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EDI連載コラム 第3回「製造業界の動向まとめ」
EDI:コラム第3回「製造業界の動向まとめ」
受発注や金融機関への振込など、企業活動に欠かせないEDI。本コラムでは、さまざまなEDIトレンドや各企業が意識すべきポイントを掘り下げてお届けしてまいります。
今回は、2020年8月に開催したWebセミナー「INS終了対策EDIセミナー 製造業界 編」の内容を再構成し、コラム形式でお送りします。セミナーをご覧になられた方も参考になるよう、アンケートでいただきましたご意見やご要望を反映し、追加情報を記載しておりますので、ぜひともご覧ください。
なお、本コラム記載の内容は記事記載当時の情報をまとめております。最新の状況については、各業界の最新情報をご確認いただくか、当社へご相談ください。
IP網移行によるEDIへの影響
2024年のINS終了に際し、現在のアナログ回線やISDN回線はIP網へ移行されます。IP網移行に際し、最大4倍程度の通信遅延が発生する可能性があり、早ければ2023年初頭には遅延が発生するリスクがあります。そのため、多くの業界団体は2022年末までのインターネットEDI移行完了を推奨しています。
■固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行について
(NTT東日本)https://web116.jp/2024ikou/
(NTT西日本)https://www.ntt-west.co.jp/denwa/2024ikou/
製造業界の動向
EDIにおいては、取引先同士で同じ通信プロトコルを選択することが必須です。そのため、事前に取引先や業界の動向を参照しながら、計画的にEDI方式を選定する必要があります。本章では、各業界の動向ならびに、弊社製品に置き換えた場合の移行例をまとめます。
1.銀行
製造業界とは異なりますが、はじめに銀行業界の動向をご紹介します。
日本では、一般社団法人全国銀行協会によって銀行-企業間のオンラインデータ交換のために制定された全銀手順が一般にも利用されるようになり、全銀(ベーシック)手順および全銀TCP/IP手順は国内で最も使用されているEDIプロトコルとなっています。
銀行業界の事例 | レガシーEDI | インターネットEDI |
---|---|---|
手順 | 全銀ベーシック 全銀TCP/IP |
全銀協標準通信プロトコル (TCP/IP手順・広域IP網) |
通信フォーマット | 固定長 | 固定長 |
当社製品例(サーバ) | B2B Standard | B2B Standard+B2B for TLS |
当社製品例(クライアント) | B2B for BANK-Client B2B for BANK TCP/IP-Client |
B2B for BANK TCP/IP-Client |
また、全銀フォーマットのXML化による経理業務(売掛金の消込業務)の効率化を目指す「ZEDI」や、「VALUX」「AnserDATAPORT」といったサービスによりINS終了対応を行う金融機関も増えています。
■VALUXについてはこちら
https://www.valux.ne.jp/index.php
■AnserDATAPORTについてはこちら
https://www.adp.ne.jp/
(ご参考)「AnserDATAPORT」と弊社全銀手順通信ソフトウェアとの接続検証結果のお知らせ
https://www.canon-its.co.jp/news/detail/?id=8441
※ZEDIは、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークの登録商標です。
※VALUX、AnserDATAPORTは株式会社エヌ・ティ・ティ・データの登録商標です。
2.鉄鋼
鉄鋼業界では、一般社団法人日本鉄鋼連盟の下部組織である鉄鋼EDIセンターにて鉄鋼EDI標準の制定・維持・普及活動が進められています。現状は全銀・全銀TCP/IP手順が8割以上を占めており、INS終了の影響が大きい業界です。(2018年12月時点)
インターネットEDI対応プロトコルは全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)と定めており、移行負荷軽減のため、通信フォーマットは既存のものを踏襲し、2022年12月末までの移行完了を目標としています。
鉄鋼業界の事例 | レガシーEDI | インターネットEDI |
---|---|---|
手順 | 全銀ベーシック 全銀TCP/IP |
全銀協標準通信プロトコル (TCP/IP手順・広域IP網) |
通信フォーマット | CII(JISI) | CII(JISI) |
当社製品例(サーバ) | B2B Standard | B2B Standard+B2B for TLS |
当社製品例(クライアント) | B2B for BANK-Client B2B for BANK TCP/IP-Client |
B2B for BANK TCP/IP-Client |
変換ソフトウェア | TRAN for CII |
参照元:一般社団法人日本鉄鋼連盟 鉄鋼EDIセンター「EDI2024年問題への対応方針」(2019年8月)より作成
https://www.jisf.or.jp/steeledi/index.htm
3.石油化学
石油化学業界では、現状2つの方式(JPCA方式/CEDI方式)を推奨しており、このうちJPCA方式で固定電話回線が利用されています。一般社団法人石油化学工業協会では、影響の少ない方法として、インターネットEDI対応プロトコルは全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)と定めており、通信フォーマットは既存のものを踏襲し、2022年12月末までの移行完了を目標としています。
石油化学業界の事例(JPCA) | レガシーEDI | インターネットEDI |
---|---|---|
手順 | 全銀ベーシック 全銀TCP/IP |
全銀協標準通信プロトコル (TCP/IP手順・広域IP網) |
通信フォーマット | CII(JPCA) | CII(JPCA) |
当社製品例(サーバ) | B2B Standard | B2B Standard+B2B for TLS |
当社製品例(クライアント) | B2B for BANK-Client B2B for BANK TCP/IP-Client |
B2B for BANK TCP/IP-Client |
変換ソフトウェア | TRAN for CII |
なお、本業界ではXMLベースのビジネスプロトコル「Chem eStandards」も使用されていますが、こちらはインターネット回線を使用しているためINS終了に伴う対応は不要です。
参照元:一般社団法人 石油化学工業協会 情報通信委員会「インターネットEDI移行の手引き(Ver.1.0.1)」(2020年4月)より作成
https://www.jpca.or.jp/cedi/activity/result.html
4.電子部品
電子部品業界では、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)内組織のECセンターにてEDI関連の検討事業を行っています。将来性の観点から、グローバル対応も可能な「ebMSv3手順」を第一に推奨しています。
電子部品業界の事例 | レガシーEDI | インターネットEDI |
---|---|---|
手順 | 全銀ベーシック 全銀TCP/IP |
1.ebMSv3手順 2.全銀協標準通信プロトコル (TCP/IP手順・広域IP網) |
データレイアウト | CII(EIAJ) | CII(EIAJ) |
当社製品例(サーバ) | B2B Standard | B2B Standard+B2B for TLS (全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)に対応) |
当社製品例(クライアント) | B2B for BANK TCP/IP-Client | B2B for ebMSv3-Client |
変換ソフトウェア | TRAN for CII |
参照元: JEITA/ECセンター「固定電話網のIP化によるEDIへの影響と対策」(2018年4月)より作成
https://ec.jeita.or.jp/edi2024/guideline.html
5.自動車
自動車業界では、一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)ならびに一般社団法人日本自動車部品工業会(JAPIA)により業界推奨通信手順が定められています。また、JNXというIPネットワークサービスが企業間取引のために既に普及しており、本ネットワークの利用者間の通信はIP網移行の影響がありませんが、金融機関とのFB(ファームバンキング)やJNX外の顧客との取引等ではINS終息の影響があるため、自社EDI利用状況を確認しておく必要があります。
自動車業界の事例 | EDI標準 |
---|---|
手順 | 全銀TCP/IP FTP/HULFT/HTTPS/MQ OFTP2 |
データレイアウト | EDIFACT |
当社製品例(サーバ) | B2B Standard |
当社製品例(クライアント) | B2B for BANK TCP/IP-Client |
変換ソフトウェア | TRAN for EDIFACT |
参照元:JAMA・JAPIA推奨通信手順ガイドラインV1.00
http://www.jama.or.jp/it/infra/jama_japia/files/SUISYOTUSHINTEJUNGuide_v1.00.pdf
6.医薬品・医療機器
医薬品・医療機器業界では、目的別に複数のVAN事業者が業界ネットワークを提供しています。既にインターネットプロトコルであるAS2やebMSv3、JX手順など、他業界と比較しインターネット対応が進んでいますが、全銀TCP/IP手順も残っている状況です。多くのVAN事業者が、全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)を採用しています。
医薬品・医療機器業界の事例 | レガシーEDI | インターネットEDI |
---|---|---|
手順 | 全銀ベーシック 全銀TCP/IP |
全銀協標準通信プロトコル (TCP/IP手順・広域IP網) AS2 ebMSv3 JXなど |
当社製品例(サーバ) | B2B Standard | B2B Standard+B2B for TLS |
当社製品例(クライアント) | B2B for BANK TCP/IP-Client | B2B for BANK TCP/IP-Client B2B for JX-Client B2B for ebMSv3-Clientなど |
通信プロトコルに対応した製品だけではなく、フォーマット変換ソフトウェア(TRAN for CIIなど)や、ジョブ管理用のツール(JS Standardなど)も合わせて利用することで、自社業務システムとのデータマッピングやシステム間の連動が可能です。
インターネットEDI移行に向けて
インターネットEDIへの移行の段取りは、発注企業(主にサーバ側)と受注企業(主にクライアント側)で異なります。まずは、発注企業側が業界標準や受注企業側の状況を加味した上で方針を定める必要があり、受注企業側はその方針を確認し、自社の方針を決定するという流れが一般的です。
通信遅延の可能性や、ベンダー側のリソース枯渇、取引先との調整など、方針検討、予算化、システム改修、接続先テストを経て移行完了に至る無理のないスケジュールを考えるならば、早すぎるということはありません。
業界団体のガイドライン等でも、移行の段取りやスケジュールが示されている事が多いため、参照されることをお勧めします。
業界標準を参考に方式をご検討の上、早めのご対応が肝要となります。お困りの点がございましたら、お気軽に当社へご相談ください。
※「INSネット」は東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の登録商標です。
※その他記載されている会社名、商品名は各社の登録商標または商標です。
関連するソリューション・製品
- EDI
専用線、VAN型EDIからインターネットEDIまで、様々な企業間電子商取引(EC/EDI)実現に向け最適な製品&ソリューションをご提供します。EDIのシステムを成功させるには、企業同士の業務を効率化するための業務分析や、各社がこれまで蓄積してきたデータを共通の形式に変換する技術が重要になります。
キヤノンITソリューションズでは、パッケージ製品・SaaSの提供のみならず、EDIシステムの設計・構築・運用にいたるまで、トータルなサポートが可能です。
- EDI-Master レガシーEDI(JCA,全銀手順,全銀TCP/IP)から、インターネットEDI(JX手順、ebMSv2、ebMSv3、AS2、全銀TCP/IP手順(広域IP網)、Web)まで、様々な業種業界で利用されている、標準プロトコルに対応し、小規模~大規模のEDIまで対応するトータルソリューションをご提供致します。
- EDI-Master B2B for TLS
EDI-Master B2B for TLSは、TCP/IPベースの通信システムと連携し、SSL/TLSによる暗号機能を提供する中継ソフトウェアです。既存の全銀TCP/IP手順システムの変更を最小限に抑えて、速やかにインターネット対応ができます。
「EDI-Master B2B Standard」「EDI-Master DEX for UNIX/Linux/Windows」「EDI-Master B2B for Mainframe」「全銀TCP通信プログラム」と連携することにより、インターネット対応した全銀TCP/IP手順(「全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)」の機能を提供します。これらの製品との組み合わせで、一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA、現在はJiEDIA)主催の相互接続試験において、他社製品・サービスとの相互接続を確認済みのため、安心してご利用いただけます。
有償オプション「Extension Pack」の適用により、復号(サーバ)モード時に全銀TCP/IPプロトコルの情報など、多要素によるフィルタリング機能が利用でき、セキュリティ強化を実現できます。
また、全銀TCP/IP手順以外にも、メール(SMTP/POP3/IMAP4)やHTTPのシステムと連携することによっても暗号化通信が可能なため、EDI用途以外でも幅広くご利用いただけます。
※本製品は2021年10月1日に「EDI-Master B2B TLS-Accelerator」より「EDI-Master B2B for TLS」に製品名称を変更しました。
- ※本システムは、全銀TCP/IP手順、メール、HTTP通信の機能はございません。
- EDI-Master B2B for JX-Client EDI-Master B2B for JX-Client(JX-Client)は、流通BMSで最も普及しているJX手順(クライアント側)に対応した通信ソフトです。流通BMSフォーマット(XML形式)から固定長形式・CSV形式へのフォーマット変換機能を搭載し、XML形式を意識することなく流通BMSに対応できます。また、文字コード変換機能や、自動送受信、外部アプリケーションとの連携にも対応しており、JCA手順などの従来型EDIとの共存も可能です。