1868年4月12日、東京開成学校と東京医学校が合併。旧東京開成学校の法・理・文の3学部、そして旧東京医学校の医学部に東京大学予備門を付属して、東京大学が創設される。
英タイムズ紙系列の「THES」が発表した「2008年世界大学ランキング」では19位にランクされる。国内・アジアでは堂々1位。世界のリーディングユニバーシティを目指し、知識の洪水に流されない「本質を捉える知」、独善に陥らない「他者を感じる力」、そして、「先頭に立つ勇気」を備えた、21世紀が求める人材が育つ場でありたいと、大学の競争力の本質を磨くことに余念がない。

世界最大級のMac NetBootシステムが、さらに進化

東京大学情報基盤センター情報メディア教育研究部門
助教博士(情報理工学)
丸山 一貴氏
2003年に東京大学の教育用計算機システム(ECCS)が教育界やIT業界を中心に注目を集めたのは、まだ記憶に新しいところ。国内、いや世界でも最大級のスケールを誇るMacによるNetBootシステムは、本郷・駒場・柏のキャンパスを結び、1149台のiMac G4と47台のXserve G4によるNetBootで学内情報基盤の整備が進められた。ECCS2004は、学内の端末からサーバ内のOSやアプリケーションを読みだすシンクライアント方式で、 Windows起動時などに若干のタイムラグは感じられたものの、大きな問題もなく安定稼働していました」と評すのは、東京大学情報基盤センターの丸山一貴氏だ。
その言葉通り、同校では教育の基幹システム、そして学内全体の情報サービス提供の効率化を目的に、ECCSを構築・運用していた。そんなECCSが、2008年にリニューアルされた。現システムを見直し、拡張する機能ならびに導入や運用コストなどを考慮して、仕様を策定。競争入札の結果、ECCS2008でもMacのNetBootをベースに据えたシステム環境が最適という判断から、Macパートに関しては前回に引き続きキヤノンITソリューションズが担当した。「日常的な運用、OSやアプリケーションのメンテナンスなど、多数の端末を一元管理できるNetBootでないと、限られた人的リソースでは運用管理業務面で限界を迎えます。今回のリニューアルでも、この要件はマストでした」(丸山氏)。
IntelMacの恩恵で仮想化と大幅なコストダウンを実現

Windows仮想ソフト「Parallels Desktop」を起動した様子
刷新されたECCSと以前とでは、ハードウェアの構成が大きく異なる。学内のユーザーが使う端末が、iMac G4からiMac(Intel)に変更され、台数も27台増えて1176台となった。XserveもCPUがPower PCからIntel の新モデルに変更されている。
「Intel化の恩恵は大きいですね。リニューアルの課題のひとつに、“サーバが高価なので台数を減らしたい”という要望があり、以前のECCSで運用中に追加した3台を含む50台のサーバを機能向上させながら、どれだけ減らせるかがカギでした。2GHzのデュアルコアXeonを2基搭載したモデルへのリプレイスで、サーバ1台でNetBootさせられる端末が25台から35台にまで増やせました。このスペック向上のおかげで、Xserveを50台から33台まで減らせ、コスト削減を図っています」(丸山氏)。
同時に端末のiMacのIntel化も見逃せない。「Mac OS X上でWindowsを動作させるParallels DesktopもNetBootで管理することで、高価なWindowsターミナルサーバの必要がなくなったのもありがたいです。ブートキャンプではOSの切り替えが面倒と感じるユーザーも多いでしょうから」と丸山氏は評する。学生などからは「操作性の向上はもちろんですが、画面が20インチへと広がり使いやすくなったという声も多いですね」(丸山氏)とのことだ。
業務効率改善に向け独自開発した“NetBoot管理ツール”
さらに、リニューアルされたECCSでは、運用管理体制で大幅な機能向上が実現されている。NetBootシステムの運用管理を簡単に実施するための専用ツールの開発と導入だ。これは、同校のECCSでMacパートを担当する、キヤノンITソリューションズの提案によって進められた。「学内の多くの端末を運用管理していくのは、実はNetBoot環境でも並大抵ではありません。システムのアップデートや設定変更を一斉に行う場合、サーバ側で変更作業をすれば端末に反映されるのですが、50台もあると大変な業務量になります。リニューアルされて台数が減ったとはいえ、33台分でもかなりの分量なんですよ」と丸山氏は振り返る。
この運用管理業務の改善を促すのが、今回開発された“NetBoot管理ツール”だ。複数のXserveを管理する専用サーバと連動し、Webブラウザ上で動作するもので、(ブート)イメージ配信、イメージ管理、フィルタ管理、端末管理、ジョブ管理の5つの機能を備える。「セキュリティの関係上、L2スイッチでMACアドレス制限を実施しており、これまではマシンを変更する際は毎回手動で設定し直していました。その作業を自動化し、大幅な業務効率化が図れました」(丸山氏)。
他にも、稼働しているiMacの故障状況を把握し、代替する設定もできるなど、広範な運用管理業務で改善効果が表れている。「先述の業務は個々のエンジニアに相応なスキルが求められますし、プログラミングには個々人の手クセがつきものなので、担当者が変わったときの引き継ぎ時なども面倒です。“NetBoot管理ツール”によってほぼ自動化されましたから、業務効率が向上したのはもちろん、運用管理スタッフのレベルに関わらず、均質な業務遂行が可能となりました」(丸山氏)。
常に最先端のその先を見据えて環境整備に注力する

今回、ECCSの刷新で「単純にサーバ台数の減少分と、それに伴う運用費でスリム化が図られた」と丸山氏が言うように、独自の管理ツールで業務効率の向上を目指せるNetBoot環境を、リーズナブルに手に入れられることが、立証された。「キヤノンITソリューションズとは2003年からのつきあい。私たちの業務環境や仕事の中身を理解してもらっています。ユーザーの視点、運用の立場、人的リソースの制約…など、多角的な観点からアプローチしてもらい参考になりました」(丸山氏)。
今後、情報基盤センターでは、固定端末を設置して情報やサービスを提供する従来のスタイルだけではなく、あらゆる可能性を視野に入れて学内情報基盤を進化させていくとのこと。「学生が自前のノートPCを持ち込み、学校側は机上に電源とネットワークのソケットを用意するスタイルで運営している大学もあります。私たちも、ユーザーと学校のリソースを融合させるパターンを検討しておく必要はあるでしょうね。また、ハード/ソフトウェアのさらなる進化やネットワーク回線のスピード向上が進めば、端末側で処理させるスタイルから、逆にサーバ側で画面転送して処理する一昔前のスタイルも復活するかもしれません。そんな大きなパラダイムシフトの可能性も考慮しながら、大規模な情報基盤の整備を進めていきたいと思います」と丸山氏は抱負を語る。
MacのNetBootシステムで、Parallels Desktopによる仮想化でのWindows利用環境を整えた同校の、次なるチャレンジから目が離せない。
NetBootでできること
管理画面トップ
端末管理機能
ジョブ管理
ECCS2008の大きな特徴となっているのが、NetBootシステムの管理・運用を簡単に行えるようにするための専用管理ツールの導入。Webベースで運用ができるNetBoot管理ツールでは、イメージの配信機能や管理機能をはじめ、フィルタや端末の管理機能、さらには配信日時のスケジューリングなどを管理するジョブ管理など5つのメニューが用意されている。NetBoot管理ツールの導入によって、従来の煩雑な作業を一元管理でき運用効率は格段にアップしている。
システム構成
- ・Apple Inc. Apple、Appleロゴは、米国Apple Inc.の登録商標です。Macintosh、AppleCD、Apple Desktop Bus、AppleTalk、LocalTalk、Apple SuperDrive、TrueType、QuickTime、GeoPort、AppleScriptは、米国Apple Inc.の商標です。
- ・XeonとCore2 DuoはIntelの登録商標です。
- ・Parallels DesktopはParallels Software International, Inc. の登録商標です。
- ・Windowsは,米国およびその他の国における米国法人Microsoft Corp.の登録商標です。
東京大学 情報基盤センター導入事例[PDF:1.2 MB/ 4ページ]
この事例は取材時の情報に基づき構成されています。
その後変更となっている場合もございますので、ご了承下さい。







