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東京大学様

自前で開発・運用していたLMSからアウトソーシングへシフト クリティカルな教育支援システムとしての活用体制を実現

  • 製品・サービス品質の向上
  • パフォーマンス・可用性向上
東京大学

国内の大学では名実共に最高の学び舎としての評価を集める東京大学。さまざまな教育現場でのICT活用に積極的な同校では、学内に専門機関として東京大学 情報基盤センターを設置。学内外の研究・教育、社会貢献などに関連する情報処理を推進するため、その基盤的研究に勤しみながら、学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点としても活動している。同時に、情報インフラとなる設備などの整備・提供、その他必要な専門的業務を担い、日々展開中だ。

導入ソリューション
導入製品

お客様データ

東京大学
創設:1877年
所在地:東京都文京区本郷7-3-1
学生数:27,975名(2014年5月1日現在)

1877年4月12日、東京開成学校と東京医学校を合併、旧東京開成学校を改組し、法・理・文の3学部、旧東京医学校を改組し医学部を設置、東京大学予備門を付属して、東京大学が創設される。英タイムズ紙系列の「THES」が発表した「2014年世界大学評判ランキング」では11位にランクされる。国内・アジアでは堂々1位。世界のリーディングユニバーシティを目指し、数多くの課題を抱えている社会に対して、新たな学術的価値の創造と、多様な教育・研究プログラムの構築で応えるべく、知識の洪水に流されない「本質を捉える知」、独善に陥らない「他者を感じる力」、そして「先頭に立つ勇気」を備えた、21世紀が求める人材の育成に余念がない。

お客さまが実現できたこと

  • 新たな環境構築により利便性が大幅に向上
  • ユーザーを第一に考え、学内での教育支援に活用する情報基盤を整えたい

お客さまのご要望

  • 全学的な展開を見据えて内製LMSからアウトソーシングへ
  • ユーザーを第一に考え、学内での教育支援に活用する情報基盤を整えたい

自ら研究開発する実験的スタンスで内製LMSを運用

国内の大学では名実共に最高の学び舎としての評価を集める東京大学。さまざまな教育現場でのICT活用に積極的な同校では、学内に専門機関として東京大学 情報基盤センターを設置。学内外の研究・教育、社会貢献などに関連する情報処理を推進するため、その基盤的研究に勤しみながら、学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点としても活動している。同時に、情報インフラとなる設備などの整備・提供、その他必要な専門的業務を担い、日々展開中だ。

その東京大学 情報基盤センターの取り組みのひとつに、2003年から「CFIVE」と名付けたLMSを自前で開発・導入し、学内での教育支援に活用してきたという事例がある。 「もともとは実験的な見地から内製によるLMS活用にトライしたのがきっかけでした。2004年に運用をはじめ、教職員や学生などユーザーと一緒になって、少しずつブラッシュアップを図ってきました」と振り返るのは、東京大学 情報基盤センター 情報メディア教育研究部門 助教 博士(工学)の関谷貴之氏。

「既製品のLMSを導入してもよかったのですが、運用で気付いた課題の解決に向けて機能改善やアドオンしたくなった場合、やはり時間的にも費用的にも膨大なコストが生まれてしまいます。その負担を避ける意味合いからも、すべて自前での開発運用は自然な道筋でした」と東京大学 情報システム部 情報基盤課 情報メディア教育支援チーム 係長の石崎勉氏もLMS活用当初の状況を説明する。

「数年かけて実績を積み上げていったことで、2009年頃にはLMSに不可欠な情報発信/共有などの基本的な機能面を「CFIVE」で固めることができ、実運用でもユーザーに満足してもらえる稼動状況だったと感じています」と、東京大学 情報基盤センター 情報メディア教育研究部門 教授 理学博士の柴山悦哉氏も評すように、自らで最適解を模索しながら学内情報基盤の整備に取り組む姿は、学術的な価値の創造に余念がない東京大学ならではと言えるだろう。

東京大学 情報基盤センター<br />
情報メディア教育研究部門<br />
教授 理学博士<br />
柴山悦哉氏(中央)<br />
同部門<br />
助教 博士(工学)<br />
関谷貴之氏(左)<br />
東京大学 情報システム部<br />
情報基盤課<br />
情報メディア教育支援チーム 係長<br />
石崎 勉氏(右)

東京大学 情報基盤センター
情報メディア教育研究部門
教授 理学博士
柴山悦哉氏(中央)
同部門
助教 博士(工学)
関谷貴之氏(左)
東京大学 情報システム部
情報基盤課
情報メディア教育支援チーム 係長
石崎 勉氏(右)

全学的な展開を見据えて内製LMSからの移行を決断

2004年の運用開始後、学内でLMSの活用が浸透し、利用者が増加していくにつれ、2008年頃からパフォーマンスの低下などが顕在化するようになる。

「LMSは授業中にフリーズやストップすることがあってはならないクリティカルなシステムです。しかし、主に1・2年生が過ごす駒場キャンパスでは、同じ内容の授業が同時に複数開講され、一斉に500人超の学生がLMSを利用する場合も多々あります。当時、特定の曜日・時限になるとトラフィックが集中し、看過できないパフォーマンス低下を招くこともありました」(関谷氏)
そこで同校では2009年にハードウェアを更新。引き続き内製のLMSを運用するも、導入作業や保守作業の一部をアウトソーシングするなど、全体的な見直しを図った。同校のLMS環境は、その後、大きなトラブルを抱えることなく運用されていった。

しかし、さらなるLMS環境の進化を目指す同校では、2014年にハードウェア類の契約が終了するタイミングを見計らって、2012年の秋頃から情報基盤センターが中心となり、次期LMSの選定に向け動きはじめることになる。
「学務システムをはじめとする学内の情報システムとの連携など全学的な展開を見据えていたのですが、その構成が複雑になるのは避けられません。さらに、連携した学務システムや学事暦そのものの変更に伴って、運用中にLMSに手を加える機会も増加するでしょう。また、利用する講義が増加することで、LMSの設計上解決が容易でない問題が発生する可能性もあります。そろそろ内製のLMSを自前で維持するのことが困難ではないかと感じ始めていました」(関谷氏)
「セキュリティに対する要求も10年前とは比べものにならないくらい厳しくなりました。部分的なアウトソーシングで切り抜けていくのも限界を迎えていたのです」(柴山氏)

内製LMSからの移行という方針の転換は、ユーザーを第一に考え、学内での教育支援に活用する情報基盤を整えたいという、まさに同校の決意の表れと言えるだろう。

「OSSから商用版まで、いくつかのLMSパッケージの試用に臨み、一番フィットするスタイルは何かを自分たちなりに探しました」(柴山氏)
本学の教員や学生の協力を得て一部の授業で使ってもらうことで、ユーザーとしての使い心地や管理者としての運用のし易さなどを確認しながら、次期LMSに相応しい仕様を固めていった。
「安定稼動性やセキュリティの向上を果たすと同時に、レポート提出や資料配布、出欠、アンケートなど、従来のLMSの標準機能を踏襲しつつ、既存の学務システムと連携して名称・担当教員・履修者などの講義に関する基本的な情報を自動登録する機能や、教員が登録した教材や課題などを通知する機能を実現するものという仕様書を公開入札に向け提示しました」(関谷氏)

こうして開示された同校の入札に参加した複数のSIerやベンダーの提案の中から、キヤノンITソリューションズが選ばれた。
「入札のため応札金額が一番低かったことが選定理由です。ただ、その後、実際の開発作業を進めていく中で、キヤノンITソリューションズが、これまで文教のフィールドで培ってきたIT基盤システムの開発・構築・運用などの技術ノウハウは、非常に安心感が持てるものでした」(柴山氏)

・時間割画面・コーストップ画面・テスト画面

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・時間割画面・コーストップ画面・テスト画面

ちなみに、今回キヤノンITソリューションズが提案した内容では、文教市場における豊富な実績をベースに構築されたLMSという「安心感」。そして、必要性に応じて段階的に導入が可能なため、将来的な拡張を見据えた最小必要限度のスケールからスタートできる「柔軟性」。さらに、機能追加や、学内基幹システムはじめ他システムとの「連携も容易」なことなどがアピールされていた。
次期LMSは「ITC-LMS」と名付けられ、その導入プロジェクトは、2013年10月から同校とキヤノンITソリューションズによってスタートし、開発・導入が進められていった。

「今回導入されたLMSには、“授業で使う資料を配布・閲覧する”“学生からのレポート提出を受理する”といった標準的な機能は、もともと装備されていました。しかし、私たちの場合、学内固有の諸事情も汲み取り、システムや機能に反映してもらう必要があり、それには相当の時間と労力を費やしていただきました」(柴山氏)
実際、同校独自の業務フローや組織構成上の差異などをシステム化するのは、予想以上の作業だったという。

「昔から学部ごとに独立して運営されている気風があり、細かい違いが山ほどあるんですよ(笑)。たとえば、1限の長さが学部によって違ったり、授業科目のコード体系がバラバラだったり、学務システムが2系統に分かれていたり。常識で判断すると間違えるし、システム化にとっては煩雑なことが多い環境です」(柴山氏)
しかし、こうしたポイントを、2014年3月カットオーバーという限られた時間内で、愚直に実践し、当初計画通りに完成させたキヤノンITソリューションズには高い評価が与えられた。

「本当に細かな要求事項一つひとつを付き合わせ、しっかり理解を深めてもらいながら、できる/できないを含め対応してもらえたのは、非常に助かりました」(石崎氏)
「以前の“CFIVE”に比べ通知機能が格段に強化されました。教員が教材やレポート課題などをアップロードすると、そのことが学生にメールで通知されます。さらに、アップロードされた情報は“ITC-LMS”のトップページにも表示されます。全体的なGUIもよくなったことで、更新情報を見逃しにくくなりましたね。また、学内の履修登録システムと自動連携して“ITC-LMS”に反映されるようにもなりました。授業ごとに“ITC-LMS”で履修登録をしなくても、履修している教科の情報を得ることができるので、学生の利便度も、ぐっと向上したと考えています」(関谷氏)

運用を通じブラッシュアップを図り、LMS活用をさらに進化させる

現在、同校のLMSシステム「ITC-LMS」は、学籍管理や履修コース管理などの学務系システム、さらに本郷キャンパスの情報基盤センターや駒場キャンパスの教養学部情報教育棟をはじめ、本郷・駒場・柏キャンパスの図書館や教室に分散配置される1000台超の端末やネットワークからなる学内情報基盤の教育用計算機システムなどとスムーズな連携を果たしながら、主に駒場キャンパスで講義に臨む1・2年生向けとして授業支援活用が進んでいる。

「“CFIVE”と比べても利用率が上がってきていますね。クラス数で見ると、ほぼ倍増しています。しかし、まだまだ浸透させていける余地がある。紙ベースによる資料の依存度が高い学部学科も少なくありませんので、そこをいかに取り込んでいくか。マルチデバイスで情報のやりとりに長けた学生の利便性を図り、よりアクティブに授業に参加していくひとつの手段という観点からも、教職員への啓蒙活動にもっと注力していきたいですね」(関谷氏)と、現状に満足せず、今後もLMS活用を促していく方針だ。その上で、将来的にはSNSとの連携やeポートフォリオの追加なども見据え、より進化させたLMSに育んでいくことも視野に入れている。

ドキュメントソリューションに一日の長があるキヤノンITソリューションズでも、利用率向上に向けた施策づくりといった上流領域から、同校のLMS活用をしっかりサポートし、現場と密な連携を図りながら、継続的な支援活動で応えていく構えだ。

同時に、今回の同校へのLMS導入で大きな手応えを得たキヤノンITソリューションズでは、LMSをはじめポータルやポートフォリオ、シラバスなどの機能をまとめた、「inCampus」という教育支援情報システムのプラットフォームを2014年6月にリリース。文教領域のユーザー支援に幅広く、かつきめ細やかに活用していく途を切り拓いている。

システム構成

システム構成図

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システム構成図

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