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電気通信大学様

世界で初めてボックス型スイッチで10Gバックボーンを構築 スルートップを向上させると同時に消費電力は1/10に低減

  • 設備・資産の有効活用
  • パフォーマンス・可用性向上
電気通信大学

日本で初めてすべての教育研究棟まで10G の物理線を引き、研究室一人ひとりのPC まで10G でつながる環境を実現
ボックス型スイッチのバーチャル化によるグリーンネットワークを構築

導入ソリューション
導入製品

お客様データ

電気通信大学
創 立:1918年
所在地:東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
学生数:5,619名(2010年5月1日現在)

電気通信大学は1918 年に無線通信士の養成機関「社団法人電信協会管理無線電信講習所」として創設。1949 年に「電気通信学部」という1 学部制の国立大学として発足以来、全国の大学の中でも電子・情報分 野に特化したユニークな大学として発展してきた。2010年4月より「電気通信学部」を「情報理工学部」と改組。

「総合コミュニケーション科学」という"新しい概念"に基づき、総合情報学科、情報・通信工学科、知能機械 工学科、先進理工学科の4 学科と先端工学基礎課程の1課程(夜間主)で構成され、情報・電気・通信の素養を基礎として幅広い理工系分野において実践力が身に付く教育研究プログラムを展開している。

お客さまが実現できたこと

  • 時代の要請にマッチしたグリーンな10Gバックボーンの構築
  • 研究・教育ニーズに合ったサービスの提供

お客さまのご要望

  • 今後の研究・教育ニーズにも充分に応えられるバックボーンの構築

都道を挟んで東西に分かれたルータの統合とリプレイス

2006年に構築された電気通信大学のバックボーンは、都道を挟んで東と西に分かれた2つのキャンパスと情報基盤センターを、10G回線のルータで相互接続し冗長化されたトライアングル構成となっていた。そして、東地区と西地区に設置されたルータから教育研究棟までを1Gの回線で結ぶというネットワーク構成だ。

「たしかに当時はパフォーマンスも高かったのですが、ルータと建屋間は、老朽化のため故障で停止したり、1Gのため最近のトラフィック増加にスループットも低下していたのが実情でした」と語るのは情報基盤センター准教授の高田昌之氏だ。

また、同じく情報基盤センター准教授の土屋英亮氏も「ルータの冗長化はメンテナンスが面倒なので1台にしたいという思いがありましたし、2011年4月には10G対応のSINET4も導入されますので、ルータと32ある教育研究棟を結ぶバックボーンも10Gにしたいと考えていました」とリプレイスの背景を話す。

上から<br />
国立大学法人電気通信大学 情報基盤センター 准教授 工学博士<br />
高田 昌之氏<br />
同センター 准教授 博士(工学)<br />
土屋 英亮氏

上から
国立大学法人電気通信大学 情報基盤センター 准教授 工学博士
高田 昌之氏
同センター 准教授 博士(工学)
土屋 英亮氏

すべての教育研究棟を10Gで結ぶボックス型スイッチを採用

今回のリプレイスにあたり、2008年から学内の仕様策定委員会で次回のリニューアルまで、十分な性能を発揮できるよう細部にわたり技術仕様を検討された。特に東西に分かれ冗長化された3台のルータから、ハイコストパフォーマンスで、かつ可用性の高い10Gバックボーンに移行することが重要なポイントだったという。その点について、土屋氏は「一つでも多くの建屋に10G回線を引くために、コストのかかるシャーシ型ルータの冗長構成ではなく、スループットも確保できるボックス型スイッチにすることを考えていました。また、すべての教育研究棟に入るファイバーを情報基盤センター建屋の地下に集めてシングルモードで伸ばすことも考えました」と当時を振り返る。

そして、いよいよ2009年7月に仕様書が公示され、8月に行われた入札の結果、キヤノンITソリューションズの提案が採用された。

「10Gのバックボーンを支えるためには、実績のある信頼性が高いスイッチでないとできません。私たちの細かな技術仕様をクリアしたのが、キヤノンITソリューションズが提案してきたH3Cのスイッチだったのです。また、消費電力が低い点も評価できましたね。停電時の非常用発電機でもサービスを継続できますから」(高田氏)

H3C S5820-X-28S

仮想化技術IRFによる負担軽減と消費電力を1/10に低減

さて、ここで同校が今回リプレイスしたバックボーンの内容を確認しておこう。まず、情報基盤センターが入る総合研究棟の4階と地下1階にボックス型スイッチ「H3CS5820X」を各2台設置。H3Cの仮想化技術であるIRF を用いて4 台を仮想化し、1台のバーチャルスイッチとして十分な可用性とスループットを実現した。

さらに4階と地下のスイッチ間はパラレルなリング構成にして20Gの余裕もった帯域を確保。また、スイッチから東西に分かれたすべての教育研究棟を10Gで結ぶことでスループットも確保し、今後の研究・教育ニーズにも充分な応えられるバックボーンを構築した。

一般的なバックボーン構築では、シャーシ型を導入するケースが多いため、当初はボックス型への不安もあったいう。「これまではずっとシャーシ型だったため、ルータというのは、すごく頑丈なものというイメージがありました。それに比べボックス型はスイッチと大きさが変わらず、本当にすべてのトラフィックがまかなえるのかという不安は、正直ありましたね。その点をキヤノンさんに確認したところH3C側から、製品の位置づけとしてはシャーシ型とほとんど変わらないことや、スイッチの故障率からみて今後4年間は問題がないと感じることができました」と語るのは、情報基盤センターの専任技術専門員である才木良冶氏だ。

こうして2010年2月末、電気通信大学のバックボーンは、ユーザーが誰一人気づくことなく移行された。前回のリプレイスでは、ネットワークシステムが一日停止したが、今回はワークアラウンドが明確だったため、大きなトラブルもなくスムーズに完了した。

「日本で初めてすべての教育研究棟まで10Gの物理線を引くことができ、研究室一人ひとりのPCまで10Gでつながる環境が整いました。また、バーチャル化によって運用負荷も大幅に軽減することができました」(土屋氏)

「ネットワークは範囲の広いところに投資しなければいけないので、限られた予算の中で最も良いコストパフォーマンスで10Gのバックボーンができたと満足しています。さらに、今まで3台のルータで10KWだった消費電力が、4台のスイッチで1KWと実に1/10に減少し、グリーンなバックボーンにすることができました」(高田氏)

高田氏も、自分たちの思想に可能な限り応えてくれたキヤノンITソリューションズとH3Cの姿勢に評価が高い。

情報科学科の教室には、Xserveが6台、学生用の端末にiMac80台が配置されている

情報科学科の教室には、Xserveが6台、学生用の端末にiMac80台が配置されている

学内クラウド構築などさまざまな新サービスを検討

今回のリプレイスにより、時代の要請にマッチしたグリーンな10Gバックボーンの構築だけではなく、研究・教育ニーズに合ったサービスの提供も可能になった。スピードが速くなったおかげで、学内クラウドを構築することができるようになり、それに付随したサービスも検討されている。

「学生に20GBのDisk領域を提供したり、研究者にはCPUなどのリソースサービスを提供することが可能になりました。また、今後は、学外からも学内のリソースを利用できるようにしたいと思います」(土屋氏)
「停電時にも非常用電源によって、すべてのサービスが24時間365日提供可能になり、データセンターとしての役割を果たすことができるようになりました」(高田氏)

将来的にはすべての各建物フロアに10Gが引けるよう、今後も同様にボックス型スイッチの導入も検討されており、より一層の期待が寄せられている。

システム構成

システム構成図

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システム構成図

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