ホーム > ソリューション・製品 > EDI > 電子帳簿保存法を理解する。2023年最新情報と企業がすべきこと

電子帳簿保存法を理解する。2023年最新情報と企業がすべきこと

「電子帳簿保存法」は、国税関連の帳簿・帳票などのデータ保存について定めた法律です。2022年の改正では、電子取引の電子データ保存が義務化されており、設けられていた猶予期間も終わりが見え、すべての事業者にとって対応が必須となっています。一方、たびたびの改正で、「今、なににどう対応しなければならないのか」が分からない、といったことはないでしょうか?本記事では、電子帳簿保存法の概要から、EDIなど電子取引データの扱いまで、今理解しておきたいポイントを解説します。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、帳簿や領収書・請求書といった税務関係の帳簿書類についてデータの保存が可能になるよう、その保存義務や保存方法について定めた法律です。以前はこれらの書類はすべて紙で保存しなければなりませんでしたが、「データで送られてきたものも印刷し、紙で保管しなければならず手間がかかる」「保管場所の確保が難しい」などの課題があり、IT技術の進化、ペーパーレス化などもあって「帳簿書類についても電子データで保存したい」というニーズが高まったことを受けて、1998年に制定されました。電子帳簿保存法では、下記3つの領域について制度を定めています。

  • 電子取引:メールやインターネットを介してやり取りした取引情報について定めた制度
  • 電子帳簿:会計ソフトなどを利用して作成した帳簿などを、印刷せずに電子データのまま保存する際の制度
  • スキャナ保存:領収書などをスキャナなどで電子データ化して保存する際の制度

参考:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁

電子帳簿保存法改正での主な変更点

電子帳簿保存法は、施行後もたびたび改正されています。ここ数年での大きな改正は「電子取引のデータ保存」の義務化です。

2022年改正:電子取引のデータ保存が義務化

  • すべての企業において電子データで受け取った帳票類を電子データとして保存することが必須に。
  • 2023年12月31日まで猶予期間が設定され、間に合わない企業に関しては対応を猶予。

2023年度改正:猶予期間を延長

  • 新たな猶予期間は「所轄税務署長が相当の理由がある」と認めた場合に限られる。

猶予期間が延長されたとはいえ、対象が限定されていることから、対応は急務と言えるでしょう。また、2023年度改正ではほかにも下記のような点が変更されています。

2023年度その他の改正内容

  • 優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象となる帳簿の範囲見直し
  • スキャナ保存の条件緩和

参考:電子帳簿保存法の内容が改正されました|国税庁

電子帳簿保存法の対象企業

電子帳簿保存法は、所得税や法人税の国税関係帳簿書類の保存義務がある企業を対象としており、個人事業主も含まれます。電子帳簿保存・スキャナ保存に関しては、希望する企業のみが対応すればよいものですが、電子取引のデータ保存はすべての法人で義務化されています。メールで受け取った請求書、ECサイト上で発行された領収書などが該当し、これらを以前のように「印刷して紙で保存する」のではなく、すべての企業において、電子データのまま保存しなければなりません。

電子取引のデータ保存義務化における「EDIデータ」の扱い

企業間の電子取引のひとつであるEDIも、もちろん「電子取引のデータ保存義務化」の対象です。「メールで送られた請求書のPDFを保存する」などのケースとは運用が異なり、どう対処するのかイメージがつきにくい部分もあるのではないでしょうか。
EDIデータを電子帳簿保存法に則って保存する際のポイントとして、下記の3点が挙げられます。
参考:JIIMA電子取引 取引情報保存 ガイドライン

  • 1.関連書類の備え付け
    関連書類とは、EDIシステムの概要などを記載したマニュアルなどを指します。保存データの閲覧方法、検索などの方法が記載された操作マニュアルを用意しなければなりません。
  • 2.見読性の確保
    2つ目の要件は、保存期間中に、EDIデータが整然とした形式で、ディスプレイやプリンタに出力できること、その仕組み・ハードウェアの設置が挙げられます。EDIの取引データはあらかじめ取引先と定めたフォーマットに沿ってデータを送受信しており、そのままでは「人が読んで分かる」状態とは限りません。取引データを整え、分かりやすい形で表示・出力できる仕組みが求められます。
  • 3.検索機能の確保
    電子帳簿保存法では、保存したデータを検索できることが要件にあり、EDIデータでも同様です。取引年月日・取引金額・取引先の項目で検索できる機能が必要で、また日付と金額の範囲指定、2項目以上の複合条件設定ができること、検索結果のみが速やかに出力されることに対応する必要があります。

EDIデータ保存時の考慮事項

EDIデータを保存する際には、下記のケースにどう対応するか事前に考慮が必要です。
参考:法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))関係|国税庁

  • 1.暗号化されたデータの取扱い
    暗号化されたデータをそのまま保存するのではなく、暗号化前、または復号後のデータ保存が必須です。
  • 2.メッセージの交換過程で発生する訂正または加除データの取扱い
    EDIによる取引では、送受信したデータ項目の訂正や加除のデータもやり取りされますが、これらのデータは“作成過程のデータ”として考えられるため、最終的に確定したデータのみ保存することが可能です。
  • 3.単価データなどのマスター情報の取扱い
    取引先情報や商品情報などは、別途マスタデータを保持し、「取引先コード」「商品コード」のみをEDIでやり取りする形が多く取られます。こういった場合、マスターを参照しなければ取引内容が明確にならないため、マスタデータを参照できるよう、あわせて保存する必要があります。
  • 4.変換テーブルによりデータ変換している場合の対応
    例えば、取引先から送られてきたコードを、あらかじめルールを定めた“変換テーブル”に基づいて自社のコードに変換して保存することも認められています。ただし、変換処理は手作業ではなく、自動化されていること、また変換テーブルもあわせて保存することが求められます。

参考:電子帳簿保存法一問一答 国税庁

マスタデータや変換テーブルなどEDIデータに付随するものは、特に検討時に忘れがちなポイントです。当然ですが、マスタデータは更新されていくため、送受信したデータと、そのタイミングでのマスタデータを紐づけて保存するなどの工夫が必要です。

EDIデータの保存方法

電子帳簿保存法に対応してEDIデータを保存する方法は、大きく「基幹システム側で保存する」「EDIに外部のストレージサービスを連携して保存する」のどちらかになります。
いずれも、電子帳簿保存法で求められる保存要件をクリアする必要があります。外部のストレージサービスに保存する場合ももちろん検索性の確保が求められるため、「ただ保存するだけ」ではNGです。検索機能も含めて対応できるのか、どう環境を整備するのか検討しましょう。
基幹システムで対応する場合、要件にあわせて改修が必要なケースもあります。また、データは7年間保存しなければならないため、データ容量が大きくなり、リソースのひっ迫が懸念されます。両者の条件やメリット、デメリットを考慮し、選定することが重要です。

キヤノンITソリューションズの電子帳簿保存法対応支援

もはや対応は待ったなしとなっている電子帳簿保存法。長期間にわたって運用することも踏まえ、求められる様々な要件や、注意事項をクリアしながら、いかにシンプルに対応するかは企業にとっての課題と言えるでしょう。EDIデータについても同様で、継続的に使える仕組み・体制をどう整えるかが鍵となります。
キヤノンITソリューションズでは、次世代EDIサービス「EDI-Master Cloud」とキヤノンマーケティングジャパンが提供する「DigitalWork Accelerator 電子取引管理サービス」と連携することで、EDIデータの電子帳簿保存法対応をサポートします。

電子帳保存法説明図

DigitalWork Acceleratorは公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子取引ソフト法的要件認証」を取得しており、電子帳簿保存法に対応するための法的要件を満たしているため、安心してご利用いただけます。EDIの取引データから、保存対象となるデータをDigitalWork Acceleratorへと転送し、適切な状態で保存。もちろん要件で求められる検索機能を提供するほか、マスタデータなどをあわせて保存することも可能です。また、DigitalWork Acceleratorでは、自由に保存する書類を設定できるため、EDI以外の電子取引データや紙で受領した書類のスキャナ保存にも対応。複合機連携やバッチ連携で一括登録するオプション機能も提供し、業務要件にあわせた運用を実現します。
「改めてEDIデータの電子帳簿保存法対応を見直したい」「これを機に仕組みを整えたい」など、ぜひご相談ください。

  • 「DigitalWork Accelerator」はキヤノンマーケティングジャパン株式会社の登録商標です。

お気軽にお問い合わせください。

このソリューションへのお問い合わせ

資料やカタログのダウンロードができます。

資料請求・ダウンロード
ホーム > ソリューション・製品 > EDI > 電子帳簿保存法を理解する。2023年最新情報と企業がすべきこと