若手スタッフがそろっている企業でも、現地に要員を送り込めなくなってしまったのです。Web会議システムを通じて顧客や現地スタッフと話をすれば現場の状況はある程度分かりますが、保守点検のように専門性が高い業務を遂行するには決して十分ではありません。

現場で作業する複数の人をオフィスから遠隔で指導

そこで、キヤノンITソリューションズは遠隔業務支援サービス「VisualBrain」の提供を2020年7月1日に開始しました。「このサービスを企画するきっかけとなったのは、ある損害保険会社さまの事故車両査定業務でした」と語るのは、キヤノングループ事業部 営業本部長の田嶋智史です。キヤノンITソリューションズ独自の映像・通信技術を基に、NTTコミュニケーションズのWebRTCプラットフォーム「SkyWay」を活用したSaaSとして企画し、アジャイル手法を使って短期・低コストで開発することになりました。

「最大のポイントは、高精細の写真を1秒ごとのコマ送りで伝送するイメージモードです」と説明するのは、商品企画課長の武知憲彦です(同営業本部)。1枚当たりの伝送量はそれほど大きくないため、低速の回線でも部品の損傷状態などがはっきりと見えるのが特長です。

また、オフラインモードを備えていることもVisualBrainならではのポイントです。撮影した写真や動画はiPhone内に一時的に蓄えられますので、通信状況が良くない現場では撮影してから別の場所で送信、といった使い方ができます。

システムはクラウド上に構築され、1人の“師匠”が数人の“弟子”を仮想会議室(ルーム)で指導する仕組みになっています。弟子はVisualBrainアプリを組み込んだiPhoneを現場に持ち込み、オフィスにいる師匠は各弟子の活動をWebブラウザ「Google Chrome」で指導・支援します。このほか、オプションとはなりますが、ウェアラブル型モバイルカメラを弟子に持たせることも可能です(図1)。さらに、クラウド上に保存された写真や動画を外部システムに送り出すためのAPIもあらかじめ用意されています。「画像解析やSpeech-to-Text処理の結果を基にデータベースを検索するような二次活用を考えています」と武知は説明します。この部分はキヤノンITソリューションズがシステムインテグレーションの形態でお客さまごとに個別開発します。

VisualBrain概要

VisualBrain概要

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多様な業種・業務で使える月額8万円からのSaaS形態

VisualBrainは、コロナ禍に伴う人の移動制限を背景に、海外に製造拠点を置く企業からも現地にリアルタイムで指示を出すためのソリューションとして引き合いが増加しつつあります。このほか、官公庁(災害発生地の状況把握)、医薬業(薬局での服薬説明支援)、教育(リアルタイム遠隔指導)などにも最適なソリューションとしてご利用いただくことが可能です。

導入・利用に要する費用は、初期導入費用(10万円)と月額使用料(1ルーム当たり8万円)という構成で、オプションとして、ルームに接続できる端末を追加する同時参加デバイスオプションと録画オプションが用意されています。

今後の機能拡張としては、まず、クラウド型AI OCRソリューション「CaptureBrain」および類似文書検索エンジン「DiscoveryBrain」との連携が検討されています。また、通信路に高速・大容量の通信技術「5G」やIoTと親和性が高い通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」を使えるようにするための検討にもすでに着手しており、通信費用が安いLPWAは農業分野にVisualBrainを浸透させるための切り札になると期待されています。対応機種は未定ですが、Androidのサポートも計画しています。

「これはVisualBrainに限ったことではありませんが、われわれが大事にしなければならないのは、『お客さまの目線』です。単に技術を売るのではなく、お客さまが求めておられるものや、お客さまが気付かれていないことにも技術を結び付けることが重要です」と田嶋は話します。

キヤノンITソリューションズはこれからもお客さまのさまざまな課題を解決するためのソリューション開発に突き進んでまいります。

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※ 記事中のデータ、人物の所属・役職などは、記事掲載当時のものです。

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